カヤクグリ
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カヤクグリ(茅潜、萱潜、Prunella rubida)は、鳥綱スズメ目イワヒバリ科カヤクグリ属に分類される鳥類。
分布
夏季に本州中部以北や剣山、南千島で繁殖し、冬季になると本州、四国、九州へ南下して越冬する。
形態
全長14センチメートル。頭部の羽衣は暗褐色。体上面の羽衣は赤褐色で、暗褐色の縦縞が入る。種小名rubidaは「赤い、赤みがかった」の意。下面の羽衣は灰褐色で、体側面から尾羽基部の下面(下尾筒)にかけての褐色の縦縞が入る。翼は黒褐色で、羽毛の外縁(羽縁)は褐色。
虹彩は赤褐色。嘴は細く、色彩は黒い。後肢の色彩は薄い橙色。
生態
高山帯、高木限界より標高の高いウラジロナナカマドやハイマツの林や岩場に生息する。冬季には丘陵や低山地、沢にある藪地などの標高の低い場所へ移動し、単独もしくは数羽からなる小規模な群れを形成し生活する。和名は冬季に藪地(カヤ=ススキなどの総称)に潜むように生活することに由来する。
食性は雑食で、昆虫やクモ、種子などを食べる。夏季は昆虫、冬季は種子を主に食べる。樹上でも地上でも採食を行う。
繁殖形態は卵生。繁殖期になるとオスとメスそれぞれ数羽からなる小規模な群れを形成し、複数の異性と交尾を行う。ハイマツの樹上に枯草や苔などを組み合わせたお椀状の巣を作り、6-9月に3-4個の卵を産む。
参考文献
- 中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年、39、62、183頁。
- 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥類III』、平凡社、1986年、154頁。
- 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、448頁。
- 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、88頁。
- 五百沢日丸 『日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版』、文一総合出版、2004年、174頁。
- 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会、2007年、234-235頁。
- 安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、山と渓谷社、2008年、107頁。