モモ (児童文学)
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ハノーファー、ミヒャエル・エンデ広場にあるモモの像。Ulrike Enders作。
『モモ』(Momo)は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学作品。1973年刊。1974年にドイツ児童文学賞を受賞した。各国で翻訳されている。特に日本では根強い人気があり、日本での発行部数は本国ドイツに次ぐ。
1986年に西ドイツ・イタリア制作により映画化された。映画にはエンデ自身が本人役で出演した。
あらすじ
テンプレート:節スタブ イタリア・ローマを思わせるとある街に現れた「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちによって人々から時間が盗まれてしまい、皆の心から余裕が消えてしまう。しかし貧しくとも友人の話に耳を傾け、その人自身をとりもどさせてくれる不思議な力を持つ少女モモが、冒険のなかで奪われた時間を取り戻すというストーリー。
題辞
物語の前にイギリスの詩人ジェイン・テイラー(en:Jane Taylor (poet))が1806年に発表した『ザ・スター』が引用されている[1]。エンデはこれを「アイルランドの旧い子どもの歌」とし、テイラーの名は記していない[2]。岩波書店版(大島かおり訳)の詩そのものは武鹿悦子による有名な日本語訳詩『きらきら星』ではなく独自の訳である。
解釈
ストーリーには、忙しさの中で生きることの意味を忘れてしまった人々に対する警鐘が読み取れる。このモモという物語の中では灰色の男たちによって時間が奪われたという設定のため、多くの書評はこの物語は余裕を忘れた現代人に注意を促すことが目的であると受け止めていた。しかし、エンデ本人が世の中に訴えたかったことは、この「時間」を「お金」に変換し、利子が利子を生む現代の経済システムに疑問を抱かせることが目的だった。このことに最初に気が付き、エンデ本人に確認を取ったのはドイツの経済学者、ヴェルナー・オンケンである[3]。
日本語版
- 『モモ』(通常版) ISBN 4-00-110687-6 C8097
- 『モモ』(愛蔵版) ISBN 4-00-115567-2 C8097
- 『モモ』(岩波少年文庫127) ISBN 4-00-1141272
- 『ミヒャエル・エンデ全集3』 ISBN 4-00-092043-X C0397