エンペラー (バンド)
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エンペラー(Emperor) は、ノルウェーのブラックメタルを代表するバンド。ブラックメタルのアーティストの多くが犯罪を起こしていた90年代初頭の時期には3人のメンバーが逮捕された(→インナーサークル)。
目次
詳細
1991年に結成し2001年に解散を発表するが、2005年には活動を再開し、フェスティバルを中心にライブを行っている。
活動初期に製作したEPも当時既に評価を受けており、後に彼等が活動中にリリースした4枚のアルバムはブラックメタルの範囲にとどまらず、世界中のメタルシーンに影響を与えた。
初期はブラックメタル特有の冷たく、重いサウンドにメロディアスなギターリフ・キーボードを交えた音楽性を展開。 劣悪な音質であるが、1stアルバムはブラックメタルのジャンルを代表する名盤として知られる。
2nd~4thにはクラシックの影響から、壮大でプログレッシブな新しいブラックメタルのスタイルを追求。 この変化について、賛否両論であるが世界的な名声を得るようになった。この時期からはブラックメタルバンドに多く見られるロングヘアーや「コープス・ペイント」をしていない。ブラストビートを多用したドラムビートを主体としつつも、それまでと違い、ギターをスタッカートに刻むようになり、キーボードの使い方も従来より大胆である。
略歴
- 1988年、当時13歳だったイーサーンが、(ロックの)音楽スクールでサモスと出会いバンドをはじめる。バンド名は次々変わり1991年、最終的にバンド名は「Thou Shalt Suffer」となる。しかしSamothはMayhemのEuronymousに影響を受けこのバンドを解体する。また彼はこの頃から、自身がドラムを務めるバンドに向けて曲を書き始め、新たにベースの「Mortiis(Ba)」を加えてIhsahnと共にバンドEmperorが結成される。
- 1992年、EP『Call From the Grave』、「Wrath of the Tyrant」を録音し、キャンドルライト・レコードと契約。その後、Samothは自分に合ったギターへとポジションを変え、ファウストが新たなドラマーとして加入する。またMortiisが脱退し、「Tchort(Ba)」が加入。
- 1993年、EP『Emperor』、バンドEnslavedとのスプリットアルバム『Hordanes Land』をリリースし、さらにアルバムの録音に移るが、ノルウェーのブラックメタルバンド「Burzum」のVarg Vikernes(ヴァルグ・ヴィーケネス)の逮捕に端を発する「インナーサークル」のメンバーの相次ぐ逮捕により、Samoth、Faust、Tchortらも懲役刑を科せられ、一時期はIhsahnが唯一のメンバーとなってしまう。
- 1994年、EP『As the Shadows Rise』、1stアルバム『In the Nightside Eclipse』をリリース。このアルバムで彼等は大きな賞賛を得、多くのファンを獲得する。
- 1997年、EP『Reverence』、2ndアルバム『Anthems to the Welkin at Dusk』をリリース。前作よりもずっとプログレッシブさを強めたこの作品は、世界中のメタル雑誌において「アルバム・オブ・ザ・イヤー(Album of the Year)」投票で勝利を勝ち取った。
- その後すぐにAlverが脱退した事で、以後はIhsahnがベースも兼任するようになる。この頃からIhsahnはより芸術的でプログレッシブな音楽性を求め、彼の妻である「Ihriel」と共に「Peccatum」を、SamothとTrymはデスメタルの方向へ転換し、「Zyklon(ザイクロン)」を結成し活動を開始する。
- 1999年、3rdアルバム『IX Equilibrium』をリリース。
- 2001年、Ihsahnによって4thアルバム『Prometheus: The Discipline of Fire and Demise』をリリース後バンドを解散することが決定された。
- 2005年9月30日、オスロのコンサートホール「Rockefeller」にて、わずか数人しか事情を知らされなかった極秘のサプライズライブ出演によって、解散時のメンバーのまま再結成を果たす(この時演奏したのは3曲のみであった)。以後アメリカやヨーロッパでコンサートツアーを行ったほか、「Wacken Open Air」などのフェスティバルにも出演をしている(アメリカでのライブは、Samothが放火・暴行の罪で捕まっていた為彼が出演することが出来ず、そこではSamothがいない状態でライブ行なった。
- 2013年8月2日、2014年のヴァッケン・オープン・エアのヘッドライナーとして再始動することが決定。この再結成について、Trymは参加せず元メンバーのFaustが参加することになった[1]。
- 2014年の7月にこのバンドとしては初の来日を果たす。Faustに対しビザが下りなかった為日本公演のみTrymが参加した。17日に東京、18に大阪にてライブが行われたが、大阪ではSamothが急病の為彼がいない状態でのライブとなった。
メンバー
現在のメンバー
- ソロ名義でも活動。中心人物だが犯罪行為には興味を示さなかった。
- Samoth (サモス)(Gu) 1974年6月9日生まれ (1991-2001, 2005-2007, 2014- )
