オリバーソース
テンプレート:Infobox オリバーソース株式会社(Oliver Sauce Co.,Ltd.)は兵庫県神戸市中央区港島南町に本社を置く、ソースを中心とする食品メーカーである。
概要
創業と社名変更
1920年(大正9年)、大坂の老舗醤油醸造蔵 「浪速醸造」当主の次男・道満清が家と袂を分かち、神戸でイギリス産のウスターソースを発売。外国人居留地等を中心に輸入液体調味料の研究と委託販売を行う。この事業を継承して、1923年(大正12年)、道満が神戸で道満調味料研究所を創業させると共に、国産ウスターソースの製造・開発を開始した。その後、本家イギリス・ウスター市のOliver社とその日本代理人の廃業に伴い、商標権と意匠を引き継ぐ[1]。
1966年、社名をオリバーソースに変更する。
濃厚ウスターソースの展開
1948年(昭和23年)に従来のウスターソースを改良して[2]日本初の「オリバーとんかつソース」として発売しており[3]、濃厚ウスターソースの先駆者として知られている[2]。
1968年(昭和43年)にはそれまでお好み焼きやたこ焼きなどの業務用のみで発売していた低酸性のソースである「お好みソース」の保存性を向上させて他社に先駆けて家庭用お好み焼き専用ソースとして市販に踏み切り[3]、「お好みソース」市場では10%強のシェアで広島に本拠を置くオタフクソースに次ぐ2番手の地位にあるとされており[4][5]、お好み・焼きそばソース市場ではイカリソースやカゴメ、ブルドックソース等のウスターソース市場ではより規模の大きなメーカーを凌ぐ売上を上げている[6]。
「とんかつソース」や「お好みソース」などの濃厚ウスターソースの研究開発に注力している一環で、1993年(平成5年)から沈殿製法と呼ばれるウスターソースの伝統的な製法による芳醇なソースの製造に取り組み[7]、ウスターソースの熟成期間中に底部に自然沈降した粘り気の多い[3]沈殿物を商品化して同年3月から「どろソース」として製造・販売を始めた[8]。
この「どろソース」は発売当初から順調に売り上げを伸ばし[8]、さらにそばめしブームの影響でテレビ番組で採り上げらた直後の2000年(平成12年)12月には前月比60%増と急増するなど[9]そばめしブームを活かして売上を年々拡大して[10]こだわり商品の一つとしてスーパーなどのソース売場で販売されるようになり[11]、オリバーソースを代表する商品として業務用・家庭用で販売されるようになった[12]。
また、2006年(平成18年)にはこの沈殿製法で原液を3年間熟成させる製法で製造する新商品「オリバークライマックスヴィンテージ3年仕込みソース」を発売するなど[7]、沈殿製法による濃厚ウスターソースに注力している。
阪神・淡路大震災の被災と移転
1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災の際には近隣で火災により大きな被害が出ていたことから本社社屋が全焼したとの情報が流れ[13]、創業の地・神戸市兵庫区にあった本社や工場7棟のうち3棟が実際に焼失して残った4棟も使用不能な状況となり[14]、2ヶ月半後に操業再開に漕ぎ着けた[14]。
しかし、その本社周辺が区画整理特別地域に指定されて復興のため立ち退きを余儀なくされたため[14]、移転先として同市中央区のポートアイランドに第2期地区の企業分譲地の1画を選び[15]、1996年(平成8年)3月25日に新本社・工場の建設に着工して[15]1997年(平成9年)7月に同地区の進出第1号として本社工場を稼働することになった[14]。
阪神・淡路大震災に伴う火災で震災で焼け残ったタンク内に高級ソース「クライマックス」のウスターソース原液が貯蔵されていて長期熟成で独特の味と香りになっていたことから[14]、それをベースにブレンドした商品を震災後10年の記念として「オリバークライマックス十年仕込みソースセット」を商品化して発売し[16][14]、2010年(平成22年)1月17日には第2弾として「15年仕込みクライマックスソース(ウスター・とんかつ)」を発売して[17]、その収益はともに全額震災遺児施設に寄付を行っている[14] 。
和風や中華風調味料の展開
2010年(平成22年)に食べるラー油「なんでもかけラー油100g」を期間限定販売したほか[12]、ギョウザを味噌だれで食べる地元神戸南京町の味覚に注目して2012年(平成24年)秋に土産物店などを通じて発売する[18]など、中華系の調味料の展開も行っている。
また、2013年(平成25年)2月20日には醤油風味のあっさりしたお好みソースとしてウスターソースと醤油の風味を併せ持つ「しょース」を発売し、照り焼きなどの和食にも合うソース作りにも取り組んでいる[19]。
商品
- ウスターソース[20]
- どろソース[8]
- クライマックス・ヴィンテージ3年仕込み[7]
- とんかつソース[3]
- お好みソース[3]
- 焼きそばソース[21]
- プロ仕様シリーズ(ウスター・とんかつ・中濃・お好み・焼そば・たこ焼き)[20]
- やわらかだしソース和
- しょース[19]
テレビCM
1976年から吉本新喜劇の人気俳優として知られる原哲男をキャラクターに起用したテレビCM活動を展開し、知名度を上げる。その後も桑名正博を起用したりしながら、2007年の東宝映画『どろろ』とどろソースをタイアップさせたテレビコマーシャルを放映、関西を中心に更なる知名度アップにつなげた。
