バリンジャー・クレーター

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宇宙から見たバリンジャー・クレーター/NASAランドサット衛星画像
ファイル:Barringer Crater bottom.jpg
クレーターの底部に設けられた施設周辺

バリンジャー・クレーター英語Barringer Crater, Meteor Crater, Canyon Diablo Crater)は、アメリカ合衆国アリゾナ州フラッグスタッフの東約55キロメートルに広がる衝突クレーターである。他の呼称については後述する。[[[:テンプレート:座標URL]]35_1_38_N_111_1_22_W_ 北緯35度1分38秒西経111度1分22秒]に所在。

呼称

このクレーターは、日本語では、「バリンジャー隕石孔」「バリンガー・クレーター」「バリンガー隕石孔」とも表記され、「アリゾナ大隕石孔」、「メテオ・クレーター」「メテオール・クレーター」「ミーティア・クレーター」(Meteor Crater、直訳:流星クレーター、または、隕石クレーター)など[1]といった別名でも呼ばれている。

概要

バリンジャー・クレーターは今から約5万年前に地球に衝突した隕石によって形成されたクレーターであり、直径約1.2 - 1.5キロメートル[2]、深さ約170メートルである。クレーターを取り囲む周壁が特徴的で、周囲の平原からの高さは30メートルである。バリンジャー・クレーターを形成した隕石が衝突した時代、バリンジャー・クレーターが位置するコロラド高原は現在よりも寒冷湿潤な気候であり、マンモス地上オオナマケモノが生息する草原地帯であった。

バリンジャー・クレーターを作ったのは直径約20 - 30メートルの鉄金属隕石である。隕石は太陽よりも輝かしく燃えながら大気圏を通過し、時速4万キロメートルを超える速度で落下したと考えられる。そして、地上に激突した隕石は凄まじい爆発を引き起こした。そのエネルギーはツングースカ大爆発の3倍を超えると推測される。この爆発は、総重量は1億7,500万トンと推定される岩石を掘り起こし、孔の直径1.2キロメートル、深さ170メートルのクレーターを残した。周辺からは30トンもの隕鉄の破片が発見されており、周辺のディアブロ峡谷 (Diablo Canyon) の名を取って「キャニオンディアブロ隕鉄」と呼ばれている。

衝突地点ではあらゆる物質が融解・気化し、高温高圧によって炭素からダイヤモンドが生成された。衝突によって生成されたダイヤモンドはクレーターのごく近くと、ディアブロ峡谷でのみ発見されている。衝突はマグニチュード5.5以上の地震を引き起こし、クレーターの外側にあった30トンの石灰岩の塊を突き動かした。

衝突地点から半径3キロメートルから4キロメートル以内の生物は、衝突と同時に死滅した。その後、衝突によって発生した巨大な火の玉によって半径10キロメートル以内のあらゆる物質を焦がし、時速2,000キロメートルに及ぶ衝撃波が半径40キロメートル近くまで広がり、半径14キロメートルから22キロメートルまでのすべてを何もない荒野に変えた。しかしながら、この衝撃が地球の気候に大きな影響を及ぼすことはなく、100年ほどで動植物が再び根付いた。

発見

バリンジャー・クレーターを最初に発見したのは、アメリカ西部への入植者であった。発見された当初、多くの地質学者はバリンジャー・クレーターが火山火口であると勘違いしていたが、1903年に鉱山技師のダニエル・モロー・バリンジャーが巨大な鉄金属隕石の衝突によって形成されたクレーターであると指摘した。バリンジャーが経営する会社であるスタンダード・アイロン・カンパニー (Standard Iron Company) は1903年から1905年にかけてクレーターに関する研究を行い、バリンジャー・クレーターは隕石の衝突によって形成されたクレーターであるという結論を下した。1906年にバリンジャーは、共同経営者である物理学者テンプレート:仮リンクと共にインパクト理論を裏付ける証拠を示した。彼らは米国地質調査所に最初の論文を提出し、この論文はフィラデルフィアの自然科学アカデミー会報で発表された。その後、衝突によって発生した高温高圧の痕跡がユージーン・マール・シューメーカーの研究によって示され、バリンジャーの仮説が証明された。宇宙からの飛来物の衝突によって形成されたことが証明された地形は、バリンジャー・クレーターが初めてである。

周辺から30トンもの隕鉄が発見されたことから、バリンジャーはクレーターの底からはより大量の隕鉄が発見できるものと考え、その総量を少なくとも1億トンと推定した。そして、1929年までの27年間にわたって419mもの深さまで掘削を試みたが、はかばかしい成果を挙げることはできなかった。そして、掘削が中止されたすぐ後、心臓発作によりバリンジャーは亡くなってしまった。その後の研究で、実際に衝突した隕石の直径は約20 - 30メートルぐらいしかなく、クレーターの中心部では高温のため蒸発してしまったことが分かっている。

ギャラリー

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脚注・出典

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参考文献

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関連項目

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  1. NHKのテレビ番組『NHKスペシャル 地球大進化〜46億年・人類への旅』(2004年放送)では「バリンガー」、放送大学のテレビ番組『太陽系の科学』第7回「地球型惑星の比較」(2012年5月21日放送。講師:宮本英昭[1])では「メテオール・クレーター」と紹介された。
  2. 数値は資料によって異なる。