マクドネル・ミラー
マクドネル・ベネディクト・ミラー (McDonnell Benedict Miller) 、別名:カズヒラ(和平)・ミラー、通称マスター・ミラー (Master Miller) は、アクションゲーム『メタルギア』シリーズに登場する架空の人物。
声優は『メタルギアソリッド』では銀河万丈、『メタルギアソリッド ピースウォーカー』と『メタルギアソリッドV』では杉田智和が担当した。
概要
生年1947年、没年2005年。身長183cm。ほぼシリーズを通して主人公ソリッド・スネークを指導した教官であり、彼の良きアドバイザー。
日本人の母とアメリカ人の父を持つ日系二世[1]。当初は国籍を持っていなかったが、後にアメリカ国籍を取得。既婚であるが妻とは同居しておらず、一人娘のキャサリーと2人暮らしであった。
経歴
スネークと出会うまで
母親は10代半ばの頃、1945年3月10日の東京大空襲で焼け出され、横須賀に住む親戚に引き取られた。戦後、母親は駐留米軍相手にパンパンとして働き、GHQ民政局局長コートニー・ホイットニーの下で働く米軍将校との間にミラーを授かる。父親は日本にいる間ミラーの母親を妻のように扱ったが、帰国後に退役、現役軍人相手に講師となり「アメリカの家族」とバージニア州で暮らし始め、一切日本へ連絡をしなかった。また、母も父の話はほとんどしなかったため、ミラー本人は父の素性どころか名前も知らず、ある切っ掛けで父親の写真を見つけるまで顔も知らなかった。
年少のころは、日本人に不釣り合いな髪の色や目の色から、近所の人に揶揄されてきた。そのため、ミラーは幼少のころより「俺は勝者アメリカの子なんだ」「アメリカこそが俺の祖国で、いつかアメリカに行く」と、考えていた。
母は娼婦をやめてから父の残した金で煙草店を経営していたが、ミラーが10歳のとき体を壊し寝たきりとなったため、ミラーが代わりに店番をすることになる。父の名前、素性を知りたかったミラーは、米兵が来店するたびに父の写真を見せるなどして、父を知る人物を探した。数年後、ある米兵が「そいつはミラーだ、知ってるよ」と名前を教えてくれ、その後偶然来店した父の教え子から所在を聞く。ミラーはアメリカに行きたいという気持ちから、父に対して会いたいという旨の手紙を送ったところ、了承を得たため、母親を入院させて渡米する。父は年老い、すでに講師をやめていた。父にとってミラーは、ベトナム戦争で戦死した「アメリカの息子」や離婚した妻の穴を埋める存在であったが、ミラー自身もそれを認識していた。
22歳まで父と共に暮らしたが、大学卒業を境に日本へ帰国した。帰国後は病気が進行した母親を養うため日本に留まり、他に働き口が考えられるにもかかわらず1969年に陸上自衛隊に入隊した。2年後の1971年、母親の死去に伴い除隊する。除隊理由は母の死にあるが、「自衛隊では父親のいた米軍と肩を並べられない」「専守防衛に馴染めない」「三島由紀夫の自害で生き方や兵士としての在り方などを考えさせられた」などもあった。除隊後はアメリカに戻るが、すでに父親は自殺していた。
ピースウォーカー計画
流れ着くように中南米に渡り、コロンビアの反政府勢力に傭兵として雇われ、実戦未経験にも関わらず教官や部隊指揮官を任されてしまう。1972年、政府軍側に雇われていたネイキッド・スネーク(ビッグボス)率いる部隊との遭遇戦で、実戦経験の浅いミラーはまともに指揮ができず自己部隊を全滅させてしまった。その戦闘で自身も仕掛け爆弾により瀕死の重傷を負ったが、決死の覚悟でスネークを道連れにしようと手榴弾で自爆を図るも阻止され、助けられる。その後、仲間にならないかと誘ったスネークに対して勝負を挑むが、ことごとく惨敗する。その後、スネークと共に「国境なき軍隊」(MSF)を創設、副指令に任官する。
