ゲンゲ
ゲンゲ(紫雲英、翹揺 テンプレート:Snamei)はマメ科ゲンゲ属に分類される越年草。中国原産。レンゲソウ(蓮華草)、レンゲ、とも呼ぶ。春の季語。かつて水田に緑肥として栽培され、現在でもその周辺に散見される。岐阜県の県花に指定されている。
特徴
湿ったところに生える。全体に柔らかな草である。
茎の高さ10-25cm。根本で枝分かれして、暖かい地方では水平方向に匍匐し、60-150センチまで伸びる場合もある。茎の先端は上を向く。また、根本から一回り細い匍匐茎を伸ばすこともある。
葉は一回羽状複葉、小葉は円形に近い楕円形、先端は丸いか、少しくぼむ。一枚の葉では基部から先端まで小葉の大きさがあまり変わらない。
花茎は葉腋から出て真っ直ぐに立ち、葉より突き出して花をつける。花は先端に輪生状にひとまとまりにつく。花色は紅紫色だが、まれに白色(クリーム色)の株もある。
利用など
ゲンゲの花のミツは、良い「みつ源」になる。蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されている。
ゆでた若芽は食用にもなる(おひたし、汁の実、油いため他)。
文化
- ギリシア神話では、祭壇に捧げる花を摘みに野に出た仲良し姉妹の話が有名。ニンフが変身した蓮華草を誤って摘んでしまった姉のドリュオペが、代わりに蓮華草に変わってしまう。「花はみな女神が姿を変えたもの。もう花は摘まないで」、と言い残したという。
- 「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」とは、江戸時代に滝野瓢水が詠んだ俳句。遊女を身請しようとした友人を止めるために詠んだ句で、蓮華(遊女)は野に咲いている(自分のものではない)から美しいので、自分のものにしてはその美しさは失われてしまうという意味。転じて、ある人物を表舞台に立つべきではなかったと評する意味合いでも使われる(荒舩清十郎の項目を参照)。
ゲンゲ畑
化学肥料が使われるようになるまでは、緑肥(りょくひ = 草肥:くさごえ)および牛の飼料とするため、8-9月頃、稲刈り前の水田の水を抜いて種を蒔き翌春に花を咲かせていた。これはゲンゲ畑と呼ばれ、昭和末頃までの「春の風物詩」であったが減少している。
畑は田植えの前に耕し、ゲンゲをそのまま鋤きこんで肥料とした。窒素を固定する(大気中の窒素を取り込んで窒素肥料のようなかたちで蓄える)根粒菌の働きで、ゲンゲの根には球形の根粒がつく。ゲンゲの窒素固定力は強大で10cmの生育でおおよそ10アール 1t の生草重、4-5kg の窒素を供給し得る。普通15ないし20cmに成長するからもっと多くなるはずである。
乳牛を飼っているところでは、飼料とした。
休耕田の雑草防止策にもなった。ゲンゲの生える中に不耕起直播して乾田期除草剤を使わないですむ方法、ゲンゲの枯れぬうちに入水、強力な有機酸を出させて雑草を枯死させる方法がある。ただしゲンゲは湿害に弱く、不耕起では連作障害が起きかねず、アルファルファタコゾウムシが大発生するなど難点もある。
- Wide Chinese milk vetch field- Japan.png
広いゲンゲ畑
- ゲンゲ.JPG
薄紫色のゲンゲ
- Astragalus sinicus genge01.jpg
全植物体
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豆果(豆の莢、果実)
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