ニコ
経歴
初期
多くの資料では、1938年10月16日にドイツのケルンで生まれたとされるが、少なくとも2つの資料では1943年3月15日にハンガリーのブダペストで生まれたとしている[1]。
10代の頃からパリを中心に『ヴォーグ』、『エル』といったファッション誌のモデルとして活動し、その後、フェデリコ・フェリーニの『甘い生活』(1960年)等の映画に端役で出演。この頃に、ニューヨークに移り、しばらくの間、ヨーロッパとアメリカの両方で活動を行う。
1963年にはジャック・ポワトルノー監督の『Strip-Tease』という映画に出演し、セルジュ・ゲンスブールのプロデュースでタイトル曲を録音した。1965年には、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズの紹介によりイギリスでファースト・シングルを出すが、商業的には成功しなかった。このシングルのB面はジミー・ペイジが作曲・プロデュースしている。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドへの参加
この頃、ボブ・ディランの紹介でアンディ・ウォーホルに出会ったニコは、ウォーホルが主宰する「ファクトリー」の実験映画に参加する。ウォーホルは自らがプロデュースしていたルー・リード率いるヴェルヴェット・アンダーグラウンドにニコを参加させ、1967年のファースト・アルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』では3曲でニコがリード・ヴォーカルをとった。しかし、いわばウォーホルにゴリ押しされた形のニコは他のメンバーに受け入れられず、ニコはデビュー作への参加のみでグループを去る。
ソロ歌手として
翌1968年2月には、ボブ・ディラン、ジャクソン・ブラウン等が曲を提供し、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのメンバーも参加したファースト・ソロ・アルバム『チェルシー・ガール』が発売される。また1969年にはイギー・ポップとの録音を残し、そのヴィデオも制作している。その後もニコが演奏するハーモニウムの音色が耳に残るアルバムを数枚発表するが、1973年の『ジ・エンド』を最後に長い低迷期に入る。
1981年に久しぶりに発表された『ドラマ・オブ・イグザイル』は、リリースをめぐるいざこざはあったものの、ジョイ・ディヴィジョン、バウハウス(バンド)、エコー&ザ・バニーメンといったバンドに代表されるニュー・ウェイヴ・ムーブメントの中で高い評価を受ける。この時期から、ニコは日本を含む世界各地でライブを活発に行い、その模様は多くのライブ・アルバムに記録されている。
ニコは1988年7月18日、イビサ島の自宅近くで自転車で転倒し、頭を強く打って病院に運ばれた。レントゲン写真で脳内出血が確認され、彼女は数時間後に死亡した。
一時期はアラン・ドロンとの交際で名を馳せ、彼との間にアリという男児をもうけている。『マーブル・インデックス』に収録された「アリの歌」(Ari's Song)はその名の通り、アリのことを歌ったものであり、Desertshoreに収録されたLe Petit Chevalierでは、幼い頃のアリのヴォーカルを聞くことができる。
ディスコグラフィー
- I'm Not Sayin'/The Last Mile (1965年、シングル)
- ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ The Velvet Underground and Nico / ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ The Velvet Underground and Nico (1967年)
- チェルシー・ガール Chelsea Girl (1968年)
- マーブル・インデックス The Marble Index (1969年)
- Desertshore (1970年)
- ジ・エンド The End (1973年)
- ドラマ・オブ・エクザイル Drama of Exile' (1981年) - 作品の権利をめぐる対立の結果、2つのバージョンがリリースされている
- カメラ・オブスキュア Camera Obscura / ニコ + ファクション Nico + Faction (1985年)
他に多数のライブ、未発表曲集、ベスト盤がある。
外部リンク
脚注
- ↑ The Marble IndexでのRichard Williamsによる解説には後者の説が記載されている。
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