一次方程式
数学における一次方程式(いちじほうていしき、first-degree polynomial equation, linear equation)は一次多項式の根を求めるものである。
一変数の場合
a, b は実数の定数とするとき、
- <math>ax+b=0</math> または <math>ax=b</math>
後者の形の場合は、a ≠ 0 ならば(a−1 = 1⁄a が存在するから)一意的に解けて x = b⁄a がその解である。a = 0 のとき、b ≠ 0 ならば不能、b = 0 ならば不定である。
二変数の場合
テンプレート:Main 一般形は
- <math>ax+by+c=0</math>
で、これは {(x, y) | ax + by + c = 0} なる集合、つまり平面上の直線を表すと考えられる。が
- <math>y=mx+b</math>
なる形で扱われることも多い。これはふつう、x を自由変数とし y を x の従属変数とみるとき、一次函数と呼ばれるものである。
三変数および更に高次の場合
テンプレート:Main 三変数の場合
- <math>ax+by+cz=d</math>
はユークリッド空間 R3 における平面(空間平面)を表す。これは、ベクトル n := (a, b, c) に直交し、平面上の一点 x0 が与えられれば
- <math>\mathbf{n}\cdot(\mathbf{x}-\mathbf{x}_0)=0</math>
なる形に書きなおせる(平面の場合の「点・傾き標準形」の一般化)。ただし、左辺はベクトルの点乗積である。このベクトル方程式は一般の n-次元で考えれば、Rn 内の超平面(余次元 1 のアフィン部分空間)を表す。すなわち n-変数の一次方程式
- <math>a_1 x_1+\cdots +a_n x_n = b</math>
は超平面の方程式である。一次形式
- <math>L\colon (x_1,\ldots,x_n)\mapsto a_1x_1+\cdots+a_nx_n</math>
は線型汎函数で、「点・傾き標準形」は
- <math>\{(x_1,\ldots,x_n)\mid a_1 x_1+\cdots +a_n x_n = b\}=x_0+\ker L</math>
の形に書くこともできる。
更なる一般化
一次方程式の理論は係数や解を(実数や複素数のような数に限らず)一般の(非可換)体としてもそのまま成り立つ。特に、係数が(非可換)体 K であるような一次方程式が拡大体 L/K で解を持つならば、既に K において解を持ち、K における一般解がそのまま L における一般解になる。
テンプレート:See also A が行列、x がベクトル値の変数、b を定ベクトルとするとき、一次方程式
- <math>Ax=b</math>
は A が正則ならば解くことができて x = A−1b となる。
より一般に、集合 X に作用素の集合 T が与えられているとき、X-値の変数 x に対して作用 τ ∈ T および定元 b ∈ X を与えれば、方程式
- <math>\tau x = b</math>
は意味を持ち、τ の逆作用素 τ−1が存在すれば x = τ−1b となる。特に T が群 G で X がG-加群 M のとき、
- <math>gx + b = 0\quad (g\in G, b\in M)</math>
なども意味を持つ。