レッドスプライト

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ファイル:RedSprite.jpg
スプライト、2004年7月GHCC撮影

レッドスプライト (red sprite)、またはスプライト (sprite) は、雷雲上の中間圏で起こる発光現象であり、超高層雷放電の1つである。とは全く別の発光現象ではあるが、雷(雷放電)に付随して発光するといわれている。

漢字では「超高層紅色型雷放電」表記される。

概要

ファイル:Sprite from ISS (cropped).jpg
ISSから撮影されたスプライト。
ファイル:Sprite seen from space.jpg
ISSから撮影されたスプライトが出現する様子(時系列)。

スプライトは、アメリカ合衆国Franz らが1989年に、夜間ビデオカメラ較正をしていた時に偶然に撮影してしまった発光現象である。その (red) と妖精 (sprite) のようにひょっこり姿を現すことから、「レッドスプライト」と呼ばれるようになったが現在では、「スプライト」と呼ぶ。理論としてはチャールズ・ウィルソンが提唱していたが、当時はカメラも高性能ではなく、たとえ目撃しても目の錯覚だといわれていた。

Franz らの発見後、様々な科学者により盛んに研究され、実像が明らかになりつつある。色は色で、高度約50〜80kmで発光し、鉛直方向の大きさは20km程度、水平方向の大きさは数km〜70km程度である。スペクトル解析によると、窒素分子first positive band が支配的であることから、窒素分子がその発光に寄与していることが分かった。

スプライトの種類はいくつかあり、未発見の種類もあるかもしれない。

  • キャロットスプライト
  • カラム状スプライト
  • 妖精型スプライト(日本語訳では妖精型妖精となるが、より形状が妖精のようだったためこう名付けられた)

また、場所によって出やすい種類もあるようで、太平洋沖ではキャロットが、日本海側ではカラム状及び妖精型が出やすいといわれている。

雷雲からの放電現象としては雷が一般的に広く知られているが、従来より、雷雲から上方に何らかの形で放電や電流が流れているのではないかということが、専門家からは示唆されていた。スプライトの発見がこれほど近年まで発見されなかったのは、雷雲上の現象であることから、雷雲の真下からでは観測不可能なことや、その発光自体が長くても100ミリ程度で、人間の目が追いつかなかったということや、カメラで捉えるにしても、高感度である必要があったからではないかと思われる。

近年、日本では、科学者だけでなくアマチュア高校生も数万円程度の比較的安価なビデオカメラ等を用いてスプライトの撮影を活発に行っており、専門家も発見していない特性をも明らかにしている。特に高校生は、高校生天体観測ネットワークが研究テーマにし、冷却CCDカメラといった機材を貸し出したり、観測するためのマニュアルを発行したりして、新発見に力を入れていた。

人工衛星からの観測

詳細なデータを得るために、近年では人工衛星からの観測も行われている。

台湾のROCSAT-2は地上のリモートセンシングが目的だが、レッドスプライトや大気観測のためにISUAL観測器が搭載されている。

日本では、東北大学の研究チームがレッドスプライトを真上から観測するため、超小型衛星「雷神」を打ち上げた。しかしトラブルにより観測が順調にいかなかったため、後継機として「雷神2」を計画している。

スプライトの研究機関・研究者

脚注

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参考文献

関連項目

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外部リンク


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  1. テンプレート:Cite web