ホラガイ
ホラガイ(法螺貝、Charonia tritonis 英、trumpet shell)は、フジツガイ科(旧分類 中腹足目 フジツガイ科)に属する巻貝の一種。日本に産する最大級の巻貝。サンゴを食害するオニヒトデを食べることから『オニヒトデの天敵』と言われることもあるが、オニヒトデの大量発生を抑える程の効果は無いとされる(詳しくはオニヒトデの項目を参照の事)。内臓の部分を除く身の部分は刺身などの食用とされる他、貝殻の部分は楽器として使用される。
楽器としての利用
貝殻の殻頂を4-5センチ削り、口金を石膏で固定して加工した吹奏楽器が、日本、東南アジア、オセアニアで見られ、日本では、使用例は平安時代から確認でき、12世紀末成立の『梁塵秘抄』の一首に、「山伏の腰につけたる法螺貝のちやうと落ちていと割れ砕けてものを思ふころかな」と記され、戦国時代には合戦における合図や戦意高揚のために用いられた[1]。
現存する中世の法螺貝笛として、「北条白貝(大小2つ、日本名貝の一つ)」があり、現在、福岡市美術館所蔵で、由来は16世紀末の小田原征伐の際、降伏した北条氏直が黒田如水の仲介に感謝し、贈ったものの一つとされる[2]。
修験道においては、立螺作法(りゅうらさほう)と呼ばれる実践が修行される。立螺作法には、当山派・本山派などの修験道各派によって流儀を異にし、吹奏の音色は微妙に違う。大まかには乙音(低音階)、甲音(高音階)、さらには調べ、半音、当り、揺り、止め(極高音)などを様々に組み合わせて、獅子吼に擬して仏の説法とし、悪魔降伏の威力を発揮し、更には山中を駈ける修験者同士の意思疎通を図る法具として用いられる。
昭和初期に発表された醍醐寺三宝院当山派本間龍演師の『立螺秘巻』は、その後の修験者、とりわけ吹螺師を修行する者の必須テキストとして評価伝承されている。
東大寺二月堂の「お水取り」では、堂内から鬼を追い祓うため、法螺貝が吹き鳴らされる。
J-POPでは歌手の忌野清志郎が生前よくライブ等で愛用していた。