クリタケ
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クリタケ(栗茸、Hypholoma sublateritium(Fr.)Quél)はハラタケ目モエギタケ科モエギタケ亜科クリタケ属のキノコである。
概要
野生では秋から晩秋に広葉樹、特にクリ、コナラ、ナラの切り株や倒木などの上に群生する食菌。スギ、ヒノキを植林した後の林の土中の埋もれ木からも発生する。傘は茶褐色からレンガ色で3 - 8センチ・メートル、ひだは胞子の成熟に伴って黄白色のち紫褐色に変化する。地中で繁殖した菌が切り株等にぶつかると、子実体を発生させる性質がある[1]。「ヤマドリモタシ」と呼ぶ地域もある。
北半球温帯以北に広く分布する。
食用(要注意)
主に炒め物、天ぷら、カレーライス、まぜご飯などにして食されている。ただし、近年有毒成分が見つかり、海外では有毒とされている。過食は厳禁であり、注意を要する。毒成分はネマトリン、ネマトロン、ハイフォロミンA,B[2]。
栽培
さまざまなメーカーから種菌が販売されており人工栽培もされているが、栽培過程での菌糸体の伸長が遅いため菌床栽培には適さず、原木栽培が主流である。 菌糸体の生育温度範囲は摂氏3 - 30度程度、最適伸長温度は摂氏25度前後。子実体の発生温度は摂氏12 - 17度程度。
原木栽培
- 「伐根」、「普通原木」、「長木」いずれの方法も行われる。「普通原木」法では、乾燥させた長さ約1メートル、直径10 - 15センチ・メートル程度の広葉樹の原木に冬から春に種菌を接種。数ヶ月の仮伏せ後、7月までに広葉樹林内に埋め込む。2 - 3 年後の子実体の発生を待つ[3] [4]。
- 株ごと採取して150 - 200グラム程度をイチゴパックに詰めて出荷。発生期間 3 - 5年程度。伏せ込みした原木から子実体が発生するだけでなく、菌糸体から菌糸束や根状菌糸束が周辺土壌中に伸び、原木以外から子実体が発生する事もある。
菌床栽培
- 広葉樹のオガクズを使用する方法を各地の林業試験場などが試しているが、商業生産出来るレベルにはなっていない。
類似の毒キノコ
- 猛毒のニガクリタケ(Hypholoma fasciculare(Hudson:Fr.)Kummer)と似ているが、ニガクリタケは鮮黄色で生のものを噛むと苦いため区別できる。(注:噛んだ物は吐き出すこと) ニガクリタケと同じ場所に生えることもある。
- ニガクリタケモドキ(Naematoloma gracile Hongo) 食毒不明。
- コレラタケ
参考画像
- Kuritake.jpg
- Ziegelroter Schwefelkopf Wiese.jpg
- HypholomaSublateritium.jpg
- Hypholoma sublateritium 031207A.jpg
- Ziegelrote Schwefelköpfe.jpg
脚注
参考文献
関連項目
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外部リンク
テンプレート:Fungi-stub- ↑ 「林地におけるきのこ類増殖方法の改良に関する研究(1)-クリタケの菌糸束および根状菌糸束の形成-」、第54 回日本木材学会大会研究発表要旨集 2004年7月20日
- ↑ 志村 隆編『フィールドベスト図鑑 日本の毒きのこ』株式会社学習研究社刊 長沢栄史監修(2004年9月29日第三刷)P.135 ISBN:9784054018822
- ↑ クリタケ(Naematoloma sublateritium)特許庁
- ↑ くりたけの自然栽培・原木栽培法(長木)