名誉勲章
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名誉勲章(Medal of Honor)は、アメリカ軍の勲章において最高位の勲章。アメリカ合衆国の軍人に大統領から直接授与されるものである。「議会の名において」授与されることから議会名誉勲章(Congressional Medal of Honor)とも言う。多くは大統領感状も同時に授与される。
概要
授章基準及び対象は、「戦闘においてその義務を超えた勇敢な行為をし、若しくは自己犠牲を示したアメリカ軍人」とされている。授与されるのは1回の作戦毎に1師団から一人だけである。
メダル部分のデザインが陸軍、海軍、空軍で異なっており、海兵隊と沿岸警備隊には独自のデザインがなく、海軍の物が使用される。
1861年に海軍・海兵隊用が、翌1862年に陸軍用が制定されて以来、現在に至るまで2回受章した19人を含む、約3,400人が受章している。
名誉勲章受章者には、毎月一定額の手当、退職金の割増し、特別旅行など、数々の恩典が与えられ、その階級に関係なく、敬礼を先に受ける特権を常に有する。対象人物は軍装時・礼装時には勲章本体を着装するのですぐに分かる。
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1862年
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1896年
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1904年
主な受章者
3,444名に対して3,463個が授与された。19名が二度受章している。この内14名が別々の行動に対してそれぞれ授与されている。5名は一つの行動に対して海軍及び陸軍から授与された。第二次世界大戦以降852個が授与され、この内526個は死後に授与されている。合計では616個が死後の授与となっている。
第1号受章者は南北戦争でのテンプレート:仮リンクに参加したテンプレート:仮リンク(この当時は陸軍のみ)。
唯一の女性受章者は南北戦争の軍医であったメアリー・エドワーズ・ウォーカーであるが、彼女の勲章は1917年に他の非戦闘章に合わせて無効にされた。しかしながら1977年にジミー・カーター大統領によって有効とされた。
1918年に定められた現行規定では、アメリカ軍に所属する者で無ければ受章できないと明示されているが、例外も存在する。たとえば、メアリー・ウォーカーは軍との契約で働いていた。また、チャールズ・リンドバーグはアメリカ陸軍航空隊の予備役であったが、受章は民間パイロットとしてであった。加えて、1921年10月17日にはパーシング将軍によってイギリス軍の無名兵士に授与された。その後アメリカ軍の無名兵士には1921年11月11日にヴィクトリア十字章が授与されている。これらの例外を除くと名誉勲章はアメリカ軍人に授与される。これに国籍は関係ない。61名のカナダ人が名誉勲章を授与され、その大半は南北戦争中の功績に対するものであった。1900年以降は4名のカナダ人に授与されている。ベトナム戦争ではテンプレート:仮リンクだけがカナダ人の受章者であった。
名誉勲章は1973年のベトナム撤退以降その全ては戦死後の授与(追贈)となっていた。例えば、テンプレート:仮リンク一等軍曹とゲイリー・ゴードン曹長の2人(いずれも陸軍デルタフォース所属)は、1993年のモガディシュの戦闘で墜落したUH-60 ブラックホークのパイロット、テンプレート:仮リンク陸軍准尉の救助活動中に戦死し、その功績に対して授与された。また、イラクの自由作戦において初の名誉勲章受章者となったテンプレート:仮リンク一等軍曹は、同作戦展開中の2003年4月、バグダッド国際空港での攻防戦において負傷者の撤退を支援するため、ほぼ単独で50名以上のイラク兵を倒した功績に対して授与された。テンプレート:仮リンク伍長は2004年4月、敵から投げつけられた手榴弾の爆発から僚友を救うために、とっさの判断で手榴弾にヘルメットを被せ、その上に自分自身の体を乗せることで爆発の拡大を防いで戦死、その功績に対して2007年1月11日にジョージ・W・ブッシュ大統領より授与された。