また、アニメーションでナレーターが「オリバーだけや!!どこ行ったらあるねん!!」と叫ぶものや、お笑いコンビのシャンプーハットを起用したり、2008年には映画『ホームレス中学生』とのタイアップでお笑いコンビの麒麟が出演したコマーシャルが放映された
脚注
- ↑ オリバーソース オリバーソースの歴史
- ↑ 2.0 2.1 “オリバーソース、誕生60周年記念で「復刻版とんかつソース」発売”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2008年6月2日)
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 “ソース特集 関西地区=オリバーソース、「濃厚」中心の開発型”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1997年4月7日)
- ↑ “ソース特集 お好み焼きそばソースの現状=生産量2ケタ増と好調”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1994年4月13日)
- ↑ “ソース特集 お好み焼きそばソースの状況 新しい需要開拓に注目”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1993年4月14日)
- ↑ “ソース特集 お好み・焼きそばソース=お好み・100億、焼きそば・50億円”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1995年4月7日)
- ↑ 7.0 7.1 7.2 “オリバーソース、高付加価値ソース「クライマックス」シリーズ発売”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2006年2月6日)
- ↑ 8.0 8.1 8.2 “オリバーソース、「どろソース」順調に市場浸透”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1993年4月12日)
- ↑ “オリバーソースの「どろソース」、そばめしブームの中でブレイク中”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2001年1月26日)
- ↑ “ソース特集:関西で活躍するソースメーカー=オリバーソース”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2003年4月18日)
- ↑ “ソース特集:いま、ソース売場は…健康・こだわり素材がトレンド”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2007年4月4日)
- ↑ 12.0 12.1 “ソース特集:メーカー各社の動向=オリバーソース”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2011年4月25日)
- ↑ “関西大地震災害特報・食品界の被害甚大 調味料=オリバーソース本社社屋全焼”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1995年1月20日)
- ↑ 14.0 14.1 14.2 14.3 14.4 14.5 14.6 “震災と企業 逆境を乗り越えて(3)オリバーソース 空白2年半を新生と考え…“熟成”再び”. 産経新聞 (産経新聞社). (2007年11月1日)
- ↑ 15.0 15.1 “オリバーソース、新本社・工場建設へ 来年2月完成目指す”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1996年4月10日)
- ↑ “オリバーソース、阪神大震災10年記念し限定ソースセット発売”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2004年12月3日)
- ↑ “ソース特集:有力メーカーの動向=オリバーソース”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2010年4月2日)
- ↑ “オリバーソース、「神戸餃子味噌たれ」予想以上に好評”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2012年12月21日)
- ↑ 19.0 19.1 “オリバーソース、醤油風味のお好みソース「しょース」発売 ゆるキャラ「おしょース」も”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2013年3月4日)
- ↑ 20.0 20.1 “ソース特集:中部・近畿主要メーカー動向=オリバーソース”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2008年4月4日)
- ↑ “オリバーソース、トレーサビリティシステム立ち上げ”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2003年6月20日)