十和田南線
十和田南線(とわだなんせん)は、かつて秋田県鹿角市と青森県上北郡十和田湖町(現・十和田市)を結んでいたJRバス東北の自動車路線である。
本項ではJRバス十和田南線の沿革のほか、並行して路線があった秋北バス、代替路線バスを運行している十和田タクシー、およびかつて運行されていた高速バス「とわだこ号」および2010年9月17日に運行を開始した高速バス「盛岡・十和田湖号」についても記載する。
目次
JRバス東北 十和田南線(一般便)
概説
本路線は、1934年8月5日に青森 - 休屋 - 和井内間の80kmを結ぶ路線として開設された省営バス十和田線が前身となる。この背景には、同年に政府が観光事業の拡大を提唱したものを受け、省営バスとしても重要観光路線を路線に加えることでこれに応えたもので、後の国鉄バス4原則の中では「鉄道線の培養」に相当していた。1935年には和井内から毛馬内までの30kmが延長され、同時に青森自動車所の支所として毛馬内支所が開設された。
第二次世界大戦中は不要不急路線として運行休止となるが、戦後運行を再開し、1952年には大湯温泉と陸中花輪を結ぶ14kmの路線も開通した。また、1961年には十和田湖と大館を直通する便の運行を開始、1970年には大館・十和田南と十和田湖間にバス指定券制度が導入され、この時にとわだこ号という愛称が設定された。
1982年6月23日の東北新幹線開業と同時に、本路線の派生路線として東北自動車道を経由して盛岡と十和田湖を直結する高速バスの運行を行うことになり、高速バスの愛称は、一般路線と同じとわだこ号と設定された。
一方、一般路線は花輪線との接続を重視していたが、花輪線利用の観光客自体が減少した上に十和田北線のように沿線に目立った観光地がなかったこともあって観光客の利用が減少、さらには沿線利用者も減少したことから、2003年に廃止となり、十和田南営業所も閉鎖された。
運行経路
沿革
- 1934年8月5日 - 鉄道省営バス十和田南線休屋(現・十和田湖)~和井内間開業。
- 1935年9月1日 - 鉄道省営バス十和田南線和井内~毛馬内(現・十和田南駅)間開業。
- 1961年12月15日 - 国鉄バス十和田南線十和田南駅~大館駅間開業。秋北バスと相互乗り入れ。
- 1968年12月1日 - 国鉄バス十和田南線十和田南~休屋間通年運行開始。
- 1973年8月1日 - 国鉄バス十和田南線大館栄町~秋北バスターミナル~大館放送局間開業。
- 1979年5月 - 秋北バス八幡平~十和田湖線運行開始。
- 1983年4月1日 - 国鉄バス十和田南線一般路線貨物自動車運送事業廃止。
- 1987年4月1日 - 国鉄分割民営化に伴い、十和田南線はJR東日本バス(東北自動車部)に継承される。
- 1988年4月1日 - JR東日本のバス部門分社化に伴い、十和田南線はJRバス東北に継承される。
- 1998年11月10日 - 秋北バス十和田南線大館駅~十和田湖間(樹海ライン経由)廃止。
- 2002年 - 秋北バス十和田湖~八幡平線の運行を取りやめ(運行は2001年11月まで)。
- 2002年9月~10月 - 十和田タクシーが十和田湖~八幡平線を運行。
- 2003年3月31日 - JRバス十和田南線廃止。
- 2003年4月1日 - 十和田タクシーが十和田南駅~四ノ岱間にて代替運行開始(当初は中滝まで運行計画だったが、利用者が見込めず四ノ岱までの運行となる)。
- 2003年4月24日 - 秋北バス十和田湖~八幡平線復活。同時に十和田湖~鹿角花輪駅間の通年運行開始(2005年の冬期間については秋北バス便が運休し、同区間によるの運行は十和田タクシーが担当した)。
とわだこ号(高速バス)
とわだこ号(とわだこごう)は、岩手県盛岡市と青森県十和田市十和田湖を結んでいた季節運行の高速バスである。2009年度から運行が中止されている。
概要
東北新幹線の開業に合わせ、鹿角地域や十和田湖への観光路線として、当時十和田南線を運行していた国鉄バス(信越地方自動車部および東北地方自動車部)と秋北バス・岩手県北バスの3社で共同運行を開始した(後に岩手県交通が参入し、4社共同運行となる)。運行開始当初から春季(4月下旬)~秋季(11月上旬)にかけての季節運行であった。
