双胴船
双胴船(そうどうせん、カタマラン、Catamaran)とは、通常の船体(ハル、Hull)2つを甲板で平行に繋いだ船。
歴史
南太平洋ポリネシアの原住民が、古来より用いていたカタマランは、双胴船の一種であり、英語などのヨーロッパの言語では、双胴船の意味でそのままこのカタマランの語を用いることが多い。
特徴
2艘の船をつないだ形状であることから、下部船体を細長くしても広いデッキ(甲板)が作れる。 安定性が高く、水面下の船体形状を細長く出来ることから巡航速度を高くすることができるため、外洋ヨットのデザインとして採用されることも多いが、モノハル(Mono-hull)と呼ばれる単胴型の通常のヨットに比べると、転覆時に転覆したまま「安定」してしまい、復元性が確保出来ないことがデメリットである。
また、旋回などの運動性能が劣るため、軍艦などには不向きとされてきたが、近年では、流体力学を用いた船舶工学の発展により、高速化・低燃費化に成功した。
双胴船の考えは古くからあったが、これまでの木製・鋼鉄製の船体では、2つの下部船体とそれらを結合する上部船体により多くの構造部材を必要としており、また水との接触面積が広くなるために抵抗が増す不利もあるため、単胴船二隻に比べて総合的に優位に立つことが出来なかったが、小水線面積双胴船(SWATH)船型の採用や20世紀末頃から軽量なアルミ合金製の船体が使用可能になると、高速航行が求められる観光船やカーフェリーといった客船を中心に実用的な船が作られている。
ウェーブ・ピアーサー
21世紀初頭現在では、下部船体の形状をさらに前後に細長くすることで造波抵抗を最小限にする「ウェーブ・ピアーサー」型の高速船がいくつも就航している。1万総トン以上の大型高速船の「ナッチャンRera」では排水量型の船体でありながら36ノットもの高速航行が可能である。
三胴船
テンプレート:Main さらに、中央の主船体と両脇の副船体の3つの船体をデッキで繋いだトリマランや三胴船と呼ばれる船型もあり、やはり高速航行に適した形状として少数の船が作られている。
小水線面積双胴船
テンプレート:Main 小水線面積双胴船(SWATH)または半没水型双胴船とは造波抵抗の要因となる喫水線付近が絞り込まれている。海洋調査船や音響測定艦等に使用される。構造上喫水面が絞り込まれているので搭載できる機関の大きさや配置が制限される。従来の双胴船よりも喫水線が深くなる。波浪が高い場合や高速での航行時の安定性が高い。構造的には2隻の並行して配置された潜水艦の上に船体が載っているような状態である。 1938年にカナダ人のFrederick G. Creedによって発明され、1946年にイギリスで特許が取得された。1960年代から70年代に海洋調査船や潜水艦救難艦に使用された。
両頭型双胴船
両頭型双胴船とは推進器が船体の前後にそれぞれ備えられた双胴船で渡し舟等に使用される。構造上頻繁に同じ区間を往復し、前後の乗り入れ口から乗降する。
双胴船の例
- 手漕ぎ舟・帆船
- 低速機械船
- 芦ノ湖遊覧船(伊豆箱根鉄道船舶部門)あしのこ丸、はこね丸、十国丸
- 中禅寺湖機船
- かいよう ディーゼル・エレクトリック方式の推進器を備える海洋調査船
- ひびき型音響測定艦
- シティ・キャット ブリスベン市営フェリー
- 高速船
- キャットリンク5
- カタロニア
- ホバースピード・グレートブリテン
- ナッチャンRera/ナッチャンWorld
- Lomprayah
- サンオリーブシー(旧名「とらいでんと」)
- 超細長双胴船 Ocean Arrow
- 波浪貫通型双胴船 はやぶさ
- HSV-X1 ジョイントベンチャー
- HSV-X2 スウィフト
- TurboJET
- 艦船