ミッシェル
「ミッシェル」("Michelle")はイギリスのロック・バンド、ビートルズの楽曲である。
解説
本作は1965年12月3日に発売された6作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』のA面7曲目に収録された。レノン=マッカートニーの作。主部をポール・マッカートニーが、中間部をジョン・レノンが制作している。また、歌詞作りには(ジョンとポールの出会いの切っ掛けを作った)アイヴァン・ヴォーンの妻・ジャン=ヴォーンが協力している。リード・ヴォーカルはポール・マッカートニー。
1980年、ジョン・レノンは「真ん中の8小節までがポール。そのあとにぼくはニーナ・シモンのフレーズを入れようと言った。(歌いながら)♪アイ・ラブ・ユー♪ これさ。フランス語にするのはポールのアイデア。」と語っている[1]。
この曲の冒頭にフランス語の歌詞が出てくるが、これは「ミッシェル、ぼくの美しい人 とてもよくにあう言葉だ」という意味である。Michelleの語尾と「ぼくの美しい人(ma belle)」の語尾がともにelleで、韻をふんでいることを歌っている。公式発表曲の中で、フランス語が使用されている唯一の曲である。
この曲はメロディラインがフランスのシャンソンに似ていることから「ザ・ビートルズ公式発表曲の中で唯一のシャンソン」と関連書籍に書かれている。冒頭のコードのルート音が半音階で下降するコード進行は、クリシェと呼ばれる典型的なパターンであるが、ポール自身は「ジョルジュ・ビゼー風に書いた」と発言している。これは、オペラ『カルメン』のハバネラ「恋は野の鳥」(半音階で下降するメロディが特徴)をヒントにしたものであろう。ベースはコード進行とは異なる複雑な進行をしている。
本作は1966年度グラミー賞最優秀楽曲賞を獲得した。英米ではシングル・カットされなかったが、英日ではおのおの4曲入りEPもしくはコンパクト盤で発売され、日本ではこのコンパクト盤の存在を根拠にラジオのヒットパレードの上位につけた。また、フィリピンではシングル・カットされている。
ミキシング
モノラル・ヴァージョンはステレオ・ヴァージョンに比較してフェード・アウトが多少早い。また、CD化に際しリミックスがなされている。
収録盤
- 『ラバー・ソウル』
- "Rubber Soul"(Capitol)
- 『オールディーズ』
- 『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』
- 『ラヴ・ソングス』
- 『ビートルズ バラード・ベスト20』
- 『リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス』
カヴァー
アメリカ、イギリスでは、ビートルズのシングル・リリースがないことから、多くの競作盤が発売されている。アメリカでは、デヴィッド・アンド・ジョナサン(全米最高位16位)、ビリー・ヴォーン(全米最高位77位)、バド・シャンク(全米最高位65位)のヴァージョンがチャート入りを果し、イギリスでは、オーヴァーランダーズのヴァージョンが全英第1位を獲得、デヴィッド・アンド・ジョナサンのヴァージョンは全英最高位11位を記録している。