オカチョウジガイ

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テンプレート:生物分類表 オカチョウジガイ(陸丁子貝)、学名 Allopeas clavulinum+(kyotoense) は、有肺目オカクチキレガイ科(オカチョウジガイ科とも)に分類される陸産貝類の一種。最後の「ガイ」を略し「オカチョウジ」と呼ばれることもある。

殻は細長い右巻きで、長さ数mm-1cm程度。表面は平滑で通常光沢があり、若い個体ではやや黄色がかった半透明、老成したものや死殻では白色不透明となる。体は普通のカタツムリと同様の外見と構造で、他の近縁種同様に黄色い。海産貝類のリソツボ科チョウジガイ類に似た形のためこのように名付けられた。同様に細長い殻をもつキセルガイと混同されることがあるが、オカチョウジガイは右巻きでキセルガイは左巻きなので区別できる。

雌雄同体で卵生。一度に数個を石の下や土壌中などに産卵する。卵は白色球形で硬い炭酸カルシウムの殻があり、親貝の体内にあるものが半透明の殻を通して見えることもある。孵化した子貝は親貝と基本的に同じ形だが、殻の巻き数が少なく、親ほど細長くはない。

日本全土のほかアジアを中心に広く分布し、アメリカ合衆国などには移入されたものが分布するとされる。市街地から山地まで見られ、宅地の庭石植木鉢の下、山地の朽木の下などにいることが多い。

日本産のものは京都府産の標本をもとに亜種 A. c. kyotoense (Pilsbry et Hirase,1904) として区別されたことがあるが、その後命名者自身により基亜種A. c. clavulinum と同種とされた。しかし現在でも日本産亜種や独立種 A. kyotoense として扱う場合があり、必ずしも定まってはいない。

日本産近縁種

  • マルオカチョウジガイ Allopeas brevispirum (Pilsbry et Hirase,1904) - 本州・四国・九州に分布。
  • オカチョウジガイ A. clavulinum (Potiez et Michaud,1838) - 北海道から九州まで分布。
  • オオオカチョウジガイ A. gracile (Hutton,1834)
    鹿児島県黒島以南と小笠原諸島に外来種として侵入している。
  • ユウドウオカチョウジガイ A. heudei
  • トクサオカチョウジガイ A. javanicum (Reeve,1849)
    学名は Paropeas achatinaceum (Pfeiffer,1846) とする見解もある。殻に粗い成長脈があり、光沢がない。本州中部以南に外来種として侵入していて、在来種のオカチョウジガイやホソオカチョウジガイは減少している。
  • シリブトオカチョウジガイ A. mauritianum obesispira (Pilsbry et Hirase,1904)
    トカラ列島-八重山諸島に分布。
  • ホソオカチョウジガイ A. pyrgula (Schmacker et Boettger,1891) - 本州と九州に分布。
  • サツマオカチョウジガイ A. satsumense (Pilsbry,1906) - 本州・九州・奄美大島に分布。
  • オオクビキレガイ Rumina decollata (Linnaeus,1758)
    殻長40mmに達し、オカクチキレガイ科では大型種。地中海沿岸産だが、世界各地に外来種として侵入している。
  • オカクチキレガイ Subulina octona (Bruguière,1798)
    西インド諸島原産で、小笠原諸島に外来種として侵入している。

参考文献