ウサギ跳び
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ウサギ跳び(ウサギとび)とは、膝を深く曲げてしゃがんだ姿勢(手を後ろに組むことが多い)のまま、主に足首の曲げ伸ばしで跳躍を繰り返すトレーニング法。
動作に苦痛を伴うため日本のスポーツ指導者が特に好み、学校教育において頻繁に行われていた。1980年代頃から医学的見地から身体に与える有害性が指摘され、禁止の呼び掛けが行われた。以降、下肢や下腿を鍛えるエクササイズはスクワットやランジ、カーフレイズなどに取って代わられている。
マット運動にも「ウサギ跳び」と呼ばれるものがあるが別の物。
ウサギ跳びの有害性
ウサギ跳びが有害な理由として次が挙げられる。
- 姿勢に無理がある。股関節、膝関節を常時深く曲げたままで、飛び上がる動作としては非常に不自然。脚を深く折り曲げた状態では下半身の瞬発力を効果的に引き出すことは出来ない。ちなみにウサギの足長は脛の長さと同じであり、姿を人間が真似ただけである。
このため、以下の点が指摘されている。
- 特に膝関節に危険な方向の加重が加わる。近年ではスクワットのフォームは膝への過度の負担を防ぐため、膝をあまり前に突き出さないことを推奨されているが、ウサギ跳びは反対に膝を大きく前へ突き出すフォームになる。
- 大腿四頭筋の他、下肢末端近辺の細かい筋肉に硬直的緊張を強いる。その結果、柔軟性の低下を招く。
- 股関節や膝関節の伸展がないため、運動能力に支配的な筋群を鍛えられない。
- 下腿を重点的に鍛えるという発想自体が前時代的な誤解に基づく物である。同じ労力をかけるならば大腿や股関節の筋群を鍛えた方が運動能力、動き作りの両面で有効である。
また、この運動はアキレス腱を鍛える効果があると信じられていたが、この種のエクササイズで腱を強化することは不可能である。
トレーニングとしての効果は期待できず、むしろ関節や筋肉を傷めるスポーツ傷害を引き起こす可能性が高い。