ハッシウム
テンプレート:Elementbox ハッシウム(テンプレート:Lang-en-short)は原子番号108の元素。元素記号は Hs。超ウラン元素、超重元素である。安定同位体は存在しない。
歴史
1984年、重イオン研究所の線形加速器UNILACによるテンプレート:仮リンクとテンプレート:仮リンクらの鉛に鉄イオンを照射する実験[1]によって合成に成功した。
1992年、IUPACとIUPAPによる合同作業部会の報告書によって認定されると、所在地であるドイツヘッセン州のラテン語名、ハッシア (hassia) にちなんでハッシウムが提案された[2]。
本来なら発見者提案が優先されるはずだが、1994年に発表されたIUPACの超フェルミウム元素に関する報告書[3]では、オットー・ハーンにちなんでハーニウム (hahnium, Hn) となっていた。
これはアメリカ化学会が105番元素名として提案し、アメリカでは既に使用されていた名前だったが、105番元素の命名権はドゥブナ合同原子核研究所が得ていた。ドイツ化学会・ドイツ物理学会の抵抗と長い議論が続き、系統名のウンニルオクチウム (unniloctium, Uno) の使用が続いた。
1997年、IUPACは改めて報告書を出し[4]、正式にハッシウムと命名された。
2002年、スイスベルン大学でわずか7原子から酸化物、次いでオキソ酸塩を合成する実験[5]が行われ、化学的性質のいくつかが測定された。
- 269Hs + 2 O2 → 269HsO4
- HsO4 + 2 NaOH → Na2[HsO4(OH)2]
性質
原子の巨視的-微視的 (MM) 理論では原子番号108番 (Z=108) は陽子単独の魔法数と考えられ、中性子の魔法数 (N=162) を併せ持つ二重魔法数のハッシウム270は長い半減期をもつ可能性が指摘されていた。
2001年5月、ベルン大学とパウル・シェラー研究所ほかの国際研究チームが、キュリウム248とマグネシウム26からの合成に成功[6]したが、推測された半減期は2〜7秒と、特に長寿命とは言えなかった。
一方、N が170を超えると再び安定傾向が強まる理論研究[7]から、中性子魔法数 (N=184) を持つハッシウム292を安定の島中心とする考え[8]もある。
化合物
第8族元素の遷移金属であり、性質はオスミウムに類似している。周期表の位置からエカオスミウム (eka-osmium) と呼ばれることもあった。2002年の合成実験成功により、現在確認されている化合物に含まれる最も原子番号の大きい元素となった。
出典
外部リンク
- 有機化学美術館(四酸化ハッシウムに関する記述あり)
- ↑ Chemical investigation of hassium (Hs, Z=108) 重イオン研究所
- ↑ テンプレート:Cite
- ↑ NAMES AND SYMBOLS OF TRANSFERMIUM ELEMENTS IUPAC
- ↑ NAMES AND SYMBOLS OF TRANSFERMIUM ELEMENTS IUPAC
- ↑ Chemical investigation of hassium (element 108) アメリカ国立生物工学情報センター
- ↑ DECAY PROPERTIES OF 269Hs AND EVIDENCE FOR THE NEW NUCLIDE 270Hs 重イオン研究所
- ↑ Doubly magic 270Hs 重イオン研究所
- ↑ Island-of-Stability Wikimedia Commons
- ↑ Düllmann, E. et al. Chemical investigation of hassium (element 108). Nature 418, 859−862 (2002) [1] [2]
- ↑ A. von Zweidorf et al. "Final result of the CALLISTO-experiment: Formation of sodium hassate(VIII)" GSI Scientific Report 2003. [3] (PDF)