フランシス・フクヤマ
テンプレート:Infobox 学者 フランシス・ヨシヒロ・フクヤマ(Francis Yoshihiro Fukuyama、日本姓:福山、1952年10月27日 - )は、アメリカの政治学者。父親が日系二世、母親が日本人の日系三世。かつてはネオコン政治思想家の代表的人物であったが、現在ではネオコンと距離を置き、批判する言説をいくつか出している。アメリカ在住。
プロフィール
会衆派教会の牧師で、後にペンシルベニア州立大学の宗教社会学教授となる父・喜雄と、1950年に戦後初の女子留学生としてシカゴ大学に留学した母・河田敏子との間に、シカゴで生まれる。コーネル大学に進学し、アラン・ブルームのもとで古典哲学を学ぶ。1981年ハーバード大学で政治学の博士号を取得。
ランド研究所研究員(1979-80年、1983-89年、1995-96年)、国務省政策企画本部スタッフ(1981-82年、1989年)、ジョージ・メーソン大学教授(1996-2000年)を経て、現在ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)教授を務める。2007年4月から関西大学政策創造学部客員教授を兼任。
1989年、冷戦終結に前後しナショナル・インタレストに掲載した論文「歴史の終わり?」において、「自由民主主義」「政治的自由主義」「経済的自由主義」[1]が最終的な勝利を収めることで社会制度の発展が終わり、人類発展としての歴史が「終わる」という仮説を提示し、1992年にはFree Press社から「歴史の終わり」を発表、アメリカ新世紀プロジェクト賛同者に名を連ねる[2]などネオコン思想家として一躍脚光を浴びることとなる。
一方、2003年頃からはネオコンと距離を置き、イラク戦争をめぐってブッシュ政権への批判を行った。特にブッシュ政権がイラクのみならず、中東全体を簡単に民主化できると考えたのは判断ミスだったと論じ、世界のマスメディアで取り上げられた。だが戦争を支持したり否定したり、ネオコンのような右派に寄り添ってみたり離れてみたりといった、一貫しない御都合主義的とも言える身の処し方に対して、厳しい批判も浴びせられている。
著書
単著
- The End of History and the Last Man, (Free Press, 1992).
- Trust: the Social Virtues and the Creation of Prosperity, (Free Press, 1995).
- 加藤寛訳『「信」無くば立たず』(三笠書房, 1996年)
- The Great Disruption: Human Nature and the Reconstitution of Social Order, (Free Press, 1999).
- Our Posthuman Future: Consequences of the Biotechnology Revolution, (Farrar, Straus and Giroux, 2002).
- State-Building: Governance and World Order in the Twenty-First Century. (Profile Books, 2004).
- America at the Crossroads: Democracy, Power, And the Neoconservative Legacy, (Yale University Press, 2006).
- The origins of political order: from prehuman times to the French Revolution, Farrar, Straus and Giroux, 2011.
- 『政治の起源――人類以前からフランス革命まで(上・下)』、会田弘継訳、講談社、2013年
共著
- The U.S.-Japan Security Relationship after the Cold War, with Kongdan Oh, (Rand, 1993).
- The "Virtual Corporation" and Army Organization, with Abram N. Shulsky, (Rand, 1997).
編著
- Nation-Building: beyond Afghanistan and Iraq, (Johns Hopkins University Press, 2006).
- Blindside: How to Anticipate Forcing Events and Wild Cards in Global Politics, (Brookings Institution Press, 2007).
- Falling Behind: Explaining the Development Gap between Latin America and the United States, (Oxford University Press, 2008).
共編著
- The Soviet Union and the Third World: the Last Three Decades, co-edited with Andrzej Korbonski, (Cornell University Press, 1987).
- East Asian Multilateralism: Prospects for Regional Stability, co-edited with Kent E. Calder, (Johns Hopkins University Press, 2008).
親族
出典
関連項目
- 歴史の終わり
- アレクサンドル・コジェーヴ‐「歴史の終わり」仮説はコジェ―ヴに由来する
- モーリス・パンゲ
- ネオコン
- 日系アメリカ人