レコード会社

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レコード会社(英:Record label、別名:レーベル)は、音楽作品が録音・録画された記録媒体を専門に制作販売や広告代理業務、音楽家の仲介やマネージメント業務などを行う出版社。

概要

1877年にトーマス・エジソンが再生可能なレコードを発明以降、音楽作品の記録媒体に作成が可能となった。 これにあたって当時の電機メーカーなどが自社で開発製造した録音機器で音楽家による演奏を録音した記録媒体の販売を始め、現在のレコード会社の前身が誕生した。

レコード会社の中にはこれらを全て自社でまかなうものもあるが、その一部を大手に委託しているレコード会社も多い。レコード会社の最低限の要件は、録音・製造の資金を出すことである。一般にレコード会社は録音資金を出すことによって原盤権を取得するが、原盤権を音楽家作曲家歌手など)が保持し、レコード会社はその販売ライセンスを得てビジネスを行う場合もある。 また、レコード会社によっては、Jポップや演歌を中心に専属の作曲家や歌手などを抱え、芸能プロダクションとして機能しているところもある。

レコード会社の呼び方

レコード産業黎明期には、その担い手は蓄音機とレコードの両方を製造・販売する企業であり、「レコード会社」という言葉はこれらの企業を指すのに使われた。

レコード産業が発展すると、蓄音機の製造には携わらず、音楽作品の記録媒体の録音・販売のみを手がける企業が徐々に登場するようになった。 これらの企業も「レコード会社」と呼ばれる一方で、レコードの盤面中央部に貼られるラベル紙(label)のブランド名にちなんで、「レーベル」とも呼ばれ始めた。

委託型レコード会社

21世紀以降、インターネットやDAW、音響機器の発展から音楽家個人で作品の録音や記録媒体の作成、SNSや動画投稿サイトを使ったプロモーションが可能となった。 また、インターネット通信網とデジタル技術が向上したことによりiTunes StoreAmazon.comといったインターネットを介した小売店などでのダウンロード販売によるシェアが拡大し、レコード会社が需要以上の在庫を持つリスクがなくなった。 これによりベンチャー企業の参入がしやすくなり、アメリカではCD BabyやTuneCoreといった作品制作には関与せず、流通販売以降の業務を請け負うレコード会社が誕生した。 こういったレコード会社は前述のiTunes Storeなどのダウンロード通販サイトでの販売を主流としており、最大大手のCD Babyでは余計な仲介手数料などが掛からないことから低価格で販売され、2500万ドルの収益を上げているとされる。[1] また従来のレコード会社は在庫リスク回避のため、大衆受けが良い音楽ジャンルであり売れ行きが見込める音楽家のみと契約していたが、これらは売れ行き問わず多ジャンルの音楽家と契約(CD Babyでは850のジャンルの音楽家30万人と契約しているとしている。)し、販売時に利益を分け合う形式をとっている。

メジャーレーベルとインディーズレーベル

大企業のレコード会社やその系列の会社をメジャー・レーベル、中小企業のレコード会社をインディーズ・レーベルと呼称される。 一般的に世界の音楽市場の売上高で、全体のシェアの70%(アメリカ市場では85%)を占めている[2]ユニバーサルミュージック(34%)、ソニー・ミュージックエンタテインメント(28%)、ワーナー・ミュージック・グループ(23%(EMI系が7%))の3大レーベルを指し、それ以外のレコード会社をインディーズ・レーベルと呼ぶ事が多い。 1990年代ではワーナーミュージックグループ、EMI、ソニー、BMG、ユニバーサル・ミュージック・グループ、ポリグラムの6大レーベルが世界的なシェアを占めていたが、その後合併や買収などを繰り返し、現在の3大レーベルとなった。

日本での「メジャー」と「インディーズ」

日本では通常の意味とは全く別で、一般社団法人の日本レコード協会が発行する楽曲コードのISRCに登録された記録媒体が販売流通されることをメジャー流通と呼ばれる。ISRCコードがある作品は販売元がわかることから小売店で仕入れが容易であり一般流通しやすいことから、一定の価値があるとされ、音楽家の作品が初めてメジャー流通されることをメジャーデビューと呼ばれる。

また、対して個人や団体が同人で小規模に流通販売することをインディーズ流通と呼ばれる。これらの販売方法ではCDショップなどの小売店への直接交渉やコンサートなどでの手売り、通販、コミックマーケットやM3といった同人即売会での出展などがある。


脚注

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関連項目

外部リンク

テンプレート:音楽
  1. [1] bookbaby
  2. [2] Copyright Law, Treaties and Advice