ワンダープロジェクトJ 機械の少年ピーノ
テンプレート:Infobox 『ワンダープロジェクトJ 機械の少年ピーノ』(ワンダープロジェクトジェイ きかいのしょうねんピーノ)は、1994年12月9日、エニックス(現スクウェア・エニックス)から発売されたスーパーファミコン用育成シミュレーションゲーム[1]。音楽は森彰彦が手がけている。
2年後に続編の『ワンダープロジェクトJ2 コルロの森のジョゼット』が発表された。本作と併せて「ワンダープロジェクトJシリーズ」と呼ばれている。
目次
開発経緯
ディレクターの平野がMacintosh用ソフトウェアの製作に携わっていた頃に、友人がドッグショーのゲームを遊んでいたのを見て考案したのが始まりだった。ゲームとしての企画を立ち上げたのはそれから8年後で、当初は1匹の生物を進化させながらゲームを進行させていくものだった。しかし、物語やキャラクターが用意されていないとユーザの感情移入が困難と思われ、「宮崎駿の作品の世界観をベースにしたオリジナルのゲーム」として企画が完成した。
また、1匹の生物を進化させるという概念は、本作の2年前にSFCに移植された「46億年物語 はるかなるエデンへ」でもある。
「ワンダープロジェクトJ」の名は、当時のVジャンプでソフト名の募集があり、数多いハガキの中から選ばれ、この名前が付いた。
なお、2008年のたのみこむの「復活して欲しいレトロゲーム」で、1位となる。
システム
プレイヤーは妖精のような姿のロボット・ティンカーを操作し、動き出したばかりのギジン(#ストーリー参照)・ピーノに何かの道具を提示し、行動を見てその使い方が正しい・正しくないと指示し、覚えさせる(例えば、ピーノが飲み込んではいけない物を飲み込んだ場合は殴るなど)。そして本番、イベントにてピーノに教え込んだ技術・能力を発揮させる。この繰り返しで、ピーノを成長させるのが基本となる。
ピーノには体力値と気力値が設定されている。体力値は筋力を使う道具を使用する、あるいはダッシュ移動を行うなどで減少し、気力値は頭を使う道具を使用すれば減少する。回復する方法としてポットで1日休むか、回復アイテムを使うことで全快することができる。また、複数回復アイテムを使用すれば最大値が増し、最大で500まで上昇させる事ができると言うある意味RPGの様なシステムを採用している。
画面構成はサイドビューを採用しており、プレイヤーはボタン入力でゲームを進めるのではなく、カーソルを動かし、画面中にあるオブジェクトに触る事でゲームを進行させる操作感を持つ。あるイベントではピーノ対COMでの戦闘が用意されており、ピーノの体力、または自信が尽きれば負け。逆に相手の体力を0にすれば勝ちである。なお戦闘は、全て自動で進行する。
エンディング後には自動的に「育成評価システム」が追加された2周目が始まる。内容や難易度等は1周目と全く同じだが、短い日数でイベントを進めることが目的となり、規定日数以下で全てのシナリオをクリアすることで、1周目のエンディングとは異なる、真のエンディングを見ることができる。なお、『J2』で語られる本作のストーリーは真のエンディングのものである。
ストーリー
その昔、50年前の戦争で荒廃したコルロ島を復活させるために、人間に代わる労働力として『ギジン』が作られた。ギジンと人間が手を取り合って復興することにより、見事コルロ島は緑を取り戻したのである。しかし、人間は自分達よりも高い能力を持つギジン達を疎ましく思い、やがて迫害するようになる。
ギジンの生みの親「ジェペット博士」はそんな状況を解消するため、人間とギジンとの橋渡しのために人間そっくりのギジンを創り上げた。それが『機械の少年ピーノ』である。しかし、ジェペット博士はピーノ完成直後、無実の罪で城へ連れて行かれてしまう。
ジェペット博士に作り出されたインターフェイスロボ・ティンカーは、ジェペット博士を救い出すために、プレイヤーと共に謎の『回路J』を起動させることとなる。
そしてピーノは様々な人々との出会いで心を培い、『回路J』を起動させることに成功したが、コルロ島を戦艦の砲撃から守るためにJの力を使ってしまい、倒れてしまう。
ジェペット博士の手によりピーノは修復された。今までの記憶と能力は失っていると思われていたが、プレイヤー達のことは覚えていたようだ。そこに王様からの手紙が届き、これからは人間とギジンが平和に暮らしていける国を作っていくことを約束すると書かれていた。
