グワイヒア
グワイヒア(Gwaihir)は、J・R・R・トールキンの中つ国を舞台とした小説、『ホビットの冒険』および『指輪物語』の登場人物。鷲の王。別名を風早彦(The Windlord)と言う。霧ふり山脈に住む、『指輪物語』の時代の鷲の長。エルフとガンダルフの友。
『ホビットの冒険』では霧ふり山脈のゴブリンと森に住むワーグに追い詰められたビルボら一行を救出した「鷲の王」が登場するが、これが指輪物語に登場するグワイヒアと同一の存在であるかどうかは判然としない。『ホビット - ゆきてかえりし物語』第四版 注釈版[1]注釈では、トールキンは『ホビットの冒険』および『指輪物語』で同一視するような記述をしておらず、別個体(後任または子孫)である可能性が高いと見ている。なお鷲の王はその後鳥たちに推されすべての鳥の王となる。この際に彼が被った冠は、ホビットのビルボら一行に参加していたドワーフ達が前述の事件の返礼として贈った物である。
『指輪物語』においてグワイヒアは三度ガンダルフを運んだ。一度目はサルマンにより閉じこめられたアイゼンガルドからエドラスへ。二度目はバルログと戦って倒れたケレブディルの頂からロスローリエンへ。三度目はコルマレンの野から滅びの山に取り残されたフロド・バギンズとサム・ギャムジーのもとへ。マンウェはオローリンを中つ国へと送り出し、その危機を救ったのはマンウェの創造した鷲だった。
映画版
映画版『ロード・オブ・ザ・リング』では『旅の仲間』(上記ガンダルフの救出)と『王の帰還』(上記フロド・バギンズ達の救出や、黒門における最後の戦いの場での八人の指輪の幽鬼との戦い)の双方に登場しそれぞれ重要な役割を果たしているが、登場シーンでの名前以外はほとんど言及がなされておらず、飛蔭(ガンダルフが乗っていた白馬で馬の王)に比べ、極端に説明が少ない。原作とは異なり言葉を喋る描写もない。
また、最初にガンダルフのオルサンクからの救出を要請したのは茶のラダガストであるとされているが、映画では蛾や蝶を伝令にしてガンダルフ自身救援を呼ぶという設定に変えられている。
脚注
- ↑ (『ホビットの冒険』注釈版)原書房・著:J・R・R・トールキン・注釈:ダグラス・A・アンダーソン・訳:山本史郎・ISBN 4-562-03023-2