トゥモロー・ネバー・ノウズ

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トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」 (Tomorrow Never Knows) はビートルズの楽曲である。

解説

本作は、1966年にリリースされたイギリス盤公式オリジナル・アルバムリボルバー』に収録された、ビートルズ初のサイケデリック・ロック曲。ジョン・レノンがCコードだけで作った。アルバムの最終トラックとして収録されたが、セッションでは最初に録音された。

曲の出だしでテープ式のループ(繰返し音)が鳴り、それに合わせてミニマルなドラムやベース・ギター等の演奏が始まる。曲全体で使われたループは全部で16種類と云われ、あらかじめビートルズのメンバーがギターの音をサンプリングして、その音をスタジオ内で加工したものである。後のヒップホップやクラブ系の音楽ジャンルでのバック・トラック制作の基本であるサンプリングとループの作成の試みを、ポピュラー音楽界でいち早く実験して成功させた曲といえる。録音テープをつなぐのはジョン・レノンが現代音楽の手法を持ち込んだもの。

タイトルは、「ア・ハード・デイズ・ナイト」と同様に、リンゴ・スターが何気なく呟いた一言から取られた[1]。なお、当初のタイトルは"Mark I"(マルコによる福音書1)であった。

この曲は、「ダライ・ラマが山の頂上から説法しているような感じで」とジョンが指示したため、「レイン」で始めた逆回転録音をさらに進化させたような作品で、故にサイケデリックな作風に仕上がっている。逆回転による鳥の鳴き声のような音が特徴的(実際にはギターを早回しにした音)。また、この曲はモーリス・ラヴェルの「ボレロ」同様に、一つのコード(C major)で貫かれている(ただし、途中はB♭が混ざって1小節分数コードになる)。

この1コードについて、ジョンは晩年のインタビュー[2]の中で、当初思い描いていたイメージは、数千人ものラマ教僧侶によるお経(経典)の大合唱を意図していたためであるとも語っている。なお、ジョンが自分の声を山頂で歌う僧侶のようにしたかったために、ボーカルをハモンドオルガン用のレズリースピーカーを使ってドップラー効果を出して再現した[1]。ジョージのインド音楽への傾倒により、この曲ではイントロから全編にわたってタンブーラ(インドの弦楽器)が演奏されドローン(インド音楽特有の完全五度持続低音)が表現されている[1]

歌詞は、ティモシー・リアリーチベットの『死者の書』を基にして書いた『The Psychedelic Experience: A Manual Based on the Tibetan Book of the Dead』(現在では『チベットの死者の書―サイケデリック・バージョン』(八幡書店)として入手可能)に触発されたもの。

この曲に関して、英国ステレオLP、モノLP、米国ステレオLP、モノLP、さらに英国1stプレス・モノLP共にミックスが違う。

ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティン等が手掛けたリミックス的なアルバム「ラヴ」(2006年発表)には、「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」のドラムの上に「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」のヴォーカルを乗せたキックス・ヴァージョンが収録されている。

脚注

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  1. 1.0 1.1 1.2 ジョージ・マーティン『メイキング・オブ・サージェント・ペパー』 水木まり訳、キネマ旬報社、1996年、121-126ページ
  2. 『ジョンレノンPLAYBOYインタビュー』株式会社集英社 1981年3月10日発行第1刷発行

外部リンク

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