ベンズアルデヒド
テンプレート:Chembox ベンズアルデヒド (benzaldehyde) は、芳香族アルデヒドに分類される有機化合物のひとつ。示性式は C6H5CHO、分子量 106.12。IUPAC系統名は、ベンゼンカルバルデヒド (benzenecarbaldehyde) 。ベンゼンの水素原子一つが、アルデヒド基で置換された構造を持つ。CAS登録番号は [100-52-7]。
融点 −56.5 ℃、沸点 179 ℃ の無色の液体。苦扁桃油(アーモンドの一種から取った薬用油)様の香気を持ち、揮発しやすい。芳香族アルデヒドは特異な臭いを有するものが多いが、ベンズアルデヒドはアーモンド、杏仁(アンズの種)の香り成分である。安価な香料として用いられるほか、抗炎症作用が認められている。酸化されやすく、酸化されると安息香酸になり、表面に膜状様物質として浮かぶ。
製法
トルエンを60%硫酸と二酸化マンガンによって穏やかに酸化することで得られる(酸化力が強い場合には安息香酸まで反応が進む)。ジクロロメチルベンゼン(塩化ベンザル)の加水分解によっても得られる。
1995年の実績では年間7000トンが生産され、大半は化学合成によるものであるが、天然品も100トンほど生産されている。ヤニタケ属のテンプレート:EnlinkにL-フェニルアラニンを添加し培養すると、培養液1リットルあたり1グラムのベンズアルデヒドと3-フェニル-1-プロパノールが生じる[1]。
反応
銀鏡反応に対しては陽性、フェーリング液に対しては陰性を示す。水酸化ナトリウムなどの強塩基とともに加熱すると、カニッツァーロ反応によりベンジルアルコールと安息香酸とに不均化する。触媒量のシアン化カリウムの存在下に加熱すると、ベンゾイン縮合によりベンゾイン(C6H5C(=O)CH(OH)C6H5)に変わる。