カール・ツァイスのレンズ製品一覧
カール・ツァイスのレンズ製品一覧(カール・ツァイスのレンズせいひんいちらん)は、カール・ツァイスのブランドを冠したレンズの一覧。
目次
- 1 概要
- 2 単焦点レンズ
- 3 ズームレンズ
- 4 コンバーター
- 5 参照文献
- 6 関連項目
概要
当初は全てツァイス・アナスチグマート(Zeiss Anastigmat )という名称であったが、1900年頃そのシリーズIAがプラナー、シリーズIBがウナー、シリーズIIBとシリーズICがテッサー、シリーズVIIIがアポクロマティックテッサー、それ以外がプロターと命名された。その後基本的にはレンズ設計の系統によって名称がつけられている、写真用以外にも顕微鏡や望遠鏡用、高級メガネレンズなどの多種多様な目的に応じた高性能レンズが製作されており、その性能の高さは世界中で高い評価を得ている。
「カール・ツァイス」のブランドはカール・ツァイス財団が所有しているが、ボシュロム、コシナ等他のメーカーによってライセンス生産または委託生産されたレンズも多い。本家であるカール・ツァイスでは現在もシネレンズ(デジプライム・ウルトラプライム)、顕微鏡や望遠鏡、半導体のステッパーなど多種多様なレンズが開発製造され続けられている。
レンズコーティングは以前は単層コートのテンプレート:Colorコーティングであったが現在は多層膜になったテンプレート:Color(ティースター)コーティングが採用されている。なお、現代のものであっても全てのレンズにT*コーティングが使用されているわけではない。
マウント呼称
近年のライセンス生産レンズでは、他社のレンズマウント規格についてツァイス独自の呼称が使用されている。
- ZAマウント
- ソニー・αマウント(旧ミノルタAマウント)相当。ソニーが製造を担当。
- ZEマウント
- キヤノン・EFマウント相当。日本ではコシナが製造を担当。
- ZF・ZF2マウント
- ニコン・Fマウント相当。日本ではコシナが製造を担当。ZF2はカメラ本体との通信チップが取り付けられ、Ai-P相当になり、絞り環に露出計連動爪がない仕様。
- ZKマウント
- ペンタックス・Kマウント相当。日本ではコシナが製造を担当。2010年秋でZKマウントレンズはすべて生産終了した。
- ZMマウント
- ライカ・Mマウント相当。日本ではコシナが製造を担当。一部はドイツで製造されている。
- ZSマウント
- M42スクリューマウント相当。日本ではコシナが製造を担当。
- ZVマウント
- ハッセルブラッド・Vマウント相当。ドイツ製。
単焦点レンズ
アルファベット順に記述する。
ビオゴン
対称型広角レンズ。最初の製品はルートヴィッヒ・ベルテレにより設計された。 テンプレート:Main
ビオメター
東ドイツカール・ツァイスのダブルガウス型レンズ。最初の製品はハリー・ツェルナーにより設計された。 テンプレート:Main
ビオター
大口径レンズ。最初の製品はウィリー・ウォルター・メルテにより設計された。 テンプレート:Main
ディスタゴン
西ドイツで設計された逆望遠型のレンズに命名される。最初の製品はエルハルト・グラッツェルにより設計された。 テンプレート:Main
フレクトゴン
フレクトゴン(Flektogon )は東ドイツで設計された逆望遠型のレンズに命名される。最初の製品はハリー・ツェルナーとルドルフ・ソリッシにより設計された。
エクサクタマウント
M42マウント
フェルン
フェルン(Fern )はミラーボックスを併用して使用する超望遠レンズ。後にテレテッサーに改名された。
コンタックス(Contax )用
ヘラー
ヘラー(Herar )は空気境界面4面という条件で設計され2群5枚の構成。ジルヴェスター・フーバーによって設計された。1935年11月に特許取得されたがまもなくコーティング技術の発明により空気境界面が多い場合の問題が小さくなり、コンタックス用3.5cmを除き試作のみに終わった。
コンタックス(Contax )用
ホロゴン
エルハルト・グラッツェルによって発明された超広角レンズであり、歪曲収差がほぼ完全に補正されている。 テンプレート:Main
ルミナー
ルミナー(Luminar )はマクロ写真用レンズ。マクロ写真の撮影もできるシステム顕微鏡、ウルトラフォト(Ultraphot )の交換レンズ。ゲッティンゲンのルドルフ・ヴィンケルのミクロルミナー(Mikroluminar )が前身である。同社は1911年よりツァイスが筆頭株主となっていたが、第二次大戦後分断され顕微鏡製造能力を失った西側のツァイスが1957年に統合した。このため初期のルミナーにはZEISS WINKELのロゴが刻印されている。ツァイス顕微鏡の多くは現在もかの地で生産されている。
