コラテラル
テンプレート:Infobox Film 『コラテラル』(原題:Collateral)は、2004年製作のアメリカ映画である。マイケル・マン監督のサスペンス映画。トム・クルーズが悪役を演じたことで話題になった。
ストーリー
平凡で真面目なタクシードライバーのマックス(ジェイミー・フォックス)は、ある夜、最初の客アニー(ジェイダ・ピンケット=スミス)と目的地に着くまでの時間で賭けをする。賭けはマックスの勝ちで、彼は検事局に勤める彼女から「何か困った時に」と連絡先を貰う。次に彼は「ヴィンセント(トム・クルーズ)」と名乗るビジネスマン風の客を拾う。目的地に着くと、ヴィンセントはマックスの生真面目さを買い、マックスにタクシーの貸切りを持ちかけて来る。はじめは「貸切りは規定違反になる」と断るマックスだが、ヴィンセントの強引さと600ドルの誘惑に負けて、これを引き受けてしまう。
しかしそれは単なる貸切りではなく、殺し屋の手伝いをさせられる事を意味していた。当初マックスはそれに気付かなかったが、ヴィンセントが殺した標的の死体がマックスのタクシーの上に落下するアクシデントが発生。戻ってきたヴィンセントは態度を豹変させ、マックスが何かしようものなら殺すのも厭わないと出る。かくして、マックスの人生最悪の時が始まってしまった。
ヴィンセントは柔らかな物腰とは対照的に、殺人に対して一切の感情を持たない冷酷な殺し屋だった。地球上から人間が一人二人消えた所で何の変化も無いと言い切る彼にマックスは別世界の人間を見るような思いがした。ヴィンセントは標的データの入った鞄を奪って逃げようとしたチンピラ二人を躊躇無く殺し、クラブハウスでマイルス・デイヴィスの昔話に花を咲かせる老トランペッターもあっさりと殺してしまう。
冷酷な反面、ヴィンセントは入院しているマックスの母に見舞いの花を贈るなど意外な一面を見せるが、目の前で次々に行われる殺人に耐えられなくなり、マックスは隙を見てヴィンセントの殺人データの入った鞄の中身を路上に捨てて使用不能にしてしまう。しかしヴィンセントはこれぐらいでは諦めず、殺人データのバックアップを取りに依頼人である麻薬組織のボス、フェリックス(ハビエル・バルデム)の所へ自分の身代わりで行けと命じられる。一つ間違えれば殺される所をマックスは何とか言い逃れてバックアップのUSBメモリーデータを手にヴィンセントの所に戻る。
ヴィンセントが5人目の標的を始末する為、盛り場で大乱闘になっていた頃、マックスはヴィンセントの犯行当初からこの事件を追っていた刑事に保護されるが仕事を終えたヴィンセントは彼も殺してしまう。自分が犯罪と無関係だった事を信じてくれた刑事を目の前で殺され、怒ったマックスはヴィンセントを乗せたまま、わざと無謀な運転をしてタクシーを横転させてしまう。ヴィンセントは一人、最後の標的である6人目を殺しに去る。
事故を目撃した警官がマックスを発見し保護しようとするが、トランクに入れていた最初の被害者の死体を発見し、殺人の容疑者としてマックスを拘束しようとする。言われるがままに逮捕されようとしたマックスだったが、ヴィンセントが残した端末画面に6人目の標的の姿が表示されていた。それは最初に乗せた若い女性検事アニーだった。このままでは確実にアニーが殺されてしまう。そう考えたマックスは警官を拘束して銃を奪い、アニーの元へ駆けつける。
電話をかけてもなかなか繋がらないが、ようやくアニーと連絡が取れたマックスは必死になって彼女に死の危険が迫っている事を説明する。最初は取り合わなかった彼女だったが、ただ事ならぬ事態を悟り、何とかヴィンセントをかわして庁舎ビルからマックスと逃げ出す事に成功した。ビルの地下に直結した地下鉄でヴィンセントから逃げ延びようとする二人だったが、ヴィンセントは犬のような嗅覚で執拗に車内の二人を追い詰めて来る。逃げられないと覚悟を決めたマックスは走行中に地下鉄の明かりが消えた瞬間、連結部のドア越しに銃弾を撃ちまくる。ヴィンセントも同じく銃を撃つが致命傷を負ったのは彼の方だった。ロスの地下鉄で男が死んでも誰も気にかけない。自らの命にも感情を示さずヴィンセントは座席の上で眠るように息絶える。悪夢の一夜は終わり、マックスはアニーと連れ立って明け方の地下鉄を降りて行く。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹替 |
---|---|---|
ヴィンセント | トム・クルーズ | 森川智之 |
マックス | ジェイミー・フォックス | 高木渉 |
アニー | ジェイダ・ピンケット=スミス | 朴璐美 |
ファニング | マーク・ラファロ | 山路和弘 |
リチャード | ピーター・バーグ | 青山穣 |
ペドロサ | ブルース・マッギル | 辻親八 |
アイダ | イルマ・P・ホール | 片岡富枝 |
ダニエル | バリー・シャバカ・ヘンリー | 宝亀克寿 |
フェリックス | ハビエル・バルデム | 大川透 |
空港の男 | ジェイソン・ステイサム | 古田信幸 |
その他
- 『トランスポーター』で知られるジェイソン・ステイサムが、序盤の空港のシーンでチョイ役で出演している。こちらの役でも裏の運び屋役である。
- 「Collateral」というのは"〔不運な〕巻き添え【名】、付随的な【形】"というような意味で、この映画では従犯を意味している。主犯を助ける意図は全くなかったのにある状況から共犯になってしまう。