ワイルドバンチ
テンプレート:Infobox Film 『ワイルドバンチ』(原題: The Wild Bunch) は、1969年製作のアメリカ合衆国の映画。サム・ペキンパー監督による西部劇。時代の波に取り残された無法者たちの滅びの美学を描いた作品であり、西部劇に引導を渡した「最後の西部劇」と呼ばれている。ペキンパーの最高傑作として高く評価されている[1]。定義にもよるが「アメリカン・ニューシネマ 」の一つとされる。
概要
プロデューサーとの衝突でハリウッドを干されていたサム・ペキンパーが、4年ぶりに監督として参加した作品である。ウォロン・グリーンとロイ・N・シックナーが考案した原案を、グリーンとペキンパーが映画の脚本に仕立て上げた。
ペキンパーは本作品でスローモーション撮影と当時のカラー映画最多の3600カットを駆使し、アクション映画における暴力描写に新境地を切り開いた。特に6台のマルチカメラを用いて11日間ぶっ通しで撮影されたというラストの壮絶な大銃撃戦は、「デス・バレエ」(死のバレエ)、「ボリスティック・バレティックス」(弾道バレエ)などと呼ばれ、後続の映画製作者たちに多大な影響を及ぼした。
1969年度のアカデミー賞で作曲賞と脚本賞にノミネートされたが、受賞には至らなかった。1998年にアメリカ映画協会が選んだ映画ベスト100中第80位、2007年に更新されたリストではベスト100中第79位にランクインした。1999年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
あらすじ
1913年、テキサス州国境の町サン・ラファエル。パイク・ビショップ率いる強盗団の“ワイルドバンチ”は、騎兵隊を装い鉄道事務所の銀貨強奪を図る。しかし牢獄からの釈放を条件に鉄道会社に雇われた嘗ての旧友デケ・ソーントンに指揮された賞金稼ぎたちに待ち伏せされ、銀貨強奪には失敗し、パイクたちはメキシコへ逃走する。
賞金稼ぎたちとの銃撃戦で生き残ったのは、パイクの他にダッチ・エングストローム、ライルとテクターのゴーチ兄弟、エンジェルの4人だけだった。国境を越えてエンジェルの故郷の村に着いたパイクたちは、村が政府軍のマパッチ将軍に脅かされている事を知る。更にエンジェルは、恋人テレサがマパッチに連れて行かれた事を知って嘆く。
ソーントンと賞金稼ぎたちの執拗な追跡をうけて、逃げる場所のなくなったパイクたち一団は、マパッチ将軍のメキシコ政府軍が本拠地とするアグア・ベルデに逃げ込む。そこでエンジェルは、テレサがマパッチの膝の上に乗っているのを見て逆上し、彼女を射殺してしまう。エンジェルは暗殺を企てたとして政府軍に捕らえられるが、マパッチを狙ったのではないと分かりすぐに釈放される。エンジェルを引き取ったパイクは、1万ドルの報酬でアメリカの軍用列車から武器を奪うようマパッチから依頼される。
列車強盗を成功させ、約束通り武器を政府軍に引き渡そうとするパイクたち。マパッチ将軍の裏切りを予測していたパイクは、武器を小分けにすることで身の安全を図る。マパッチは渋々報酬を支払ったが、ダッチとエンジェルが交渉に向かった時に問題が起きる。マパッチを憎むエンジェルが武器の一部を反政府ゲリラに渡した事が政府軍に漏れていたのだ。それを知ったマパッチは、エンジェルを捕まえ残酷なリンチを始める。
仲間を見捨てる事が出来なかったパイクは、エンジェルを助ける為、たった4人で二百人を越すマパッチ軍に乗り込んでいく。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語版 |
---|---|---|
パイク・ビショップ | ウィリアム・ホールデン | 近藤洋介 |
ダッチ・エングストローム | アーネスト・ボーグナイン | 富田耕生 |
デケ・ソーントン | ロバート・ライアン | 納谷悟朗 |
フレディ・サイクス | エドモンド・オブライエン | 早野寿郎 |
ライル・ゴーチ | ウォーレン・オーツ | 羽佐間道夫 |
テクター・ゴーチ | ベン・ジョンソン | 穂積隆信 |
エンジェル | ジェイミー・サンチェス | 富山敬 |
マパッチ将軍 | エミリオ・フェルナンデス | 田中康郎 |
コファー | ストローザー・マーティン | 雨森雅司 |
T・C | L・Q・ジョーンズ | 仲木隆司 |
パット・ハリガン | アルバート・デッカー | 今西正男 |
クレージー・リー | ボー・ホプキンス | 野島昭生 |
脚注
参考文献
- ガーナー・シモンズ著、遠藤壽美子・鈴木玲子訳『サム・ペキンパー』、河出書房新社、1998年6月、ISBN 4-309-26340-2
- 原著:Garner Simmons (1982). Peckinpah: A Portrait in Montage. University of Texas Press. ISBN 0-87910-273-X.
- 遠山純生編『e/m ブックス vol.10 サム・ペキンパー』、エスクァイア・マガジン・ジャパン、2001年9月、ISBN 4-87295-078-X
外部リンク
- ↑ “It's most likely Peckinpah's best film, folding all of his personal themes and passions into one profane, profound ride through hell and back.”
Dawn Taylor、“Reviews: The Wild Bunch Special Edition”、The DVD Journal、2006年。(参照:2010年3月8日)