イエス・サード・アルバム
テンプレート:Infobox サード・アルバム(The Yes Album)はイギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、イエスの3枚目のアルバム。
この作品の時期、あらゆる面でイエスの基盤が出来上がったといえる。まず、デビュー以来初めてのメンバー・チェンジを経験し、その後のイエス・サウンドに多大な影響を及ぼす事になるギタリスト、スティーヴ・ハウが加入。そして前作でエンジニアとして参加したエディ・オフォードがバンドとの共同プロデューサーとなり、「第6のメンバー」と呼ばれるほどにスタジオ・ワークでの重要な役割を担う事となった。更にマネージャーに敏腕ブライアン・レーンを迎え、ビジネス面での後押しが強化された。
象徴的に、初めて作曲者クレジットがバンド名義となった「ユアーズ・イズ・ノー・ディスグレイス」でアルバムは幕を開ける。曲の基本構造は同じテーマの繰り返しでしかないが、それをアカペラ、疾走感のあるロック、ウォーキング・ベースでジャズっぽく、アコースティック・ギターでフォークというように様々な色彩をもって聴かせ、10分近い長さを感じさせない。この曲はベトナム戦争に赴く若者達を思って書かれたものである。
続くハウのお披露目となったアコースティック・ギター・ソロ「クラップ」はライヴ録音で、彼が敬愛してやまないナッシュビル・ギターの名人チェット・アトキンスの影響を素直に表現したカントリー・ピッキングの技巧が聴ける。(原題「The Clap」は誤植。これでは俗語で「淋病」の意味になる。本来は冠詞「The」を付けず「Clap = 拍手」)
初の組曲形式を取った「スターシップ・トゥルーパー」は、アンダーソンとスクワイアの曲を結合させ、ハウの壮大な3コード・ソロをエピローグに添えた大作。
「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」はトラディショナルな前半、ワイルドなシャッフルの後半と、極端なコントラストの小組曲。ライヴ映えする、代表曲の一つ。前半の「ユア・ムーヴ(邦題:心の光)」はシングル・カットされスマッシュ・ヒットとなった。
「ア・ヴェンチャー」は、後年のライヴでも殆ど演奏されていない。トニー・ケイがピアノ・ソロを聴かせる小品。
「パーペチュアル・チェンジ」は変拍子、対位法などの技巧が盛り込まれている。それと同時にジャズの影響も色濃く感じさせる。
前2作の不発で窮地に立たされていたイエスは、本作で起死回生の結果を出した。全英4位[1]、アトランティック・レーベルの本拠地アメリカでもトップ40に入るヒットとなり[2]、契約の続行と活動の場を大きく広げるチャンスを手にした。 しかし、オルガンとピアノに固執し、当時台頭を始めたメロトロンやモーグ・シンセサイザーの導入に消極的だったトニー・ケイは、バンドの意向に応えられず脱退していった。
収録曲
- A面
- ユアーズ・イズ・ノー・ディスグレイス - Yours is no Disgrace (Yes)
- クラップ - The Clap (Howe)
- スターシップ・トゥルーパー - Starship Trooper
- ライフ・シーカー - Life Seeker (Anderson)
- ディシルージョン - Disillusion (Squire)
- ワーム - Würm (Howe)
- B面
- アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル - I've Seen All Good People
- ユア・ムーヴ~心の光~ - Your Move (Anderson)
- オール・グッド・ピープル - All Good People (Squire)
- ア・ヴェンチャー - A Venture (Anderson)
- パーペチュアル・チェンジ - Perpetual Change (Anderson - Squire)
レコーディング・メンバー
- ジョン・アンダーソン Vocals
- スティーヴ・ハウ Guitars,Vocals
- クリス・スクワイア Bass,Vocals
- ビル・ブラッフォード Drums,Perc
- トニー・ケイ Keyboards