ゴト
ゴトとは、パチンコやパチスロに於いて不正な方法で出玉を獲得するいかさま賭博。「ゴト行為」という表現をすることもある[1]。
概要
基本的には「パチンコ店が意図しない方法で客が大量の出玉を獲得するもの」を指すが、以下に述べるように「不正な方法」とされるものは多岐にわたる。
なおゴト行為による玉・メダルの獲得は「刑法235条・窃盗罪」、また不正行為が目的での入店は、店舗管理者の意思に反する立ち入りとして「刑法130条・建造物侵入罪」が適用され、法により罰せられる(体感器#体感器の違法性も参照)。
ホールコンピュータの一部にはゴトの自動検知を目的とした「異常遊技の検知機能」を持つものがある[2]。
主な方法
- ぶら下がり
- 遊技台に不正な部品を取り付ける物。台の中でハーネス接続された部品がぶら下がる様子から俗に「ぶら下がり」と呼ばれる[3]。
- 不正チップ
- 裏ROM・注射
- 基盤交換ゴト
- 体感器を使用するもの
- 玉の打ち出しのタイミングなどを遊技台内部の特賞抽選の周期に同期させるように、遊技者に知らせるための特殊な電子機器を用いたもの。ソレノイドを使って直接レバーを叩くことも行われている。メーカー側が体感器を利用したゴトに対する注意喚起を呼びかける例もある[4]。タイミングを得るために、センサーによって微弱信号を読み取るものも存在する。振動センサ等によってレバー操作の履歴を得て、そこから押し順を教えてくれるというものも存在する。
- 電波発射機を使用するもの
- 遊技台に電波を発射して台のセンサー等を誤検知させるもの[5]。
- 電磁波発射機を使用するもの
- 電波ではなく、電磁波を使うもの。補助としてデカ玉を使うこともある。
- 静電気を使用するもの
- 電子ライターの点火機構を使ったものなど。
- クレジットを不正に貯めるもの
- パチスロ特有のゴトで、パチスロ機のコインセレクターを誤検知させて、実際にはコインが投入されていないのにコインが投入されたものと認識させるもの。現在のパチスロ機にはコインを50枚まで貯められるクレジット機能があるため、「クレジットを貯める→払い戻し」を繰り返すことで多くのコインを獲得できる。このための機器は俗に「クレマン」などと呼ばれる[6]。
- コイン戻し
- やはりパチスロ特有のゴト。パチスロ機のコインセレクターを通過したコインは通常ならパチスロ機内部のホッパーに貯留されるが、それを貯留させずに遊技者の手元に戻してしまうというもの[7]。
- ガセ玉(ヤミ玉、持ち込みゴトとも)
- こちらはパチンコ特有のゴトで、パチンコ店が貸し出す正規のパチンコ玉以外の玉を店に持ち込んで使うもの。持ち込んだ玉をそのままジェットカウンターに流し換金を狙うものから、正規のものと異なるサイズの玉を使って大当たりを引きやすくすることを狙うものなど、実際の手口は幅広い。この手口の発祥はかなり古く、昭和30年代には既に被害例があったものと見られている[8]。
- 油ゴト
- 同じくパチンコ特有のゴトで、パチンコ玉に油やクリーム等を塗ることで玉の摩擦力を変化させ大当たりを引きやすくするというもの[9][10]。ゴトの性質上、玉の動きが大当たりに直結する羽根モノや権利物・一般電役といったタイプの台が狙われやすい。
- 磁石ゴト
- 磁気センサの無い部分に磁石を当ててブドウを作る[11]という手法。
- 釘曲げゴト
- 道具で隙間を開けて、そこからピアノ線等で釘を曲げるという手法。
- セルゴト
- ホッパーゴト
- 糸付き玉
- ドツキゴト
- 機種特有の不具合を利用するもの
- 遊技台のハード・ソフト上の不具合を利用したもの。特に致命的なものについては、メーカー側が当該機種の回収・交換や店への補償などを行うことが多い。過去の主な例としては『コンチネンタル』(瑞穂製作所)、『ゴールドX』(アルゼ)、『鬼浜爆走紅蓮隊 爆音烈士編』(アビリット)などの事例がある。
対策部品問題
ゴト事案が発生すると、当然ながらパチンコ店側ではそれに対する対策を行うことになるが、人手による監視等だけでは対策に限界があるため、一般的にはゴト事案ごとに対応した対策部品を遊技台に取り付けて対応することが多い。しかしこの対策部品の扱いについていくつか問題が存在する。
一つは対策部品の取り付けに関するもの。遊技台自体は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)上の営業設備の一部に当たるため、遊技台に対策部品を取り付けるということは「営業設備の変更」に他ならない。このため対策部品は各都道府県の公安委員会の認可を受けたものしか取り付けることができないほか、取り付けに当たっては所轄の警察署への届出が必要になる。しかし対策部品の認可については都道府県で判断が異なるケースがあるほか、ホットボンドやインシュロックなどを使用した対策等についても地域によって使用可・不可の判断が異なり、現場の混乱を招いている[12]。
もう一つが対策部品取り付け済みの遊技台の扱い。新台や中古台の購入・チェーン店相互間での台の移動などである店に新たに台を設置するケースでは、一度対策部品を全て外してメーカー出荷時の状態に戻してからでなくては警察への届出が行えないのだが、対策部品の中には「一度取り付けたら取り外し不可能」というものも少なくなく、対策部品付きの台を中古台として売却することができないなど、パチンコ店側に不自由を強いている。ただ、現在も法律・政令上はこの状況が続いているが、警察庁では2009年に通達を出し、公安委員会認可済みの対策部品については部品の取り外しなしで届出を認めることとしているため[13]、この点については事実上問題が解消したといえる。
ゴトを題材にした作品
脚注
テンプレート:Reflisten:Pinball#Cheating- ↑ ごと行為 - コトバンク
- ↑ MIRAIGATE - ダイコク電機
- ↑ あっという間に「ぶら下がり」被害1億円超も被害届はなし - コスモローム研究所
- ↑ 体感機によるゴトについて - ネット
- ↑ 電波発射機の直撃ゴト発生!「海」だけではない拡大に警戒を - コスモローム研究所
- ↑ 『十分な警戒が必要』です - コスモローム研究所
- ↑ セレクタの形状 - コスモローム研究所
- ↑ ゴトに「疑い過ぎか」はない - コスモローム研究所
- ↑ 不正情報・CR餃子の王将 - P・S検査機構
- ↑ ○○でアルゼ電源BOXが!! 他4件 - A・P総研
- ↑ パチンコ・パチスロ用語辞典 - weblio辞書
- ↑ ホットボンド使用だめ? - コスモローム研究所
- ↑ 不正防止対策を施した遊技機の取扱いについて(通達) - 警察庁・2009年8月25日