オーディティング
オーディティング(auditing)とは、L・ロン・ハバードが創始したダイアネティックスとサイエントロジーの実践活動として行われるカウンセリングの一種のことである。
この言葉がこの意味で一般に知られるようになったのは、1950年にL・ロン・ハバードの著書『ダイアネティックス』が米国でベスト・セラーになってからのことである。しかし、オーディティングは、いわゆる心理学を土台としたカウンセリングとはその原理や手法や手順がまったく異なる。オーディティングの原理・手法・手順は、ハバード個人が独自に開発し体系化したものであり、心理学とは関係がない。
オーディティングを与える人のことを「オーディター(auditor)」と呼び、受ける人のことを「プリクリアー(preclear)」と呼ぶ。
概要
オーディティングでは、プリクリアーに対して助言や忠告を行うのではなく、プリクリアーが自分の問題や自分自身を直視することによって自分で答えを見つけるよう手助けするのである。したがってオーディターが、「このように行動すべきだ」、「そのような考え方をしてはいけない」といったことをプリクリアーに言うことはまったくない。一定の手順を繰り返すうちに、プリクリアーが自分自身や人生や世界についての新たな認識を得て、自分の問題への答えを見つけ、より有能になり、新たな視点で人生に立ち向かっていけるようにする、とダイアネティックスは主張する。
オーディティングを受けることと与えることは、ダイアネティックスとサイエントロジーにおける最も重要な実践活動である。オーディティングを与える(オーディターになる)には、理論的・技術的なトレーニングを受けて、それぞれの段階にふさわしい資格を取得しなければならない。
パターン
オーディティングの基本的なパターンは、オーディターが一定の手順に従ってプリクリアーに質問をし、プリクリアーがその質問に答え、オーディターがその答えに耳を傾け、答えを受け取ったことをプリクリアーに示す返事をする、というものである。
オーディティングで用いられる手順や質問は、主題によってさまざまなものがあるが、原則的には、段階に沿って基本的なものから上級レベルへと進んでいくように設計されている。これらの手順や質問はほとんどのものが出版され公開されているが、一部の上級レベルのものだけは非公開であり、そのレベルに達した者しか読むことができない。
オーディターがオーディティングを与える際は、「オーディターの規律」を守らなければならず、その規律の中には、「プリクリアーが疲れている時や睡眠不足の時や空腹を感じている時や食事が十分でない時にはオーディティングを与えてはいけない」、「オーディティングで知ることになったプリクリアーについてのデータを他者に広言してはいけない」、「プリクリアーの言うことを否定したり評価したりしてはいけない」というような内容の項目も含まれている。ハバードは、これらの規律を守ることをオーディターに厳しく要求している。
オーディターは、オーディティングを行っている間、自分が尋ねた質問へのプリクリアーの答えや反応を紙(ワークシートと呼ばれる)に記録しておき、後にそれをケース監督者と呼ばれるオーディティング技術の上級専門家にレポートとして提出する。ケース監督者は毎回それをチェックして、オーディティングが正しい手順で行われているか、どれほどの効果が現れているのか、などを判断する。ワークシートをオーディター自身やケース監督者以外の人間が見ることはできない。
オーディティングの効果は、事前と事後に行われるテスト(OCAと呼ばれる人格分析テストやIQテスト)によっても判断される。
参考文献
- 『ダイアネティックス』
- 『科学の進化』
- 『生存の科学』
- 『思考の原理』
- 『サイエントロジーとは何ですか』
- "Self Analysis"
- "Dianetics 55"