- Faust (ファウスト) (Dr) 1974年4月21日生まれ (1992-1993, 2014- )
元メンバー
- Alver (アルヴァ) (Ba) (1995-1998)
- 本名:Jonas Alver
- Tchort (ツォート) (Ba) 1974年生まれ (1993-1994)
- 本名:Terje Vik Shei
- Mortiis (モルティス) (Ba) (1991-1992)
- Trym (Trym Torson) (タリム)(Dr,Percussion) (1996-2001, 2005-2007)
ディスコグラフィー
スタジオアルバム
- 1994年1月21日 In the Nightside Eclipse - 闇の皇帝
- 1997年7月8日 Anthems to the Welkin at Dusk - 闇の讃美歌
- 1999年4月28日 IX Equilibrium - 闇の黙示録
- 2001年10月23日 Prometheus: The Discipline of Fire and Demise - 闇の終焉~ラストエンペラー~
- オリジナル盤発売後、現在までにいくつかのリマスター盤がリリースされている。2007年には、ボックスセット(インタビュー・歌詞付きポスター入り)も発売されている。
- 邦題の書かれている作品のうち、闇の復活祭以外の作品は、全てトイズファクトリーから日本盤が発売されていたが、トイズファクトリー盤は全て廃盤となっている。
EP
ベストアルバム
- 2001年 Emperial Vinyl Presentation
- EPやスタジオアルバム、ライブアルバムを収めたものである。限定3000セットで販売された。
ライブアルバム
映像作品
日本公演
- In the Nightside Eclipse 20th Anniversary Tour
- 2014年
- 7月17日 東京 TSUTAYA O-EAST
- 7月18日 大阪 UMEDA CLUB QUATTRO
エピソード
- EP「Emperor」はノルウェーの首都オスロから500km離れたベルゲンにある設備の悪い安いスタジオで収録されたが、その為にメンバーはSamothの父から車を借り、当時メンバー内で唯一自動車免許を持っていたFaustが運転をして行った。
- 当時19歳だったSamothは、Faustと共に自分の父が所有するフォードの車の中で、ベルゲンに住む隣人を脅迫したことがある。
- また、Ihsahnを除くメンバーはそれぞれ自分のパートの収録を終えた後ロックパブなどへ赴いて遊んでいたようだが、当時17歳だった彼はパブに行くことが出来なかった上、ボーカル・ギター・キーボードのパートも担当しており、またスタジオの機械に興味があった為エンジニアに一晩中学んでいた。
- アルバムのバックカバーにはメンバーそれぞれの写真が見られるが、「In the Nightside Eclipse」においては当時彼らが写真技術者などとの接触がなかった為、Ihsahn、Samoth、FaustはSamoth宅の敷地内で撮影、Ihsahnの宇宙のような背景とSamothの手前の燃えるヤギは、自ら材料をハサミで切り、糊で貼り付けたものである。Tchortは墓地の墓石の後ろで撮影したが、その上に乗っている血まみれ(血のりか)の天使の石像を撮影後盗み自宅の寝室に置いていたところ、後日逮捕された(おそらく血のりらしきものをかけたのも彼である)。
- アルバム「In the Nightside Eclipse」のジャケットはディセクションの『The Somberlain』のジャケットなどを手がけた画家Necrolordによるものである。Samothが彼の作品を見て気に入り、元々彼の元カノが描いてくれた絵の中からジャケットの右手に見える塔を、IhsahnとSamothはEPのジャケットに描かれている空を翔る死神などのアイデアを持ち寄り、それらをNecrolordに送りイラストを注文した。結果ジャケットは非常に良い出来となり、メンバーもかなり気に入っているようである。
- 1993年にはVarg Vikernesによる殺人が起きたが、Emperorのメンバーは彼と親しかったようである。彼がメンバーの家に立ち寄ったり、逆にメンバーが彼の住むアパートでいくらか過ごした事もある(Tchortは風呂場を借りてシャワーを浴び、泡風呂にも入った)。
- 「インナーサークル」での事件によって死亡したMayhemのユーロニモスに関して、アルバム『In The Nightside Eclipse』(ボックスセット)のジャケットの見返し部分には、「In Memory Of Euronymous (ユーロニモスを偲んで)」と記されている。
- 2007年、アメリカを中心とした世界的なアニメチャンネル「カートゥーン ネットワーク」の放送枠の1つ「アダルトスイム」で放送されている、メタラー風のキャラクターが登場するアニメ「Metalocalypse」のエピソード『Dethfashion』において、Ihsahn、Samoth、Trymの3人が声優としてゲスト参加している。
- アルバム「Anthems to the Welkin at Dusk」収録のYe EntrancemperiumのイントロのギターリフはEuronymousが作曲したものであり、Mayhemのブートレグ「Ha-Elm Zalag」でその原型を聴くことが出来る。
- 彼らのロゴはベルギー出身のロゴデザイナークリストフ・シュパイデルによってデザインされた。