アンドリュー・ワイルズ

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テンプレート:Infobox Scientist アンドリュー・ワイルズAndrew John Wiles, 1953年4月11日 - )は、イギリス数学者オックスフォード大学教授整数論)。「フェルマーの最終定理」を証明したことで知られる。

経歴

10歳のときにフェルマーの最終定理に出会い数学の道を進む。ケンブリッジ大学卒業。大学院でジョン・コーツの指導下のもと、岩澤理論楕円曲線論の研究、博士号を取得した。業績に岩澤(健吉)主予想の解決(バリー・メイザーとの共同研究)やバーチ・スウィンナートン=ダイアー予想に関する貢献(コーツとの共同研究)などがある。

プリンストン大学教授を経て、2011年から現職。

フェルマー予想の証明

上記のような業績により数論における優れた研究者としてすでに著名だったが、1993年6月23日、谷山・志村予想を半安定な場合について解決したと突如発表し、その系として「フェルマーの最終定理」を証明したと宣言した。彼はそれまで7年もの間この仕事に専念していたが、ほぼ完全に秘密とし、突然発表したため周囲を驚愕させた。証明の内容は更に驚異的なものだった数論の様々な分野から当時最新の、しかも深い結果を大量に動員していた。ある数学者がこれを評して曰く、「数学者というものは各人ばらばらの目標を立てて研究して来たように見えて、実は全員がフェルマー予想に取り組んでいたのだ」。最初の発表の場であったケンブリッジ大学の講演(1993年6月21〜23日)では、事前にフェルマーの定理を証明したと告知していたわけでないにもかかわらず、噂が噂を呼んで、ジョン・コーツバリー・メイザーリチャード・テイラーなど、多くの数学関係者が押しかけてきた。教室は満席で、立ち見まで出るほど盛況だったという。

証明に挑んだきっかけは、ケン・リベットが「フライの楕円曲線(=フェルマーの最終定理の反例)」はモジュラーとはならないことを証明したと聞き、フェルマーの最終定理を証明するには谷山・志村予想(従ってフライの「楕円曲線」は存在しないことを意味する)を解けば良いことを知ったことだった。もともと自身が数学を志したきっかけが少年時代にフェルマーのこの定理と出会ったことであり、この定理に対しては強い憧れを持っていたが、大学院時代に数々の天才が挑んでは敗れ去ってきたこの超難問に挑戦することを指導教官のコーツから止められていた。それが、上述のような経緯で自ら専門分野の楕円曲線と思いがけずも繋がることとなり、全ての研究を投げて定理を証明することだけに没頭することになったという。やがて3年目に、楕円曲線をガロア曲線に変換して比べたり、岩澤理論を応用したりして類数公式を考えることを思いついたものの、証明には手が届かなかった。ある日、フラッハ(→コリヴァギン=フラッハ法Kolyvagin-Flach method)という学生の論文に出会い、今までの考えを捨ててその理論を拡張することに専念するようになる。やがて7年目に、バリー・メイザーの論文から、モジュラーである楕円曲線にモジュラーでない楕円曲線を変換することを考え、ついにフェルマーの最終定理の証明を確信した。

講演を終えた後、証明を論文に直して審査を受けたが、本人も疑心暗鬼であった部分に致命的なギャップがあったことが判明した。この部分を他の数学者と1年間ほど研究したが、集団で研究するやり方に不満を抱き、証明も出来そうにないので、一時期は敗北宣言を出すことまで考えた。が、1994年9月19日、自身で諦めをつけるために岩澤理論を見直していたところ、突然インスピレーションが涌き、本人曰く「夢じゃないかと思うような素晴らしい証明」が頭に浮かんだ。翌日、もう一度冷静に見直した結果、誤りがないと判断し、再証明を完成させた。

新たな論文は1995年Annals of Mathematicsに掲載された。再度の審査の結果、証明に誤りがないことが明らかになり、ワイルズはフェルマー予想を解決した。この予想がフェルマーによって提起されてから実に360年後のことであった。国際数学連合フィールズ賞には40歳以下という制限があるため受賞を逃したが、その顕著な業績に対して異例の特別賞が贈られた。

研究中の息抜きは、池の周りを散歩したり子供におとぎ話を話すことだったという。

フェルマー予想を証明した論文

指導者としてのワイルズ

またワイルズは優れた指導者であり、多くの優秀な弟子を育てている。

などである。

受賞歴

脚注

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関連項目

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  1. テンプレート:Cite web