ガリカニスム
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ガリカニスム (仏 Gallicanisme) とは、フランスのカトリック教会のローマ教皇からの独立、教皇権の制限を求める政治的、宗教的立場のことをいい、教皇の権威を尊重しながらもその至上権については異議を唱えた。語源はガリア。
歴史
具体的にはフランス王権による聖職者叙任権の完全掌握という形で現れることとなる。それとは別にカール大帝時代から行われていた、王の即位のさいに司教が王に塗油して聖別する儀式が問題となった。フィリップ4世時代には、ジャン・ド・パリやジャン・ジェルソンが「王の資格が完成するためには聖別は必要だが、聖別前にも王が存在しうる」と説いた[1]。
ガリカニスムの立場を明確に示したものとしてはルイ14世時代の1682年に発表されたボシュエ神父による「4ヵ条の宣言」が有名。その後、1905年の政教分離法などによってライシテの原則が支配的になるにつれて衰退していった。
推奨図書
- エメ・ジョルジュ・マルティモール『ガリカニスム―フランスにおける国家と教会』(白水社、1987年 原著は1973年刊行)
- マルク・ブロック『王の奇跡』(刀水書房、1998年)