公立図書館
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
公立図書館(こうりつとしょかん)とは都道府県及び市町村(東京都特別区を含む)、その他の地方公共団体が設立し公費で運営する方式を採用する図書館のことである。
現行の図書館法第2条において図書館を「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設」と定義し、第2項では「前項の図書館のうち、地方公共団体の設置する図書館を公立図書館といい、日本赤十字社又は民法第三十四条の法人の設置する図書館を私立図書館という」と規定されている。
現在の日本では公立図書館と公共図書館が同一に扱われる事が多いが図書館法及びそれ以前の旧図書館令においては私立図書館の存在が広く認められており、私立図書館もまた公共図書館として認められている。なお、図書館令においては公立学校が設置した学校図書館も公立図書館の範疇に加えられていた。
かつては日本の公立図書館は普及が遅れており、戦前においては私立図書館が日本の図書館活動の大きな部分を占めた時期も存在した。日本において公立図書館が急速に増加するのは高度経済成長期以後である。なお、財政規模の小さい町村の中には未だに図書館を持っていない自治体や複数の自治体が事務組合を作って公立図書館を運営する組合立図書館(広域市町村圏図書館)を組織するものも少数ながら存在する。
また1980年代に京都市立図書館が財団委託運営方式を採用して以後、「公立図書館」と「公共図書館」の峻別の必要性が唱えられるようになった。更にNPOが運営する図書館など、図書館法が想定していなかった図書館の出現を経てその区別の明確化に対する必要性は高まっている。
参考文献
- 図書館用語辞典編集委員会 編『最新図書館用語大辞典』 柏書房、2004年 ISBN 9784760124893
- 日本図書館協会図書館ハンドブック編集委員会 編『図書館ハンドブック』 日本図書館協会、2005年 ISBN 9784820405030
- 岩猿敏生『日本図書館史概説』 日外アソシエーツ、2007年 ISBN 9784816920233