スピノサウルス
スピノサウルス テンプレート:Snamei は、中生代白亜紀前期~後期(約1億1200万 - 約9,700万年前)の現アフリカ大陸北部に生息していた獣脚類(肉食恐竜)。属名は「棘トカゲ」を意味する[1]。
形態・生態
体長・体重
全長は15 - 17メートル。最大級の獣脚類であり、部分的なものではあるが非常に巨大な骨格も発掘されている。体つきは有名な大型肉食恐竜ティラノサウルスに比べ幾分華奢であり、体重は4 - 6トン程と推定されている。
帆
学名の元になった、高さ1.8メートルにもなる胴堆の棘突起は、生体では皮膚に覆われた帆を形作っていたと思われる。この帆は当時の炎暑の気候に適応し、ラジエーターとしての機能を果たしたと推定されている[1]。このような胴構造のため自在な運動は出来なかったとも考えられている。
食性
バリオニクスやスコミムス等の近縁種から想像されるその頭部はやや細長く、魚食性のワニであるインドガビアルを思わせる。歯も、魚食性ワニのような“鱗が張り付きにくい表面構造のもの”に類似しており、魚を主食としていた可能性が高い。近年の化石に対するCT検査では鼻腔には細孔が無数にあり、ワニのようにここに水中でのセンサーが集中していたと推測され、このことから水中でも活動していたと思われる[2]。この一方、現生のワニやクマのように、機会があれば魚以外にも他の恐竜やその死体なども食料としていたと考えられる(事実、近縁種で同じく魚食性が強かったと思われるバリオニクスの化石では、消化器官にあたる部位からイグアノドンの未消化の骨が見つかっている)。オンコプリスティス(軟骨魚類ノコギリエイ目)の化石と共に発見されることが多く、2005年に発見された化石には同種の骨の破片が確認されており、両者が捕食者、被捕食者の関係にあったと考えられている[2]。白亜紀の現アフリカ大陸北部に当たる地域ではカルカロドントサウルス、デルタドロメウス、そして本種の三種類の肉食恐竜が存在したが、主食となる獲物の対象が異なることで共存が成り立っていたと思われる。
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近年の復元図。鶏冠を持ったワニ様の頭蓋骨、手の大型の爪が特徴。
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頭部の復元図。
発見
エジプト、ニジェールから化石が発見されている。1915年、ドイツの古生物学者エルンスト・シュトローマーにより発見された最初の化石はカルカロドントサウルスなどと共に1944年の連合軍によるミュンヘン空襲の際に破壊されてしまったため、近年再発見されるまではよい標本が無く謎の恐竜であった。
分類上の位置
バリオニクスなどと共にスピノサウルス科に分類される。日本からもこの仲間と思われる歯の化石が群馬県神流町から発見されている。
映画など
『ジュラシック・パークIII』では、前作・前々作において主人公を執拗に追い回すティラノサウルスの役割を担っている。なお、本編ではティラノサウルスとの熾烈な戦いを見せ、勝利している。
ドキュメンタリーでは前述したBBCの「プラネットダイナソー」などに登場する。この中で、2011年までに判明していたスピノサウルスに関する研究結果が発表された。
脚注
関連項目
- オウラノサウルス - 同時代の同じ場所に生息していた鳥盤類恐竜。スピノサウルスと同様に棘突起が伸長し、帆を形成していたと推定されている。
- ギガントスピノサウルス - 名が似ているが全く異なる草食恐竜
- バリオニクス
- イリテーター
- スコミムス
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