伝奇集
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テンプレート:Portal 『伝奇集』(でんきしゅう、Ficciones)は、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの代表的短編集。スペイン語小説集。1944年刊行。元は1941年の『八岐の園』(やまたのその)と1944年の『工匠集』(こうしょうしゅう)の2篇だったものをまとめたもので、全17篇の作品からなる。
- 八岐の園
- トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス
- アル・ムターシムを求めて
- 『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール
- 円鐶の廃墟
- バビロンのくじ
- ハーバート・クエインの作品の検討
- バベルの図書館
- 八岐の園
- 工匠集
- 記憶の人フネス
- 刀の形
- 裏切り者と英雄のテーマ
- 死とコンパス
- 隠れた奇跡
- ユダについての三つの解釈
- 結末
- フェニックス宗
- 南部
八岐の園のプロローグには有名な言葉:
「数分で語り尽くせる着想を五百ページに渡って展開するのは労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である。よりましな方法は、それらの書物がすでに存在すると見せかけて、要約や注釈を差しだすことだ」
が語られている。すなわちボルヘスは引用という行為自体が、引用元の内容の有無に関係なくそれ自身である程度の意味を持つという認識に初めて至り、新しい形の創作を生んだのである。これについてウンベルト・エーコは「ボルヘスはハイパーテキストを先取っていた」と述べている。