MSFでは組織運営や部隊指揮などに携わり、前線で戦うビッグボスを後方から支援した。また、MSFをPMC(民間軍事会社)のようなビジネスにしようとビッグボスに働きかけていた。
なお、裏では愛国者達と「敵でも味方でもないビジネス・パートナー」として繋がりを持っており、ビッグボスをサポートすると同時に、MSFビジネス展開を進める代償としてビッグボスを監視、愛国者達側へその情報を提供していた。「国境無き軍隊」とは言え彼のビジネス論には組織間の国境や他人の心のわだかまりは関係無いようである。
以降は、SAS(イギリス陸軍特殊部隊)、グリーンベレー(アメリカ陸軍特殊部隊)といった西側特殊部隊やアメリカ海兵隊のブーツ・キャンプなどで教官を務め、最終的にFOXHOUNDのサバイバル教官に就く。また、年に2回MERC SCHOOL(傭兵学校)のコーチも務めていた。FOXHOUND時代は教え子から鬼教官と称され、隊員達から敬意を込めて「マスター・ミラー」の愛称で呼ばれていた。
ドラマCD「平和と和平のブルース」では、スネークとの出会いが詳しく描かれており、負けたら仲間になるという勝負をしたが、その能力と反政府軍で信頼している仲間を口説いて仲間にしていることに負けを認め、共同経営者としてMSFを結成する。また、MSF内の何人もの女性隊員に手を出していたうえに、その度にマザーベースの施設を乱用し、それを見た男性兵士を負傷させたため、スネークに怒られている。(サウナ掃除1年の罰を受けている。)また、マゾヒズムの気があるのか、彼とのデートミッションで彼にCQCを行うと好感度が上がる。また、音楽好きのようで、登場人物のパスとバンドを組む約束をしていたり[2]、彼とのデートミッションで恋の抑止力をBGMでかけるとエア・ギターを行うが、寝込んでいだパスを励ますために歌を唄った際、音痴であることがパスの日記で明らかになっている[3]。
本作でミラーを演じた杉田智和が出演するゲーム『テイルズ オブ エクシリア』に、ミラーが着用しているサングラスがアタッチメント(キャラクターの見た目を変更する装飾品)として登場した。
ザンジバーランド騒乱
1999年。「マクドネル・ミラー」としての登場。 アイデアマンでありサバイバル技術や、科学的な知識にも長けている。ザンジバーランド蜂起では心理的な助言からサバイバル知識までソリッド・スネークをサポートし、彼の科学的な知識による助言のおかげでソリッド・スネークは硫酸のトラップの回避やビッグ・ボスを打倒できたと言える。
シャドー・モセス事件
2005年。FOXHOUNDを退役し、ソリッド・スネークと同じくアラスカで隠居生活を送っていた。しかし、本編の舞台となる「シャドー・モセス事件」の3日前に事件の首謀者リキッド・スネーク達によって密かに殺害されてしまう。その後、リキッドはミラーを装い、無線でスネーク達と接触。スネーク一行はリキッドがミラーに成り代わっていると知らず、結果的に事件の首謀者であるリキッド本人に助言を求め、彼にスパイ活動を許してしまうことになる。
小説版では襲撃時の描写が明確に描かれており、リキッド一味の襲撃を受けたときはアラスカにある自宅のトレーニングルームで一人汗を流している最中だったとされる。そのため非常に軽装だった事と家の外が極寒の大地だった事が災いし、戦う事も逃げる事も適わず、催眠ガスによる攻撃で力尽きてしまった。作中でリキッドが変装したミラーが登場することは少なく、原作でのミラーの助言は主にスネークの回想の中でのみ行われる。
脚注
テンプレート:METAL GEAR- ↑ メタルギア2やMGS1では、日系三世という設定。
- ↑ 結局パスはサイファーのスパイであったため、実現は有耶無耶となった。
- ↑ ドラマCD「平和と和平のブルース」内で港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカを歌唱したが、所々でキーが外れている。