ブレーヴェ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンプレート:ダイアクリティカルマーク ブレーヴェは、ダイアクリティカルマークのひとつ。ルーマニア語、トルコ語、ベトナム語などのラテン文字を用いる言語や、ロシア語などのキリル文字を用いる言語で使用される。
JIS X 0213ではブリーブと呼んでいる。
概要
元来はラテン語の学習時に短母音であることを示すために使われた補助記号であった。 名称は「短い」を意味するラテン語 brevis に由来する。 こうした由来から、日本語では短音記号と呼ぶこともある。 とはいえ、実際には必ずしも「短音」を表すものとなってはいない。
なお、ブレーヴェと対をなす“長音記号”は、マクロンと呼ばれる。 また、類似のダイアクリティカルマークに「ハーチェク」あるいは「カロン」と呼ばれるもの(ˇ)[1]があるが関連性はなく、混同してはならない。
各言語における用法
ラテン・アルファベット
- ルーマニア語
- ă は、非円唇中舌母音 テンプレート:IPA2 を表す。
- トルコ語等
- ğ が使用されるが、実際にはほとんど発音されない。
- ベトナム語
- ă は、短い テンプレート:IPA2 を表す。
- エスペラント
- ŭ は、テンプレート:IPA2 を表す。
キリル・アルファベット
ロシア語、ウクライナ語、ベラルーシ語、ブルガリア語など、キリル文字を使用するスラブ系言語の一部では、ラテン文字の i に相当する и にブレーヴェを添えた й があり、上向き二重母音 ай, ой などの後半にもっぱら使用され、テンプレート:IPA2 を表す。 また、ソビエト連邦時代以来キリル文字を採用している中央アジアやシベリアの諸言語でもこれに準ずるほか、こうした非スラブ系言語の場合は、йӕ, йӧ などのように母音の前に置かれたりもする。
й 以外には以下のものがある。
- ベラルーシ語
- ў が使われ、テンプレート:IPA2 を表す。
- ルーマニア語(キリル文字表記、沿ドニエストル共和国で現在も公式に使用)
- ӂ が使われ、テンプレート:IPA2 を表す。
- チュヴァシュ語
- ă, ӗ が使われる。
音声記号
国際音声記号では、「きわめて短い音」を意味する補助記号である。
その他の用法
h に下つきのブレーヴェを加えた ḫ は、セム諸語やヒッタイト語などの翻字に用いられる。
朝鮮語のローマ字表記法のうち、マッキューン=ライシャワー式では ŏ, ŭ を使用する。
符号位置
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|
脚注
テンプレート:Reflist- ↑ 形状に丸みのあるブレーヴェとは違い、下中央が尖っている。