叉焼

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「チャーシュー」もしくは焼豚(やきぶた)ともいわれるが、厳密にはこの両者は異なる。調理方法は複数ある。保存食的な意味合いも兼ね備えた料理である。語源は中国語の叉焼肉(チャーシューロウ 串焼き肉の意)。

概要

中国の焼豚

焼き豚は、皮つきの豚のバラ肉に塩と五香粉などスパイスを塗布し、炉で茶色に焼いたもの。チャーシューはバラ肉かモモ肉のブロックに紅糟(ホンサオ。紅麹で発酵させた米)、もしくは略式に食紅蜂蜜などを塗って、数時間炙り焼いたもので、縁が紅色。いずれも鉤に吊し、またはクシ(叉)などに刺し、専用の炉の中で吊して焼くことで、効率よく、安定した焼き方をすることができるようになった。広東料理では味も蜂蜜の代わりの麦芽糖コーンシロップを塗って焼いた「蜜汁叉焼」が主流で、比較的甘い。

香港広州には、店先に焼いた叉焼を吊るしている「燒臘店」(シウラプディム)と呼ばれる、叉焼やローストダックなどの焼き物専門店が多くある。家に買って帰ることのできる総菜店として、また叉焼飯などの定食も食べられ、ひとりでも気軽に入れる食堂として人気がある。広東料理では、チャーシューを食材として用いた饅頭腸粉などの点心も作られている。

日本の焼豚

日本では薄くスライスして食される場合が多い。また、家庭で作る事は少なく、小売店で購入したり(厚めの物や薄いラーメン用にスライスされたものなど各種ある)、外食店で(メニューの一部として。またはラーメンなど他の料理の一部として)食べる事が多い。

家庭では、ラーメンの具や飯のおかずや、酒のとする事が多く、日本の中華料理では、ラーメンの他に炒飯冷やし中華などの料理の材料としても使用されるケースがある(ハムが使用される場合もある)。特にラーメンの具として欠かせないものとなっている。

チャーシューは日本の多くのラーメン店において、必須の具材であり、他店との差別化を打ちだす経営上重要なポイントである。ラーメン店の多くは焼き豚専用の炉がないため、鍋の醤油で肉を煮て作る、中国で「醤肉(ジャンロウ)」と呼ぶ「煮豚」が、具として多用されている。直火焼きしたりフライパンで焼いて作る方法もあり、トロリとして柔らかく、ラーメンに良く合い日持ちをさせやすく、廃棄ロスを回避できる、安価なバラ肉を使用できる、煮汁を出汁タレに流用できるなどの点も、ラーメンの具に好んで用いられる理由の一つとなっている。


日本国内において、ラーメンの具材として使用される又焼代わりの肉を「チャーシュー」と俗称する場合もある[1]

他に「中華まん」等にも使用される。

製法

叉焼肉

  1. ヒレ肉または肩ロース肉を胡椒で下ごしらえする
  2. 紅糟(ホンザオ:中国の調味料)を肉にすり込み、一晩置く
  3. 肉を洗わずにパッパと手で紅糟を落とす
  4. 約180度に予熱したオーブンに入れる(家庭では魚焼きグリルで代用してもよい)
  5. 40-50分ほど、串を中心まで刺して赤い肉汁が出なくなるまで加熱する
  6. 一旦取り出し、肉全体に麦芽糖水飴蜂蜜を塗り、裏表を1分ずつ焼き、照りをつける

醤肉(煮豚)

  1. 豚の肩ロース肉(あるいは三枚肉)をたこ糸で巻いたり、タコ糸のネットで形状を整えたり崩れるのを防ぐ
  2. 醤油を主とし、長ネギショウガなどの香味野菜や砂糖味醂などを使用したスープで煮込む
  3. 醤油タレにつけたり、フライパンで炒め焼きしたり、バーナーやオーブン等で焼く場合もある

叉焼を使う料理

関連商品

香港や中国では、家庭で叉焼を焼くための合わせ調味料「叉焼醤」(チャーシュージャン)も市販されている。

関連項目

参考文献

  • 陳照炎、趙丕揚、胡烈夫編,『廚師及燒臘師手册』,香港・萬里機構,2003,ISBN 962-14-2342-2

脚注

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  1. 笠岡ラーメンの具材として使用される鶏肉料理品を「鶏チャーシュー」と呼ぶことがある毎日新聞 2009年11月17日 地方版
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