最近の授与では、2007年2月26日にブルース・P・クランダル中佐に対して行われた。クランダルの功績はメル・ギブソン主演の映画『ワンス・アンド・フォーエバー』で描かれ、作中でクランダル役はグレッグ・キニアによって演じられた。その後2007年10月22日にNavy SEALs隊員マイケル・マーフィ大尉に対して行われた。マーフィ大尉は2005年6月にアフガニスタンで決行されたレッドウィング作戦において100名前後のターリバーン勢の攻撃を受けた中で仲間を生還させるために奮闘、その功績に対して授与された。彼の名はアメリカ海軍アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の62番艦に「マイケル・マーフィー」と命名されている。
また、2010年11月16日にアフガニスタン戦争における功績で受章したサルヴァトーレ・ジュンタ二等軍曹は、ベトナム撤退以降初の生存受章者であり、このジュンタ二等軍曹の受章により、ベトナム以後長らく続いていた死後追贈の記録は一度途絶えた。現在、最新の受章者であるダコタ・メイヤー海兵隊軍曹まで、3人続けての生存受章となっている。
- テンプレート:仮リンク - 最初の受章者。南北戦争時に南軍の鉄道を破壊した。
- アレクサンダー・S・ウェブ - 南北戦争の北部同盟将軍。
- アーサー・マッカーサー・ジュニア - 南北戦争での功績。
- テンプレート:仮リンク - 客船カルパチア号船長。沈没したタイタニック号の遭難者を救助した功績。
- ダグラス・マッカーサー - 太平洋戦争での功績。
- ジミー・ドーリットル - 東京初空襲の指揮官。
- リチャード・ボング - アメリカ全軍を通しての最高記録を持つエース・パイロット。
- セオドア・ルーズベルト - 第26代アメリカ合衆国大統領。
- ダニエル・イノウエ - 第442連隊戦闘団所属の日系人、アメリカ合衆国上院議員、元・上院仮議長。
- サダオ・ムネモリ - 第442連隊戦闘団所属の日系人。同連隊最古参の兵士で、士官に昇進してもおかしくない功績を立てたが、二等兵として最前線で戦うことを選んだ。バッファロー部隊の援軍として参加したテンプレート:仮リンクの戦闘で、ドイツ軍が塹壕内に投げ込んだ手榴弾から仲間を救うため、上に自らの体をかぶせ戦死した。
- マサト・ナカエ - 第442連隊戦闘団所属の日系人。
- ロバート・T・クロダ - 同上
- エイキ・コバシガワ - 同上
- バーニー・F・ハジロ - 同上
- ミキオ・ハセモト - 同上
- ジョー・ハヤシ - 同上
- シズヤ・ハヤシ - 同上
- シンエイ・ナカミネ - 同上
- ウィリアム・K・ナカムラ - 同上
- ジョー・M・ニシモト - 同上
- カオル・モト - 同上
- キヨシ・K・ムラナガ - 同上
- ジェームズ・K・オークボ - 同上
- ユキオ・オクツ - 同上
- フランク・H・オノ - 同上
- カズオ・オータニ - 同上
- アラン・M・オーハタ - 同上
- ジョージ・T・サカト - 同上
- テッド・T・タノウエ - 同上
- ユージーン・B・フラッキー - 海軍少将。
- リチャード・オカーン - 海軍少将。潜水艦艦長として太平洋戦争中トップの戦果を上げた。
- テンプレート:仮リンク - 海兵隊第1海兵師団第1海兵連隊第2大隊E中隊二等兵で、沖縄戦で戦死。キャンプ・ハンセンは彼の名に因む。
- アルバート・アーネスト・シュワブ - 海兵隊第1海兵師団第5連隊司令部中隊の一等兵で、沖縄戦で戦死。キャンプ・シュワブは彼の名に因む。
- テンプレート:仮リンク - 海兵隊第6海兵師団第22海兵連隊少佐で、沖縄戦シュガーローフの戦いで戦死。キャンプ・コートニーは彼の名に因む。
- テンプレート:仮リンク - 海兵隊少将。当時第6海兵師団第22海兵連隊重火器中隊火力班の伍長として、沖縄戦シュガーローフの戦い、孤立無援のタコツボで負傷の戦友を退避しつつも四日間守り抜く、退役後の1998年で追贈。
- ヒロシ・H・ミヤムラ - 朝鮮戦争での功績。
- テンプレート:仮リンク - 海軍中佐。リバティー号事件で、艦長として果たした任務を評価され受章。
- ロドニー・ヤノ - ベトナム戦争での功績。
- テリー・テルオ・カワムラ - ベトナム戦争での功績。
- リチャード・エッチバーガー - 空軍上級曹長。ベトナム戦争中に中立国だったラオスで、北爆を行なう友軍機を誘導するレーダー設置任務に従事し、負傷兵救出で戦死。中立国での活動は発覚すれば大問題になっただけに、「ベトナム戦争での戦死」扱いにされ、死後42年経ってからの公表・追贈となった。