RMSマウント
顕微鏡対物レンズマウントであるRMSスレッド用。
- ルミナー16mmF2.5 - 4群5枚
- ルミナー25mmF3.5 - 3群4枚
- ルミナー40mmF4.5 - 3群3枚
- ルミナー63mmF4.5 - 3群3枚
この4種のレンズとスペックは基本的に同一だが、性能を向上させた「ルミナーII」と呼ばれるモデルもある。
特殊ねじマウント
- ルミナー100mmF6.3 - マウントは33mmP=0.75mmねじ込み。
ミクロター
ミクロター(Mikrotar )はウルトラフォト(Ultraphot )用のマクロ写真用レンズ。1930年代からの製品であり、第二次大戦後も東ドイツで継続生産された。西側ツァイスとの商標を巡る訴訟もあり、西側への輸出品は商標を避け単に「M」とのみ刻印されている。
RMSマウント
顕微鏡対物レンズマウントであるRMSスレッド用。10mmから30mmまでの各種は、レンズヘッド部とマウントの間に調整可能な絞りが置かれるため、使用倍率によっては絞ると画像が蹴られてしまうことがある。これらと同じレンズヘッドを使い、絞りがない製品や、RMSマウントでないものも存在した。
- ミクロター1cmF1.6 - ダブルガウス型4群6枚。後玉径が前玉径よりも大きく、ビオターの逆配置とみることができる。戦後は製造されていないため、cm表記のものだけである。作業距離が非常に短いため照明しづらく、難しいレンズである。
- ミクロター15mmF2.3 - ダブルガウス型4群6枚。単層コーティングが施された製品は、コーティングのないものと比べて著しくコントラストが向上している。
- ミクロター20mmF3.2 - ヘリアー型3群5枚
- ミクロター30mmF4.5 - トリプレット型3群3枚
- ミクロター45mmF4.5 - トリプレット型3群3枚
- ミクロター60mmF4 - トリプレット型3群3枚
- ミクロター90mmF6.3 - テッサー型3群4枚。絞りはない。
特殊ネジマウント
- ミクロター90mmF6.3 - テッサー型3群4枚。マウントは26.5mmP=0.5mmねじ込み。
- ミクロター12cmF6.3 - テッサー型3群4枚。マウントは26.5mmP=0.5mmねじ込み。
- ミクロター16.5cmF6.3 - テッサー型3群4枚。マウントは45mmねじ込み。
ミロター
ミロター(Mirotar )はいわゆるミラーレンズ。(独:Spiegelobjektiv )
コンタレックス(Contarex )用
コンタックスRTS(CONTAX RTS )用
ハッセルブラッドVシリーズ用
2000、200シリーズ専用。 テンプレート:See
ローライフレックスSL35/2000用
ノヴァー
- ノヴァー(Novar )は3群3枚の普及版レンズ。後にトリオターに改名された。
オルソメター
オルソメター(Orthometar )はウィリー・ウォルター・メルテによって1926年に航空写真用に設計され、大判レンズ用として非常に一般的になったレンズ構成。米国特許1792917号。
航空写真用
- オルソメター21cmF4.5
- オルソメター25cmF4.5 - 88mmP=1mmねじマウント。アタッチメントサイズ80mmP=0.75mmねじ込み。
コンタックス(Contax )用
オルソプラナー
オルソプラナー(Orthoplanar )はマイクロフィルム用高解像力縮小レンズ。引き伸ばしに使われることもある。50mmおよび105mmはオルソメターの両外側に1枚ずつ追加したようにも、プラナーの内側に1枚ずつ追加したようにも見えるレンズ構成。特殊用途であるため『S』を冠する。旧東側への輸出品ではツァイスやプラナーの商標を避け、Oberkochen OPTON S-Ortho-Plと刻印された。
- S-オルソプラナー50mmF4 - φ36mmP=0.75mmのねじマウント。6群8枚。使用倍率範囲1/5~1/30倍。
- S-オルソプラナー60mmF4 - φ32mmP=0.75mmのねじマウント。5群7枚。アタッチメントサイズφ35.5mmP=0.5mmねじ込み。使用倍率範囲1/10~1/30倍。最外面に傷つきやすいガラスを使用しているため、清掃には注意が必要である。
- S-オルソプラナー105mmF5.6 - φ55mmP=0.75mmのねじマウント。6群8枚。アタッチメントサイズφ58mmP=0.75mmねじ込み。使用倍率範囲1/6~1/21倍。70mmフィルムを使用したマイクロファイルシステム装置用として販売された。
