ヴァイオリンソナタ
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テンプレート:Portal クラシック音楽 ヴァイオリンソナタは、通常ヴァイオリンとピアノの二重奏の演奏形態によるソナタを指す。ヴァイオリンのソロによるソナタは「無伴奏ヴァイオリンソナタ」と呼ばれる。ソナタの形態としては「ピアノソナタ」に次いで一般的な形態である。
概要
バロックの時代のヴァイオリンソナタはトリオソナタから派生した独奏ソナタであり独奏ヴァイオリンが旋律を奏し、それに通奏低音の簡単な伴奏がつくものであった。独奏ヴァイオリンにはしだいに高度な演奏技巧が用いられるようになった。バロック後期にはこの形式のヴァイオリンソナタが全盛を極め、非常に多数作曲された。それに対して18世紀後半になると従来通奏低音として扱われてきたチェンバロが主体となるヴァイオリン助奏つきのチェンバロソナタが少しずつ作曲されはじめ、古典派の時代になるとチェンバロからピアノへと楽器が発展したこともあってヴァイオリン助奏つきのピアノソナタも作曲されるようになった。しかしこの時代にもヴァイオリンが華麗に活躍するヴァイオリン独奏ソナタは作曲され続けた。ロマン派の時代になるとヴァイオリンとピアノを対等に扱った曲が主流になり、ヴァイオリンとピアノの対比と調和の妙が聴かせどころとなるようになった。ヴァイオリンは非常に華やかな音色で否応なしにピアノのそれに比べて遊離する。聴衆側にピアノが伴奏でしかないと評価されるのは楽器の構造自体に理由があり合奏が難しい所以である。音響的な工夫など奏者には課題が多い。
代表的な作品
バロック
- コレルリ - 12曲 : 作品5(終曲「ラ・フォリア」が有名)
- ヴィヴァルディ - 多数
- シュメルツァー - 多数
- ジェミニアーニ - 多数
- ヴェラチーニ - 多数
- ビーバー - 多数 : 「ロザリオのソナタ」など
- ロカテッリ - 多数
- ルクレール - 多数
- タルティーニ - 多数 : 悪魔のトリル、捨てられたディドなど
- ヘンデル - 6曲(真作と確認されているのは二曲)
- J.S.バッハ - 11曲(他に偽作とされているものがある)
- 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV.1001 - 1006
- ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ BWV.1014 - 1019
- この時代に一般的であったヴァイオリンと通奏低音のためのソナタではなく、オブリガート・チェンバロつきのヴァイオリンソナタ(チェンバロのパートが右手の分も完全に書かれている)の形を取っている。
古典派
- モーツァルト - 45曲
- 初期の作品であるK.10〜K.15は「クラフィア(チェンバロ)と任意でヴァイオリンまたはフルートかチェロのために」と指定される。ヴァイオリンがピアノと対等になるのは概ねK.296以降の10数曲である。第24番K.296、第28番K.304(300c)、第34番K.378(317d)、第40番K.454、第42番K.526などが比較的よく演奏される。
- ベートーヴェン - 10曲 : 第5番 Op.24「春」、第9番 Op.47「クロイツェル」が有名。
ロマン派
- シューベルト - ソナチネ3曲(D384 - 386)、ソナタ イ長調 D574
- メンデルスゾーン - 3曲 : ヘ長調(1820年)、ヘ短調Op.4(1825年)、ヘ長調(1838年)
- シューマン - 3曲 : 第1番イ短調Op.105、第2番ニ短調Op.121、第3番イ短調(F.A.E.ソナタから2つの楽章を転用)
- フランク - 1曲 : イ長調(フランス系のヴァイオリンソナタの最高傑作といわれる)
- ブラームス - 3曲(第1番ト長調Op.78「雨の歌」、第2番イ長調Op.100、第3番ニ短調Op.108)、スケルツォ(F.A.E.ソナタの第3楽章)
- サン=サーンス - 2曲 : 第1番ニ短調Op.75、第2番変ホ長調Op.102
- ドヴォルザーク - 1曲 : ヘ長調B.106、ソナチネ ト長調B.100
- グリーグ - 3曲 : 第1番ヘ長調Op.8、第2番ト長調Op.13、第3番ハ短調Op.45
- フォーレ - 2曲 : 第1番イ長調Op.13、第2番ホ短調Op.108
- リヒャルト・シュトラウス - 1曲 : 変ホ長調Op.16
- ルクー - 1曲 : ト長調
近代
- ヤナーチェク - 1曲
- エルガー - 1曲 : ホ短調Op.82
- ドビュッシー - 1曲 : ト短調
- ニールセン - 2曲 : 第1番イ長調、第2番ト短調
- ラヴェル - 2曲 : ト長調、遺作
- レスピーギ - 1曲 : ロ短調(1916-17年)
- バルトーク - 4曲 : ソナタ(1938年)、第1番、第2番、無伴奏ソナタ
- エネスク - 4曲(第3番、遺作)
- プロコフィエフ - 3曲 : 第1番ヘ短調Op.80、第2番ニ長調Op.94bis(フルートソナタOp.94の改作)、無伴奏ソナタ ニ長調 Op.115
- プーランク - 1曲
- コープランド - 1曲
- ショスタコーヴィチ - 1曲 : ト長調Op.134