コロッセオ

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コロッセウムラテン語Colosseum, イタリア語Colosseo コロッセオ)は、ローマ帝政期に造られた円形闘技場。英語で競技場を指す colosseum や、コロシアムの語源ともなっている。現在ではローマを代表する観光地である。

歴史

ファイル:Map of downtown Rome during the Roman Empire large.png
ローマ帝政期におけるローマ中心部の地図。右上にコロッセウムが描かれている。

コロッセウムはネロ帝の黄金宮殿(ドムス・アウレア)の庭園にあった人工池の跡地に建設された。すでに掘り下げられていたため池の水を抜くだけで済み、基礎工事をいくらか省略することができた。工事はウェスパシアヌス治世の75年に始まり、ティトゥス治世の80年から使用されるようになった。使用開始に当たっては、100日間に渡りイベントが続けられ[1]、数百人の剣闘士が闘いで命を落としている。なお、完成したのはドミティアヌスの治世中である。

フラウィウス朝の皇帝が建設者であることから「フラウィウス闘技場」(フラウィウス円形闘技場)が本来の名前である。しかし、ネロ帝の巨大な像(コロッスス)が傍らに立っていたためコロッセウムと呼ばれるようになったといわれている[2]

ファイル:Jean-Léon Gérôme - The Christian Martyrs' Last Prayer - Walters 37113.jpg
地下から登場した猛獣の餌食にされようとしているキリスト教徒。

構造はローマン・コンクリート(火山灰を利用したコンクリート)で出来ている。鉄骨を用いないコンクリートにも関わらず幾多の地震の際も崩壊しなかったのは、全体が円筒形で力学的に安定していたためである。

ローマ帝国のキリスト教化に伴い血生臭い剣闘士競技は禁止されたと言われているが、443年に地震で破損したコロッセオの修復を行ったことを記念する碑文が残されており、地中海西部でのローマ帝国の支配が崩壊した6世紀でも修復の記録が残っていることから、古代末期までは競技場として使用されていたと考えられている[3]

コロッセウムに使用されている建材は、中世を通じて他の建築物に流用され続けた。つまり一種の採石場とされていたのである。その大理石バチカンサン・ピエトロ大聖堂にも使用されている。それにもかかわらず往時の姿をとどめているのは、迫害されたキリスト教徒がここで殉教したと伝えられていたため、一種の聖地となっていたからである。しかし、キリスト教徒が迫害されたという明確な証拠はない。ローマ教皇ベネディクトゥス14世によりコロッセオは神聖であるとして保存されるようになった。現在外周は半分程度が残っている。古代の完全な状態に再現しようとする動きはなく、このままの形で保存されていくと考えられている。

1900年を越えた現在ではローマはイタリアの一都市となってしまったが、コロッセオは今もって古代ローマの象徴でありつづけている。

かつて多くの殺人(公開処刑を含む)が行われた場所であることから、現在では死刑廃止のイベントのために使用されている。例えば、11月30日の「死刑に反対する都市(Cities for Life)」の日や、新たに死刑を廃止した国が出たときには、その記念としてコロッセオがライトアップされる。2007年1月には、イラクサッダーム・フセイン元大統領の処刑に抗議するために点灯された。

構造

ファイル:0 Colosseum - Rome 111001 (1).JPG
壁面の穴は戦傷の痕ではなく、建設および補修時の足場用の木材を挿入するための穴である。
ファイル:0 Colosseum - Rome 111001 (2).JPG
コロッセウム内部。地下にあった施設が現在ではむき出しになっている。

長径188m短径156mの楕円形で、高さは48m、45,000人を収容できた。また、天井部分は開放されているが、日除け用に布を張る設備があった。皇帝席には一日中直射日光が当たらないように設計されており、また一般の観客席についても一日に20分以上日光が当たらないように工夫がなされていた。

初期においては競技場にローマ水道より引いた水を張り、模擬海戦を上演することさえ可能だったが、後には「」のような複雑な舞台装置を設置したためにそのような大規模演出は不可能となった。また人力エレベーターも存在し、剣闘選手の入場に用意されていた。現在ではその巻き上げを行った柱の跡が残っている。

コロッセウムの横には噴水が作られた。それは「メタ・スダンス(汗をかく標識)」といわれ、闘いを終えた剣闘士もここで体を洗ったと伝えられている。

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コロッセウムが登場する作品

脚注

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関連項目

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テンプレート:ローマ遺跡 テンプレート:新・世界の七不思議

  1. [ ビジュアルシリーズ 世界再発見1 フランス・南ヨーロッパ」p96 ベルテルスマン社、ミッチェル・ビーズリー社編 同朋舎出版 1992年5月20日第1版第1刷
  2. Martialis, Marcus Valerius、Sullivan, John Patrick、Whigham, Peter、1987年『Epigrams of Martial - Englished by divers hands』カリフォルニア大学、ISBN 0-520-04240-9の51ページ目参照。
  3. 本村凌二編著/池口守・大清水裕・志内一興・高橋亮介・中川亜希著『ラテン語碑文で楽しむ古代ローマ』(研究社 2011年)P118-119