開業後、数年間は比較的好調な利用が続いたが、1990年代後半になると段階的に減便が実施され、秋北バスが撤退した。その後、JRバス東北十和田南線の廃止により並行する路線バスがなくなることから、十和田湖側で実施していた乗降制限(クローズドドア制度)を廃止して途中停留所での乗降を可能にしたが、やがてJRバス東北と岩手県交通も撤退。2006年から岩手県北バスの単独運行となったが2008年には運行期間が夏季と秋季のみに短縮され、翌2009年には運行が中止された。
停車停留所
盛岡駅西口 ⇔ 湯瀬 - 花輪(花輪SA) - 高速けまない - 大湯温泉 - 和井内 - 十和田湖
- ※:湯瀬 - 十和田湖間は途中乗降可能であった。
- ※:花輪SAにて休憩していた。
運賃
- 盛岡 - 湯瀬:1,630円
- 盛岡 - 花輪:1,780円
- 盛岡 - 高速けまない:1,940円
- 盛岡 - 和井内:2,370円
- 盛岡 - 十和田湖:2,420円
運行回数
- 1日1往復(季節運行。2008年度は7月19日~11月3日に運行)。
歴史
- 1982年 - 国鉄バス・岩手県北自動車・秋北バスの3社で運行開始。
- 1986年 - 岩手県交通が参入(1往復)。1日8往復となる。
- 1987年 - 国鉄分割民営化により、国鉄バス担当便がJR東日本バス(東北自動車部)担当となる。
- 1988年 - JR東日本のバス部門分社化に伴い、JR東日本バス担当便がJRバス東北担当となる。
- 1989年 - 1往復増便(岩手県交通担当分)、1日9往復(JR3、秋北・県北・県交各2)となる。
- 1997年 - 1日6往復(JR・県交各2、秋北・県北各1)に減便。
- 1998年 - 1日4往復(各社1往復)に減便。
- 2002年 - 秋北バスが撤退(運行参加は2001年まで)、1日3往復に減便。
- 2003年 - JRバス十和田南線廃止に伴い十和田IC~十和田湖駅間のクローズドドア制度廃止、相互利用が可能となった。またJRバス東北の担当営業所が十和田南営業所から青森支店に変更となる。
- 2004年 - 湯瀬PAに新規停車する。
- 2006年 - JRバス東北・岩手県交通が撤退(運行参加は2005年まで)、岩手県北自動車の単独運行になり、1日1往復に減便。みどりの窓口での乗車券発売を廃止。
- 2008年 - 今季より春期の運行を取りやめ、夏季~秋季のみの運行となる。
- 2009年 - 今年度より運行を取り止め。
乗車券
- 基本的に、乗車当日下車時精算となる。
- カードリーダーが搭載されているが、県交通・県北バス共通バスカードの利用はできない。
利用状況
年度 | 運行日数 | 運行便数 | 年間輸送人員 | 1日平均人員 | 1便平均人員 |
---|---|---|---|---|---|
2002(平成14)年度 | 151 | 922 | 16,762 | 111.0 | 18.2 |
2003(平成15)年度 | 145 | 867 | 11,242 | 77.7 | 13.0 |
2004(平成16)年度 | 152 | 913 | 9,851 | 64.8 | 18.2 |
2005(平成17)年度 | 152 | 918 | 7,261 | 47.8 | 7.9 |
2006(平成18)年度 | 124 | 248 | 2,082 | 16.8 | 8.4 |
2007(平成19)年度 | 126 | 252 | 1,826 | 14.5 | 7.2 |
盛岡・十和田湖号
2010年9月17日より運行開始[1]。岩手県交通の単独運行。2012年(平成24年)度は9月14日から11月4日までの期間運行となる。
盛岡 - 十和田湖間を利用の乗客には、十和田遊覧船(十和田観光電鉄運行)の運賃を100円引きとするサービスを提供する。
- 運行経路
盛岡駅西口(24番のりば) - 湯瀬PA - ホテル鹿角 - 大湯温泉 - 十和田湖(休屋)
- ※ホテル鹿角・大湯温泉 - 十和田湖(休屋)間のみの利用も可能。
- ※湯瀬PAは十和田湖行は乗車のみ、盛岡行は降車のみ(盛岡駅 - 湯瀬PA間のみの利用は不可)。
参考文献
脚注
- ↑ 岩手県交通による案内より(2010年9月11日閲覧)