- ゲイリー・ゴードン、テンプレート:仮リンク - モガディシュの戦闘の際、指令センターからヘリにいたほうがいいと言われながらも墜落したヘリのパイロットを救出するために降下、戦死。
- テンプレート:仮リンク - 陸軍一等軍曹。イラクの自由作戦での功績により受章。バグダッド国際空港付近で臨時の捕虜収容所・応急救護所を設置中にイラク軍の襲撃に遭遇し、友軍の支援が不十分であったにも関わらず負傷者の撤退を支援するために奮戦、最終的には戦死したものの、ほぼ単独で50名以上のイラク兵を倒した行為が評価された。
- テンプレート:仮リンク - 海兵隊伍長。イラク戦争の功績、戦死。
- テンプレート:仮リンク - 陸軍二等軍曹。アフガニスタン戦争での功績による。ベトナム戦争以来、初の生存受章者。
- テンプレート:仮リンク - 陸軍一等軍曹。アフガニスタン戦争(第2レンジャー大隊所属)での功績による。手榴弾から味方部隊を守り、右腕を失った。
- テンプレート:仮リンク - 海兵隊軍曹。アフガニスタン戦争「不朽の自由作戦」での功績による。
南北戦争 | 1,522 | インディアン戦争 | 426 |
辛未洋擾 | 15 | 米西戦争 | 110 |
サモア内戦 | 4 | 米比戦争 | 86 |
義和団の乱 | 59 | メキシコ遠征 | 56 |
ハイチ (1915–1934) | 8 | ドミニカ占領 | 3 |
第一次世界大戦 | 124 | ニカラグア占領 | 2 |
第二次世界大戦 | 464 | 朝鮮戦争 | 132 |
ベトナム戦争 | 246 | リバティー号事件 | 1 |
モガディシュの戦闘 | 2 | イラクの自由作戦 | 4 |
アフガニスタン戦争 | 4 | ||
平時 | 193 | 不明 | 9 |
所属 | 受章者数 |
---|---|
陸軍 | 2,404 |
海軍 | 745 |
海兵隊 | 297 |
空軍 | 17 |
沿岸警備隊 | 1 |
脚注
参考資料
- American Forces Information (1992).Armed Forces DECORATION AND AWARDS. Department of Defense.
関連項目
- 大統領自由勲章 - アメリカ合衆国で文民に送られる最高位の勲章
- 議会名誉黄金勲章 - アメリカ合衆国で文民に送られる最高位の勲章
- 宇宙名誉勲章 - アメリカ合衆国で宇宙飛行士に送られる最高位の勲章
- メダル・オブ・オナー (ゲームソフト)
外部リンク
- Official Society of Medal of Honor Recipients
- U.S. Army Center for Military History
- U.S. Army Medal of Honor Recipients - History and Heritage
- U.S. Army Human Resources Command. Medal of Honor designs
- National Medal of Honor Museum of Military History in Chattanooga, Tennessee
- Pritzker Military Library. Podcasts from the Medal of Honor series.
- American Valor PBS/WETA.
- History, Legend and Myth: Hollywood and the Medal of Honor (Medal of Honor recipients depicted on Film).
- Stealing the General: The Great Locomotive Chase and the First Medal of Honor by Russell S. Bonds
- U.S. Army Institute of Heraldry: Medal of Honor
- US Navy, Marine and Coast Guard recipients of the Medal of Honor in World War 2, a British perspective