ペルフルオロオクタンスルホン酸
テンプレート:Infobox 有機化合物 ペルフルオロオクタンスルホン酸(—さん、perfluorooctanesulfonic acid) は、完全フッ素化された直鎖アルキル基を有するスルホン酸。
共役塩基のアニオンが界面活性剤として用いられ、PFOS(ピーフォス、perfluorooctanesulfonate)と呼ばれる。
性質、合成
水溶性は低い (570 mg/L) がジメチルスルホキシド (DMSO) には溶けやすい。蒸気圧は小さい(3.31 x 10−4 Pa (20℃))。界面活性能が高く、水の表面張力を 15 mN/m まで低下させる。PFOSはノルマルオクタンスルホン酸の電解フッ素化より合成される。
用途
PFOSは、低分子量化合物であり、界面活性剤として表面張力の低下の目的で、めっき浴のミスト防止剤、塗料のレベリング剤、水性膜形成泡消火剤や中性強化液消火液、殺虫剤、半導体リソグラフィの反射防止剤、合成原料に用いられる。 また、PFOSが撥水撥油剤として用いられているとの誤った記載もしばしば見受けられるが、撥水・撥油処理剤は、PFOSとは枝分かれする形で作成されたスルホンアミドエタノールより作成されたモノマーを重合することにより製造される高分子化合物であり、異なる化合物である。 ちなみにPFOSそのものは撥水撥油性能を持ち合わせていない。
環境汚染
2000年に大手製造メーカーであった3M社は世界各地の野生生物中にPFOSが高濃度に検出されたことを明らかにし、製造を2002年に中止した。現在、世界各国の政府、研究者がその影響の調査に乗り出している。 2005年6月16日スウェーデンが残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の対象物質への追加を提案した。
日本では、2008年11月21日のPRTR法施行令改正でPRTR法第一種指定化学物質になり、2009年度以降の排出移動量の届出が義務付けられた。
2009年5月4日から8日までジュネーブにおいて、ストックホルム条約(POPs条約)の第4回締約国会議(COP4)が開催され、PFOSを含む9種類の物質が同条約の附属書Bに追加されることが決定された。
2010年4月1日の化審法改正で第一種特定化学物質に指定され、製造と輸入を許可制にし、事実上禁止した。