ジェペット博士の手によりピーノは修復された。今までの記憶と能力は失っていると思われていたが、プレイヤー達のことは覚えていたようだ。そこに王女様からピーノへプロポーズの手紙が届いた。博士は24日掛けてピーノを元通りにまで育成し、コルロ島にギジンの王子様が誕生した。
ピーノは島のために命を投げ打ってしまい、島中のギジンや人間が悲しんだ。それから5年後、王女は他国から呼ばれた王子と結婚し、男児を生んだ。男児の姿はピーノそっくりだった。
登場人物
- ピーノ
- 声 - 日高のり子
- 人間のような姿をしたギジンで、正式名称は、ギジン4649型。12、13歳の少年イメージして作られている。放っておくと、その性格によりゴルフの素振りや剣を構えるフリなど色々な行動をとる。食べられない物(生き物を含む)はない。人間の様に見えるため、人前で首を360度以上回転させて、しばしば人を驚かせることもある。プレイヤーの育て方によって性格は変化するが、基本的には天真爛漫で明るい性格を持つ。メッサラ曰く「髪がボサボサで赤いマントにブカブカのつなぎ(オーバーオール)を着た少年」。ジェペット博士の作った『回路J』が組み込まれている。様々な人々との出会いで心を培い、回路Jを覚醒させるが、メッサラに銃撃され破壊されてしまう。しかし、コルロ島の住人達の意思が回路Jと融合して、メッサラの乗船する空中戦艦「グラフ・シュペー」を破壊した。1周目のエンディングでは無事修復されるが、真のエンディングではその代償として修復不可となり、事件の5年後にコルロ島の王妃、ティファニーの母胎を借り人間に転生する。なお、転生した彼の活躍は続編である『J2』で見ることができる。アートディレクターの飯田によれば『未来少年コナン』のジムシィをモデルにしているという。4つの人格があり、プレーヤーはその人格を操作してイベントをクリアする。
- 自分が普通の人間とは違う機械人間である事に不信感を抱き、作中でも「ぼく…人間じゃないんだよね」などと述べることがあるが、1周目のエンディングでは人間になれたとしてもそれを望まず、機械人間である事に誇りを持つようになる。また『J2』の主人公ジョゼットとは違い防水皮膚は施されていない。
- ティンカー
- ピーノに直接命令するインターフェイスロボ。プレイヤーはこのティンカーを操作する。どこからともなくハンマーを取り出しピーノを殴ったりすることも出来る。正式名称は、ギジン4648型。『J2』の主人公ジョゼット(ギジン5984型)は彼女の人工頭脳がベースである。性格は几帳面で生真面目。
- ジェペット・ラマルク
- ギジンを創り出した。ティンカーやピーノからは『博士』と呼ばれている。
- 46号
- ピーノの良き友人にして相談役。息子がいる。正式名称はギジン4600型だが、ギチュウは「おまえらみたいな4600型」「量産型」と呼んでいるので、ギジン4600型というのが個人名なのか種別名なのかは不明瞭。
- ファム・ウィザード
- 野菜と動物をこよなく愛する老人。野菜が好きな少年も好き。本作では明かされなかったが、正体は竜人族の生き残りだったと言う事実が『J2』で明かされる。
- ミミ・アンジェライト
- ギジン専用の店をきり持つ女性。「ミミさん」と呼ばれ親しまれている。店ステージではミミさんが歌を歌ったりしてギジン達を楽しませている。ギジンを唸らせる高い歌唱力を持つ。
- メッサラ
- コルロ国の宰相にしてコルロ国王の側近。ジェペットを兵士にさらわせた張本人。ある秘密を持っている。
- アッド・キンガー
- 冒険家。ガメチーに多額の借金があり、返済と名声の為にピーノと共に宝探しの旅に出ることとなる。
- ガメチー・ポート
- 港守の男。いつもタバコをふかしながら海を見ている。アッドとは友人。
- ヤマネコ
- 金持ちの家からしか盗まぬ義賊の女性。猫のような身のこなしでお宝を盗み取る。ドロー、ボーという部下がいる。本名はルビー・カレン。
- 『J2』ではガロン・オネストと結婚し、娘のサファイアを授かる。カレン・オネストとして居酒屋を経営しており、ジョゼットをウェイトレスとして雇ってくれる。
作中用語
- 回路J
- 搭載したギジンの願いを叶える力を持つ回路(人間になると言う願いも叶えられる)。ただし発動には「自然を愛する心」、「スポーツを愛する心」、「冒険を愛する心」、「時として戦う心」、「他人を楽しませる心」、「勇気の心」、「他人を愛する心」がリミッターとして設けられていて、それぞれの心を芽生えさせる必要がある。
