ボガート
ケルト族の神話では、ボガート(Boggart)はいたずら好きだがときに人間を助けてくれる。家に住む精霊である。別名ボーガン(Bogan)またはボーグル(Bogle)。ボガト、ボガン、ボグルとも。
イギリスの民間伝承で、ボガートは屋敷に憑く霊で、それにより物体が消滅したり、牛乳が酸っぱくなったり、犬がビッコになったりする。常に悪さをし、どこへ逃げてもついてくる。少なくともイングランド北部では、ボガートに命名してはいけないことになっている。ボガートが名を得ると、理不尽で説得することのできない、手に負えない破壊的なものになる。
ボガートは夜間寝ている人に忍び寄り、冷たい手を顔に当てると言われている。敷布を剥がしたり、時に耳を引っ張ったりする。玄関に蹄鉄を架けるとボガート除けになると言われているが、それは誤りであることが証明されているテンプレート:要出典。
北イングランドでは、ボガートは危険な曲がり角の橋の下に棲み、御者がその橋を渡るとき丁寧に挨拶をしないと、不幸なことが起きるとされる。
百姓とボガート
リンカーンシャーのムンバイ村の昔話であるがテンプレート:要出典、ボガートはずんぐりとして毛がはえ臭った。話はこのように続く。百姓が、ボガートの棲む地を買った。そこを耕そうとした時にボガートが怒った。議論の末、一緒に働き、収穫を分けることとした。しかし、百姓は強欲だったので、ボガートを騙し取り分を巻上げることを画策した。何を植えるかの相談の時に、ボガートに、作物の地上分か、地下分のどちらを欲しいかたずねた。しばし考えた後ボガートは、地下分をとることとした。百姓は、大麦を蒔いた。収穫の時に百姓には、大山の大麦があったが、ボガートには、切り株のみであった。怒り狂い、叫び、次回となり、今回は地上分をとることとなった。百姓は馬鈴薯を植えた。収穫の時に百姓は高々と笑い、芋の山があったが、ボガートには何も無かった。怒りに煮えたぎり、ボガートは嵐のごとく消え去り二度と戻らなかった。
大衆文化
広大な、「ボガート洞穴クロー」と言う名の市営公園がイングランド、マンチェスターのマソンとブラックレイに接してある。クローは北部方言で急峻な木が生えた谷の意。この公園の多くの部分は谷からなり、ボガートが生息していたといわれる。19世紀初頭に特に多かった失踪事件はボガートの仕業とされる。
ボグルはC・S・ルイスの連続幻想小説、「ナルニア国物語」では邪悪な生物である。
天王星の衛星、パック (衛星)にはボグルと命名された噴火口がある。惑星命名規則によるとこの衛星については、すべて邪悪な霊の名とすることとなっている。
有毛のボガートは「ポケットの怪物」にいる。痩身で有毛で鎌を持っている。民話によると人間の農民が、ボガートの土地を盗み、各種の方法でボガートに耕させないようにしている[1]。
ターシャ・テューダーのウェルシュ・コーギーに関連する絵本では、友好的なブラウニーが出てくるが、無視されると嫌なボガートになる。
小説『ハリー・ポッター』シリーズの中では、彼が襲おうとする人の最も恐れるものに姿をかえるシェイプシフターとして登場している。彼らはクローゼットの中やベッドの下や木の幹にあいた穴などの暗く閉ざされた場所にいることを好む。当該項目参照。
ジョセフ・デラネイ(米国では「最後の実習生」で知られている)の連作、「区石年代記」では、ボガートは、役に立つが潜在的には危なかしい生物として描かれている。
チリでは若いサンティアゴ大学のジャーナリストがボガート銘で署名する。論評、写真、インターネットと電子計算機の道具の反省記事を発表している。本名は、フェルナンド・オルモス・ガレグイロス、1985年6月30日、沿岸の都市サンアントニオ生まれ[2]。
「スパイダーウィックの謎」では、ブラウニーが怒るとボガートに変身する。
カードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」では、「ローウィン」世界に住むゴブリンの一種である。新しい感覚や道具が大好きで、常に目新しく刺激的な遊びを考え、試している。
アンジイ・セイジの連作、セプティムスヒープでは、ボガートは沼地に生息する友好的な生き物。
スーザン・クーパーはスコットランドに棲むボガートのついての子供向けの小説を著わした。「ボガート」と「ボガートと怪物」。
White Wolf, Inc.(en)のゲーム 「Changeling: The Dreaming」(en)にはボガンと言う駒がある。これは時々ヒース野でみつかる役に立つ口から生まれた家事労働を楽しむ生き物として描かれる。
そのほか
ボガートは人物の姓である。有名な俳優にハンフリー・ボガートがいる。