八王子市立高尾山学園
八王子市立高尾山学園(はちおうじしりつ たかおさんがくえん)は、2004年4月に開校した、教育特区(現在は特区を外れている)で設立された東京都八王子市館町にある公立小中一貫教育校である。公立学校としては国内で初めての情緒的要因による不登校児童・生徒を対象とした学校である。なお非行や怠学傾向、発達障害による一次的な不登校のケースでは、いわゆる不登校のための治療教育の枠が逆に反社会的行動や発達障害による問題行動を悪化させることが経験的に確認されてきたという。したがって特別支援学校(学級)や矯正施設(学校)とは全く別のコンセプトで設置された教育機関と考えられ区別する必要がある。
概要
小泉内閣の進める構造改革特別区域構想にともない、2003年4月21日、「不登校児童・生徒のための体験型学校特区」に認定され、八王子市立殿入小学校跡地に2004年4月1日開校した。
人的環境としては不登校専門の学校とはいえ、臨床心理士であるスクールカウンセラー(非正規職員)を除けば、教員は通常の小中学校から異動してきた職員(正規職員)であり不登校専門のトレーニングを受けた職員ではない。
教育システムとしては、特区の認可を受けたことにより、教育課程はかなり弾力的な運用が許されており、それぞれの生徒のこれまでの学力の蓄積を背景にして習熟度別の指導と個人指導、体験型の学習を可能としているが、あくまでも科目学習が設置のための第一目的ではない。第一目的とは、学校という環境で再度生きることをやり直してみたいという子どもたちの希望をかなえるために、過去にいかに多くの苦しみや傷を負ったとしてもやり直せるような登校しやすい物理的・人的環境の提供とされている。したがって科目学習だけではなく、種々の遊びや安心できる大人や子どもたちとの人間関係、安心して過ごせる快適な物理的環境等を子どもたちの状況に合わせて選択可能なところが特色となっている。