タイツ
タイツ(Tights)は、一般的にはストレッチサテン地、ナイロン地など伸縮性を持たせた布地で縫製されたフィット性のあるズボン。
保温を目的とした衣類の一種で、腰から足のつま先までを覆うパンティストッキング型状の製品が多い。また衣類の分類的にタイツは衣服であり、靴下ではない。
概要
日本においては、靴下に分類されているパンティストッキングより厚手のものがタイツと呼ばれているが、日本国外では一般的に両者は区別されていない。タイツはイギリスでの統一した呼び方で、アメリカ合衆国ではパンティホース(Pantyhose)と呼ばれる。
日本では戦前、戦後はウール糸で編まれた厚手の「バルキータイツ」が流通していた。
スポーツ競技やパフォーマンス等で使用することを目的とし、頭部まで覆う全身タイツがある。「ゼンタイ」ともいい、日本が発祥である。日本国外でも「ZENTAI」で通じ、全身タイツはレオタードからの派生である。
エアロビクス用やレースクイーン用のサポート力の強いタイツもある。
またバレエ用のファンデーション(インナーウェア)として上半身部分のストラップ付のトップと下半身部分のタイツが一体となったボディタイツもある。
網タイツも「タイツ」と呼ばれるが、パンティストッキングに近い。
パンティストッキングとの比較
メリット
デメリット
時代の変化
かつては衣類の衣替え同様、冬にストッキングからタイツへ、春にタイツからストッキングへ替えることが多かったが、2008年頃から冬に限らず、夏でも冷え性対策としてタイツを着用する若い女性が急増している。2005年以降、着用色別の売り上げは黒色が大多数を占めるが、カラータイツと呼ばれる派手な色のタイツを着用する者もいる。2010年以降の売上は橙色、黄色、桃色系が上位を占める。またチェック柄系やリブ系も人気が急上昇している。
歴史的服飾
歴史的には中世ヨーロッパでショース(ホーズ)と呼ばれる下半身を包む股引状の衣服が男性用に広く着用された。これは乗馬や運動のしやすさや防寒性の必要からの形状であり、現代のタイツの元祖といえるものだが、階層によって様々な形状のものが着用された。農民階級には左右が縫い合わせられておらず、通常は紐で腰に結んでおき、労働時には畳んで長靴下状にして激しい運動を行うというもの、商人・都市住民用につま先がないもの等さまざまな形状のホーズが存在し、素材も絹、毛織物から、より粗末な素材と多岐に渡った。
伸縮性を持つ素材がほとんど存在しなかったため、今日のタイツ同様、下半身を一体で包む形状のものは、着用者の体格に合わせて織り上げる高価なものであり、結果的に経済力に余裕のある王族・貴族やギルドの幹部など一部富豪しか着用できなかった。
イングランドのヘンリー8世の時代には、ショース(ホーズ)のふくらはぎ部分に詰め物をして、足を美しく見せるといった流行もあった。