ドラゴンハーフRPG
ドラゴンハーフRPGは、見田竜介著のマンガ『ドラゴンハーフ』(角川書店)の世界を舞台としたテーブルトークRPGである。システムデザインはグループSNEの清松みゆきで、1991年に富士見書房から出版された(発売日は9月25日)。判型は文庫判。
概要
原作のギャグ・ファンタジー世界を再現している[1]。システムはソード・ワールドRPG(以下、SWと表記)に近く、行為判定は6面ダイス2個を振って出た目が目標値以上ならば成功、6のぞろ目が出たら目標値に関係なく自動的成功となる。1のぞろ目が出たら自動的失敗になるという点もSWと同じだが、本作での自動的失敗のルールはギャグメーカー・レベル(後述)に関連しており、発生率が高まる可能性がある。また、ダメージの算定もSWに酷似した「レーティング表」から算出する。
キャラクターメイキング
プレイヤーキャラクター(PC)が選べる種族として、定番の人間やエルフ、ドワーフだけでなくドラゴンや悪魔神族(この世界では超絶的な戦闘能力を持つ悪魔の種族。大抵は悪役である)が用意されている。種族決定は基本的にサイコロを振ってランダムに決定されるが、PC自身の種族ではなく、まず両親の種族から決定するため、複数種族の混血(ハーフと総称される。ドラゴンと人間の混血は「ハーフドラゴン」ではなく原作の表記にあわせ「ドラゴンハーフ」と呼ばれる)が完成する可能性がある。なお、ドラゴンや悪魔神族は他の種族と比べ、キャラクターが成長すると、ゲームバランスが崩壊するほど強くなっていく[2]が、実のところこれはギャグマンガのTRPGなのでそのようなバランスは無用であるというデザイナーの意図による。
ギャグメーカー・レベル
各キャラクターには、取得技能レベルとは別に「ヒーロー・レベル」と「ギャグメーカー・レベル」が設定されている。作成直後のキャラクターはどちらもレベル2から始まる。行為判定のサイコロの出目がヒーロー・レベル以下でなおかつ成功なら、その行為は「かっこいい行動」となり賞賛される。また出目がギャグメーカー・レベル以下だったなら、達成値の如何に関わらずその行為は「大失敗」となり、なんらかのペナルティが発生する(「かっこいい行動」と「大失敗」では後者が優先される。本作のキャラクターはギャグに陥りやすいのだ)。
ギャグメーカー・レベルの高いキャラクターは行動が大失敗しやすい代わり、PCにとって都合のいい「ご都合主義」の発生を要求したり、致命的なダメージを受けても何事も無かったかのように蘇生したりできる。しかし、このようなギャグキャラクターの特権を濫用すればするほど、ヒーロー・レベルの成長が阻害され、そのPCはお笑い要員に堕ちていくことになるのだ。
バツ技能
本作をギャグRPGとして特徴付けるもう一つのルールが「バツ技能」である。これは、ジャイアンの歌のように「自分では得意と思っているが、実は人並み以下に下手くそ」な技能を表す。バツ技能を使っての判定は、6のぞろ目による自動的成功でない限り必ず「大失敗」となる。PCは必ずバツ技能を一つ取得しなければならない。はた迷惑な技能ではあるが、本作ではPCのギャグ的行動による笑いでも経験点が得られる[3]ため、このような技能で確実に笑いを取っていくことも必要となる。
作品一覧
シリーズは全て富士見ドラゴンブックから刊行された。
- ドラゴンハーフRPG(清松みゆき/グループSNE) ISBN 4829142499
- ドラゴンハーフRPGシナリオ集(1)笑いの迷宮[4] ISBN 4829142545
- ドラゴンハーフRPGシナリオ集(2)笑いの探索[5] ISBN 4829142626
脚注
- ↑ 本作の発売後、原作のストーリーはシリアスな展開になっていったが、このTRPGはあくまで脱力系のギャグや変人などを再現するものであった。
- ↑ 一般的な能力値は1~2桁だが、サンプルとして提示されている主人公ミンクの筋力と生命力は600。データ上では、能力値が5桁以上になることもありうる。
- ↑ プレイ終了後、最も笑いを取ったと判断されたキャラクター(PCとは限らない)に対して経験点が与えられる。なお、当初はプレイヤーやゲームマスター(GM)が笑う度に経験点を加算するシステムを予定していたが、煩雑になるので変更したとの事。清松はドラゴンマガジン誌上に連載されていたQ&Aで、ミンクを始めマンガに登場するキャラクターのレベルが異常に高いと考えられる事の「言い訳」として引き合いに出している(全国の読者が笑う度に経験点が加算されている、というわけ)。
- ↑ この題名は「ソードワールドRPGシナリオ集(1)『石巨人の迷宮』」のパロディである。
- ↑ この題名は「ソードワールドRPGシナリオ集(2)『ユニコーンの探索』」のパロディである。