- ギジン
- 人型のロボット全般を指す。元々は荒れ果てたコルロ島の復興のために作られたが、復興が成ってからは処分するべきだとの声も高まり迫害を受けている。
- ギチュウ
- 虫型ロボット全般を指す。ギジンとは違い迫害は受けていない。
ピーノのステータス
攻撃性と感受性、運動性と知性とが対になっており、一般に片方の能力値を高めるともう片方が下がる。また能力値の平均がもっとも高い性質がピーノの性格となる。
攻撃性
このステータスが高いとピーノは短気で乱暴な性格になる。
- こうげき力
- 敵にダメージを与える度合いを表す能力。武器を使ったり、ギチュウを倒すことで増加する。
- ぼうぎょ力
- 敵の攻撃を防ぐ能力。ギチュウを倒すことで増加する。大きく高める方法が少ない。
運動性
このステータスが高いとピーノは体育会系の性格になる。
- うでの力
- 物を振ったり投げたりするのに必要な能力。物を持つ行動をすることで増加する。
- あしの力
- 物を蹴ったりジャンプしたりするのに必要な能力。物を蹴ることで増加する。
- バランス
- 細い道を渡ったり、長い物を振ったりするのに必要な能力。玉乗りなどをすることで増加する。
知性
このステータスが高いとピーノは知的な優等生タイプになる。
- しこう力
- 物を考えるために必要な能力。本を読むことで増加する。
- そうぞう力
- 新しいことをひらめく為に必要な能力。百科事典を読むことで増加する。
感受性
このステータスが高いとピーノは少々変わった行動(何でも口に入れる、色々な物に祈るなど)をとりやすくなる。
- かんじる力
- ピーノの物からの影響を受ける度合いを示す。においを嗅いだり、祈ったりすることで増加する。
- ひょうげん力
- 歌を歌ったり、楽器を演奏するために必要な能力。それらの行動をとることで増加する。
- やさしさ
- ピーノの優しさを示す。高すぎると武器を見ただけで逃げ出してしまう。絵本を読むことで増加する。
その他
ピーノの性格に影響しない。
- じしん
- ピーノの自信を現すパラメーター、これが低すぎると外に出るのも怖がって引きこもる。また、戦闘の攻防でも減少し、低くなると降参する。ある章で低いと人見知りが激しくなってしまい、相手から逃げ出してしまう。褒める事で高めることが出来る。
- まじめさ
- ピーノの真面目さを表すパラメーター。高いと物覚えが良くなる。
- コンキ
- ピーノの根気強さを表すパラメーター。低いと同じアイテムを使い続けたときにすぐに飽きてしまうが、高いとどんなに繰り返しても飽きなくなる。また戦闘時の連続攻撃の出安さにも影響する。
- しんらい
- ピーノからプレイヤーへの信頼度を表すパラメーター。低いと言うことを聞かなくなってしまう。
- うん
- ピーノの運勢を表すパラメーター。低すぎるとあるイベントでゲームオーバーになってしまう。何かに祈ることで増加する。
- ストレス
- ピーノのストレスを表すパラメーター。高いとアイテムの効き目が悪くなってしまう。人間と同じように頭を使うと増加し、運動することで減少する。
- たい力・き力
- 行動するために必要なエネルギーで体を使うと体力が、頭を使うと気力が減少する。0になるとピーノが機能停止して修理代を支払わなくてはならず、払えないとゲームオーバー。
関連作品
- 攻略本
- ゲームブック
- ワンダープロジェクトJ 機械の少年ピーノ(ISBN:4870258188、エニックス)
- コミックス
- ワンダープロジェクトJ 4コママンガ劇場(ISBN:4870258013、エニックス)
- スーパーコミック劇場Vol.3 ワンダープロジェクトJ(ISBN:4870259281、エニックス)
- サウンドトラック
- ワンダープロジェクトJ 機械の少年ピーノ サウンドアドベンチャー(PCCG-00334、ポニーキャニオン)
脚注
外部リンク
- スタジオ・森のげえむ屋さん - 製作者の1人である平野文鳥(米田喬)のサイト
- 平野文鳥のブログ - 個人作成の応援Flashを紹介する平野のブログエントリ ただしFlashはリンク切れしている
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