カリフラワー

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収穫するため葉を開いたところ

テンプレート:栄養価 カリフラワー(Cauliflower、学名:Brassica oleracea var. botrytis)はアブラナ科アブラナ属一年生植物。頂花蕾を食用にする淡色野菜として栽培されるほか、観賞用途でも利用される。

名前の由来はキャベツ類の花を意味する、kale flower もしくは cole flower から。和名はハナヤサイ(花椰菜)、ハナカンラン(花甘藍)。木立花葉牡丹(キダチハナハボタン)、花キャベツと呼ぶこともある。

白くこんもりとした花蕾と太い茎が特徴。 よく似たブロッコリーB. oleracea var. italica)は別変種。

概要

カリフラワーの原産地については未だ明白になっていない。地中海沿岸原産のケールなど栽培されていた野菜から、突然変異によって生まれた、あるいは近東を原産地とするものが、ローマ帝国の衰退後にアラブ人の手によってヨーロッパに伝えられた、などと言われている。

ケールなどで開花前の蕾を食用にすることは古代から行われ、紀元前540年頃の記録にも残っている。これは現在の食用菜の花(はなな)やカイランと同様で、今日見られるようなカリフラワーは、この用途に適した変異種が選抜されたものと考えられる。

15世紀にイタリア、フランスで栽培されはじめ、16世紀になるとヨーロッパ全体に広まり、品種改良も進んだとみられる。18世紀頃にはインドで熱帯でも栽培できる品種が開発された。日本では白(クリーム色)の花蕾以外ほとんど生産されていないが、オレンジ・紫等の花蕾を付ける品種もあり、カラフルである。

茎の肥大化と花蕾(からい)が発育しない性質により、花梗(かこう)は低い位置で球状の塊となる。収穫せず生育させても、他のアブラナ属のようには伸長しない。日本でも最近認識されてきた緑色のロマネスコ(Romanesco)品種名「カリブロ」等も仲間である。

太い茎がミネラル・ビタミンを貯蔵する器官としての役割を果たすため、良質な花や実がつき、他のアブラナ科植物より栄養価が高い。

日本には明治初期に渡来。花梛菜(はなはぼたん)、英名カウリフラワーと紹介され試作されたが、食用としても観賞用としても普及しなかった。 第二次世界大戦後に進駐軍向けに栽培が行われ、日本での洋食文化の広まりと、改良種の輸入、栽培技術の進歩により昭和30年頃から広く普及した。

ブロッコリーとの違い

ブロッコリーとカリフラワーは、共にが密集して頭状花を形成するキャベツの変種という共通点を持っている[1]が、両者にはいくつかの差異がある。カリフラワーはが一つの塊のように堅く結びついているのに対して、ブロッコリーは結球がカリフラワーほど密集しておらず、伸びた茎の先端に密集した蕾を作る。また、カリフラワーは花蕾が一箇所に集中した形状が白雪を連想させる美しさを醸成するため、ブロッコリーよりも珍重された。

生産

低温に弱く暖かい地方や夏にしか栽培できなかったが、耐寒性の強いキャベツなどとの交配により越冬も可能な品種も誕生し、温暖、冷涼いずれにも向く野菜として、全国的に栽培された。 夏に育てられる「サマーカリフラワー」に対し、後者を「ウインターカリフラワー」もしくは「ブロッコリー」と呼んだ。

統計によると、1964年の収穫高は約1万t だったが、12年後の1976年には7万5千t に拡大した。しかし、1980年代以降に急増したブロッコリーに押されて作付け面積や出荷量は減少しつつある。

これは、日本では外観が重視されるため、特に蕾の白味を強くするために葉をまとめて蕾を隠し、日射を遮る手間が掛かること、ひとつしか育たない頂花蕾を食用にすることから、ブロッコリーのように側枝の収穫をすることができず、面積あたりの収穫量が劣ることなども影響している。

食材

花頭の部分を食用にする。花蕾のさっくりとした歯ざわりが特徴。味にはわずかな苦みを感じる人もいる。葉も食用となるが青っぽさと苦みが強い。これはケール同様、原種に近いためと考えられている。

カリフラワーに含まれるビタミンCの量はブロッコリーに比べ若干少ないが、加熱による損失に強く成分が失われにくいため、調理後の含有量は同程度となる。

茹でるだけでなく、焼く、蒸す、揚げる、煮るといった調理も可能である。サラダの素材として生のまま食することも多い。酢漬けにも向く。グラタンやポロネーズの素材としても人気が高い[2]低炭水化物ダイエットを行っている人はジャガイモの代用として使用する場合がある。

文化

ルイ15世の愛人として知られるデュ・バリー伯爵夫人は、いくつものカールを積み重ねたかつらを頭につけており、それがカリフラワーの花蕾を連想させるものであったことから、カリフラワーを使った料理の多くにデュ・バリーの名がつけられることとなった。 テンプレート:- テンプレート:Multiple image テンプレート:-

脚注

  1. 世界の食用植物文化図鑑・173ページ
  2. 世界の食用植物文化図鑑・170ページ

参考文献

  • バーバラ・サンティッチ/ジェフ・ブライアント編、山本紀夫訳『世界の食用植物文化図鑑』(柊風舎)ISBN 978-4-903530-35-2

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