イシュ・チェル
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イシュ・チェル
イシュ・チェル(Ix Chel)は、マヤ神話において、月・洪水・虹・出産等を司る女神。イツァムナーの妻でバカブの母。破壊神としての悪の面も持つ。
イシュ・チェルの名には、「虹の貴婦人」の意味がある。
頭に蛇を置き、交叉した骨が刺繍されているスカートをはいた老女の姿で表される。
後古典期前期にプトゥン人たちによってコスメル島に神託所がつくられ、対岸付近にあるトゥルムの神殿にも壁画が描かれた。またハイナ島から出土する土偶にもイシュ・チェルを模したと考えられるものがあるなど、商人たちからも広く信仰をあつめていたことがわかる。
イシュ・チェルが一度怒ると、彼女は天の水瓶を引っくり返して豪雨をもたらす。そして「空の虹」が洪水を起こすのを手伝う。ゆえにイシュ・チェルは「怒れる老女」と呼ばれる。
この女神を鎮めるには、常に生け贄を捧げなければならないとされる。
参考文献
- 『悪魔事典』 新紀元社、2000年、50-51頁。テンプレート:Mexico-stub