オタク学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オタク学(おたくがく)とは、サブカルチャー研究の一分野である。
概要
- いわゆるオタクの行動様式や彼らの興味対象となっているサブカルチャーを学問的に解明する研究。当然新しい学問である。オタク学は、サブカルチャーを「オタク文化」として捉え、商業-美術-技術、他社会に与えた影響など多角的に把握しようとする学問研究領域ともいえる。しかし、定義すら定まっていない「オタク」をどのように学問化するかが問われている。
- 最初に命名したのは岡田斗司夫である。彼が東京大学教養学部で「オタク文化論」講義を行い、内容を普及させる冊子にして出版した際に「オタク学」という言葉を使用した。また以後、岡田外にも「オタク学」を使う例があり、一定の認知を受けた。
- 日本では、漫画やアニメーションを学問的に分析しようという動きや、サブカルチャーとメインカルチャーといった対立構造を相対化する潮流と相まって、日本アニメーション学会、日本マンガ学会が20世紀末に相次いで設立された。もちろん密接な関係にある。特にサブカルチャーの中でも狭義のオタク文化である、漫画や、アニメ、ゲームのような、知的財産(ソフト、ソフトウェア)を生産する分野の一部がメインカルチャーに準ずるものとなりつつある現象は、これらの分野が持つ経済的規模が拡大したことに裏打ちされている。漫画について教える大学・短期大学(京都精華大学など)の出現や、漫画やアニメの制作を教授する専門学校の増加によって、これを学ぶ若者は多い。それらの制作手法のみにとどまらず、産業として捉えてマネジメントや文化構造について理解を深めて、より多くの層に普及・啓蒙することが出来るのではないか、といった考えを元に斯学を推進する立場もある。東京大学大学院情報学環が開設した「コンテンツ人材養成プログラム」などは、この立場によるものと言える。
海外での事例
- 例えば韓国では漫画やゲームを大学で教え、国がこれを経済政策として支援している。
- 世界的に評価される有力なコンテンツを製作することは、資源の少ない日本においても非常に重要な将来性を有する経済活動である。政策として推進する手法への研究が進んでいる。
- ロシア、中国等のユーラシア、フランス等の西欧、マレーシア等の東南アジアでも日本発の動画は大きな支持を集めている。しかし信仰上偶像を否定する文化もあり(サウジアラビア)、こうした特殊表現の奥深さをどう追究するかは未だ始まったばかりである。
参考文献
- 岡田斗司夫『オタク学入門』(太田出版、1996年) ISBN 4872332792