ホオアカトキ
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ホオアカトキ(Geronticus eremita) は、鳥綱コウノトリ目トキ科に分類される鳥類。
分布
絶滅した分布域
形態
全長80センチメートル[1]。翼長41センチメートル[1]。後頸には短い羽毛が伸長する(冠羽)[1]。全身の羽衣は金属光沢がある紫がかった緑色[1]。
頭部には羽毛がなく、赤や橙、黒などの斑紋が入る[1]。虹彩は橙赤色[1]。嘴峰長13センチメートル[1]。嘴の色彩は暗赤色[1]。
生態
乾燥地の河川や海岸沿いの崖や岩場に生息する。群れを形成して生活することが多い[1]。
食性は動物食で、昆虫、カエルなどを食べる[1]。水辺や涸れた川底、牧草地などで採食を行う[1]。
繁殖形態は卵生。数十ペアからなる小規模な集団繁殖地(コロニー)を形成する[1]。断崖の岩棚に木の枝、枯草、根などを組み合わせた巣を作り、3-4月に2-4個の卵を産む[1]。抱卵期間は24-28日である。雛は43-47日で巣立ちする。
人間との関係
開発による生息地の破壊、殺虫剤の使用などにより、生息数が減少したと考えられている[1]。スイスやドイツで繁殖していた個体群は17世紀に絶滅した[1]。トルコ南部では一時期保護により生息数が増加しエリトリアやスーダンで越冬する個体群が復活したものの、後に絶滅した[1]。
英名の別名Waldrappは、「森のカラス」を意味するドイツ、オーストリアの古い方言である。18-19世紀初め頃までは、本種はカラスの一種として考えられていたこともあった。
1950年代にスイスのバーゼル動物園で繁殖に成功し、ここで生まれた個体が世界各地の動物園へ送られ飼育されている。現在、血統管理下での繁殖計画が進められている。
画像
- Geronticus eremita close up 2.jpg
頭部
参考文献
- 『世界の動物|分類と飼育 コウノトリ目+フラミンゴ目』、財団法人東京動物園協会、1985年、89-90、119頁
関連項目
外部リンク
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