パンター
パンター(Pantar )は普及版のレンズ。元はゲルツの商標であるが、その時代の製品とは全くの別物である。
コンタフレックス(Contaflex )用
コンタフレックス126(Contaflex126 )用
パンコラー
パンコラー(Pancolar )は東ドイツの大口径標準レンズに使われる。パンカラーと表記される場合もある。
エクサクタマウント
M42マウント
プラナー
ダブルガウス型のレンズ。最初の製品はパウル・ルドルフにより設計された。 テンプレート:Main
プロター
パウル・ルドルフにより発明され、ウナーを経由してテッサーの原型となった。 テンプレート:Main
ゾナー
最初の製品はルートヴィッヒ・ベルテレにより設計された。当初は大口径標準〜望遠レンズとして使われたが現在は望遠レンズとしてのみ使われている。 テンプレート:Main
テッサー
パウル・ルドルフがエルンスト・ヴァンデルスレプの協力を得て発明したレンズ。現在はコンパクトレンズとして、また変形のテレテッサーが望遠レンズに使われている。 テンプレート:Main
トポゴン
ロベルト・リヒテルが開発した対称型広角レンズ。テンプレート:Main
トリオター
トリオター(Triotar )は3群3枚の廉価品用レンズで、以下に挙げる他にも多数の採用例がある。欠点である歪曲を目立たせないため標準から望遠のレンズで使用される。
コンタックス(Contax )用
イコンタシリーズ用
エクサクタマウント
ネタックスマウント
- トリオター10.5cmF5.6
ローライ35シリーズ用
ローライコード6×6cm判二眼レフカメラ用
初期のローライコードシリーズで使用された。 テンプレート:Main
スーパーネッテル用
テレスーパーアクロマート
ハッセルブラッドVシリーズ用
ウナー
パウル・ルドルフによりプロターを改良して発明されテッサーの原型となった。 テンプレート:Main
ズームレンズ
「可変」の意味である接頭語バリオ-(Vario- )を名称に付けている。一般的にツァイスレンズは他社の同スペックのレンズより大型・重量増の傾向があるが、ズームレンズでも同様の傾向は変わらない。単焦点よりさらに重く大型故か、画質重視の傾向が強いユーザーが多いためかツァイスレンズの中でズームレンズの人気は低い傾向にある。
バリオパンコラー
スペルはVario-Pancolar。
M42マウント
バリオプラクチカー
スペルはVario-Prakticar。
M42マウント
バリオゾナー
広角、標準、望遠に関わらず用いられている。ソニーのビデオカメラ「ハンディカム」シリーズとデジタルスチルカメラ「サイバーショットシリーズ」のF828など上位機種でおなじみ。 テンプレート:Main
バリオテッサー
京セラのコンパクトカメラTズームやソニーのデジタルカメラサイバーショットシリーズの小型・薄型機種に採用されたズームレンズ。 テンプレート:Main
コンバーター
ムター
焦点距離を変える目的のアタッチメント・レンズをツァイスではムター(Mutar )と称する。
コンタックスRTS(CONTAX RTS )用
リア・テレコンバーター。 テンプレート:Main
ハッセルブラッドV・シリーズ用
リア・テレコンバーター。 テンプレート:Main テンプレート:Main
ロ−ライフレックス二眼レフカメラ用
フロント・コンバーター。 テンプレート:Main
参照文献
- Carl Zeiss Camera Lens Division, The right lens for each situation -- Carl Zeiss camera lens types. Camera Lens News, Nr. 38 (December 2010), p. 11 pdf 2010年12月23日閲覧。
関連項目
設計開発した設計者
提携企業
レンズについてカール・ツァイスと提携している、または過去にした企業。
- アルパ
- コシナ
- ハッセルブラッド
- ロジクール - Webカメラ「Qcam Proシリーズ」にテッサーを採用。
- ノキア - カメラ付き携帯電話・スマートフォンの一部機種にテッサーを採用。
- ライカ
- ローライ
- ジナー
- ソニー
- α (カメラ) - デジタル一眼レフカメラ
- ソニー・α NEX - ミラーレス一眼カメラ
- ソニー・サイバーショットシリーズ - デジタルコンパクトカメラ
- ハンディカム - ビデオカメラ
- ヤシカ
その他
- 映画バリー・リンドン(アポロ計画用プラナーF0.7が使用された例)