三バン

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三バン(さんばん)は、日本における公職選挙で必要とされる3つの要素である。全て比喩表現に基づく。

概要

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【地盤】支持者ないし協力者の家に張られたポスター。選挙運動としては法律に抵触するが、政治活動とみなされる工夫がされている。
ファイル:Senkyo car.jpg
【鞄】日本の選挙で勝つには公示(告示)前の政治活動・地盤培養行為が重要と言われる(街宣車

日本では、選挙で当選するためには、「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン()」の3つのバンが必要であるとされている。それぞれ以下の3つを意味する。

三バンの内容

地盤

政治家・予定候補者が定着して活動していて一定の支持者を持つ地区、より具体的には選挙区内の支持者の組織後援会)を指す。地盤は固い方が良いため、支持が強固な様子を「地盤が固い」、その地域を「固い地盤」と喩える。

既成の組織・関係(宗教団体業界団体・特定企業・職能団体市民団体労働組合政党の地方組織・地縁血縁など)を軸として選挙区内の支持者が組織化(地盤強化)される場合が多い。

支持者の組織は、選挙運動において、第三者に投票を依頼するなど実際に働く人員ともなる。これを「足腰」と言ったりする(例:「○○陣営の足腰が弱っている」(実働する人が少なくなっている)など)[1]

地盤培養行為

「地盤を養う」(=政治家・予定候補者の地域定着化)行為を「地盤培養行為」と呼ぶ。これは建前上「地盤とする選挙区で普段から有権者と接触し政見その他を周知する行為」とされるが、選挙での支持を期待して行われることがある。具体的には公示(告示)前の戸別訪問である。公職選挙法で「別訪問」は禁止されているが、地盤培養行為は公職選挙法上の「選挙運動」(事前運動)とみなされないため[2]行えるもので、なおかつ「別訪問」と位置付けて法的リスクを回避し、選挙期間中には行わない。

こうした形で選挙を有利に進めようとするやり方を「ドブ板選挙」と呼ぶ[3]。その他、後援会活動も事前運動とみなされないため、同様の行為が行われることがある。後援会の場合は「入会の手続き(入会申込書)」「会員間の内部連絡(部内資料)」の体裁をとり、無差別には行わない。

看板

知名度看板のように市中に知られている(目立つ)喩え。地元有名企業の社長(社名と同じ苗字など)、多選者、世襲候補旧藩主家出身者、芸能人文化人等は知名度が高く、始めから有利である[4]。「看板のない」候補は自分の存在と名前を知らせる必要が生じ、不利となる。

選挙資金束が沢山入ったをイメージした喩え。選挙公営にもかかわらず資金が要るとされる主な理由は、高額な供託金の他、選挙期間前に行われる事実上の選挙対策費(政治活動・地盤培養行為扱い)である事務所経費(賃料・人件費・通信費)・交通費や後援会活動費(機関紙・部内資料・ウェブサイトポスター街宣車など)などがある。その他、立候補するために退職すると落選した場合無収入となるリスクがあり、資金があるか再就職に心配のない組織型候補が出やすい。

概説

理想としては、政治家は優れた政策や資質、能力で選ばれるべきとされているが、日本では、実際の当落は後援組織の充実度、知名度の有無、選挙資金の多寡や集金力の多少に依存している場合が多く、これを揶揄する文脈で用いられることが多い。

いわゆる世襲候補の場合、親から受け継いだ後援会、親議員の知名度、そして親の資産と三バンが全て備わっており、他の新人候補と比べて有利に選挙に臨める条件が揃っている。

タレント候補の場合は、地盤は希薄である場合もあるが、知名度と資金力、特に知名度が高いため、組織型選挙では難しいとされる無党派層の獲得を中心とした“都市型選挙”に強い傾向がある。この場合は必ずしも三バンを必要としない。

落下傘候補の場合、三バンの中で特に地盤(後援会)が充実していない例が殆どである。ただし、落下傘候補は知名度や資金など他の要素で地盤の不足を補いうるとの目算のもとに擁立されることが多い。

また、近年では、二大政党制を前提とする言論や無党派層の増加や選挙時の社会の動向などで選挙結果が大きく左右され、三バンのある候補が当選しない例も少なからず出ており、地縁が強いとされるような地域でも全く政策を必要としないとは言い難く、今後の選挙の見通しとしては不透明な部分がある。

脚注

  1. 使用例:「実動部隊となる県議や市町村議も圧倒的に少なく、「足腰が弱い現状では結局、全国に吹く風に寄りかからざるをえない側面がある」」。山梨日日新聞
  2. 選挙運動の方法
  3. 地方では効果絶大らしい…「ドブ板選挙」ってどんな戦術?
  4. 2010年の参議院議員通常選挙では主要政党が多数の芸能人を立候補させている。

関連項目